読みました『小さいおうち』
12月
8日
第143回直木賞受賞作!『小さいおうち』
中島京子 著 / 文藝春秋 刊
昭和モダンの記憶を綴るノートに隠されたひそやかな恋愛事件
・・・本文より・・・
わたしには一軒だけ、ここがわたしの終の棲家と思い定めた家があった。
赤い屋根が目に映えるその家は、近隣の目印になっていた。
わたしが家の外を掃いていると、二階の窓を開けて奥様が呼んだ。
一人の青年が、家の前にイーゼルを立てて、絵を描いていたのを覚えている。
世界を封じ込めた家の中で、秘密を抱いて暮らした、忘れえぬ日々。
女中の鏡!!のタキは、茨城の田舎煮に引っ込み、細々ながら一人暮らしを続けている。
近くには甥一家が住んでいて、ときどきはいっしょに食事をとることもあるし、恵まれた老後を過ごしているとも言えるかもしれない。
二年ほどまえに『タキおばあちゃんのスーパー家事ブック』という本を出した。
その繋がりで、また本を出す話が浮上した。
タキは、ノートに懐かしい赤い屋根の小さいおうちの出来事を綴る。
甥のところの次男の健史がときどきそれをこっそり読んで感想を漏らす。「おばあちゃんは間違っている、昭和十年がそんなにウキウキしているわけがない」
タキの綴る回想録は、その後の太平洋戦争中でさえ、どこか明るい。
作者は1964年生まれ。
戦争を全く知らない年代です。この年代の人には、戦争が理解できないと思います。
(わたしも『桜物語』では、戦争のことを書きませんでした。)
それに明るいのは、タキの美しい思い出となったからだと思います。
どんなに辛いことも苦しいことも思い出に変わると何処か懐かしい楽しいものへと変わっていく気がします。
時子奥様は、旦那様のお勤めの会社に入社してきた若い板倉さんに恋をする。
タキも実は密かに恋をしていた。
板倉さんが兵士として入営する日が迫り、奥様が板倉さんに逢いに行くのを止めたタキは、奥様に手紙を書いてもらい、翌日赤い屋根のおうちに来てもらうことにする。
翌日、板倉さんは、時間通りに訪れ、タキが庭仕事をしている間、家の中で奥様と過ごす。
それ以来、運命共同体のような奥様とタキの関係は、ぎくしゃくし始め、遂にタキは赤い屋根のおうちから暇を出されて、生家へ帰ることに。
東京大空襲の前日、タキは再び奥様と再会するが、奥様と旦那様は、空襲で亡くなってしまう。
そして、タキも亡くなり・・・感じの悪い(これは古風なタキが描いたため?)いまどきの若者・健史が偶然に雑誌の『ちいさいおうち』の特集記事から、故イタクラ・ショージ記念館に辿り着き、芳名帳に赤い屋根のおうちの恭一ぼっちゃんの名を見つける。
感じの悪い健史が最後には、心優しい雰囲気の好青年に変身するから不思議だ。
そして、どんでん返し!!
直木賞作品なのに、本音をいうと「な〜ぜ」でした。
最後のどんでん返しは、なかなかでしたが・・・。
★みっつ!!というところでしょうか!!
投稿日 2010-12-08 15:27
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投稿日 2010-12-09 21:09
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投稿日 2010-12-08 17:59
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投稿日 2010-12-09 21:16
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投稿日 2010-12-08 20:55
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投稿日 2010-12-09 21:17
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