昭和の一枚
7月
20日
■あらすじ
背景は平安時代。飢饉や辻風(竜巻)などの天変地異が打ち続き、都は衰微していた。ある暮れ方、荒廃した羅生門の下で若い下人が途方に暮れていた。下人は数日前、仕えていた主人から解雇された。生活の糧を得る術も無い彼は、いっそこのまま盗賊になろうかと思いつめるが、どうしても「勇気」が出ない。そんな折、羅生門の2階に人の気配を感じた彼は、興味を覚えて上へ昇ってみた。
楼閣の上には身寄りの無い遺体がいくつも捨てられていたが、その中に灯りが灯っている。老婆が松明を灯しながら、若い女の遺体から髪を引き抜いているのである。老婆の行為に激しい怒りを燃やした下人は刀を抜き、老婆に襲いかかった。老婆は、抜いた髪で鬘を作って売ろうとしていた、と自身の行いを説明する。さらに彼女はこう続ける。「抜いた髪で鬘を作ることは、悪いことだろう。だが、それは自分が生きるための仕方の無い行いだ。ここにいる死人も、生前は同じようなことをしていたのだ。今自分が髪を抜いたこの女も、生前に蛇の干物を干魚だと偽って売り歩いていた。それは、生きるために仕方が無く行った悪だ。だから自分が髪を抜いたとて、この女は許すであろう。」と。
髪を抜く老婆に正義の心から怒りを燃やしていた下人だったが、老婆の言葉を聞いて勇気が生まれる。そして老婆を組み伏せて着物をはぎ取るや「己(おれ)もそうしなければ、餓死をする体なのだ。」と言い残し、漆黒の闇の中へ消えていった。
下人の行方は、誰も知らない。
■映画の評価
日本では公開時は不評だったが、海外では高く評価され、ヴェネツィア国際映画祭でグランプリにあたる金獅子賞を受賞した。日本映画として初めて海外映画祭でグランプリに輝き、世界における日本映画の評価が高まるきっかけとなった。また、第24回アカデミー賞で名誉賞(現在の外国語映画賞)を受賞[注釈 2]、翌年の第25回アカデミー賞では美術監督賞(白黒部門)にノミネートされ、この授賞式には淀川長治が出席した。
『羅生門』のグランプリ受賞は、当時まだ米軍占領下にあり、国際的な自信を全く失っていた日本人に、古橋廣之進が競泳で世界最高記録を樹立したことと、湯川秀樹がノーベル物理学賞を受賞したことと共に、現代では想像も出来ぬ程の希望と光明を与えた。この受賞により黒澤明監督と日本映画は世界で評価されていき、日本映画も黄金期へと入っていった。
英国映画協会(BFI)の『Sight&Sound』誌が10年ごとに発表している「史上最高の映画ベストテン(The Sight & Sound Poll of the Greatest Films of All Time)」では、1992年の映画監督が選ぶベストテンで第10位、2002年の同ベストテンで第9位にランキングされている。1999年に『ヴィレッジ・ヴォイス(The Village Voice)』誌が発表した「20世紀の映画リスト」では日本映画として最高位の第10位に選出されている[12]。
■現在見ての「羅生門」理解度
男と女の自意識出来ない情念の世界
投稿日 2018-07-20 21:31
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投稿日 2018-07-21 09:05
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