■調べてみた。誰が何位になったとか興味はありません。
弓道を極めようとする人が美しく見えるのは、単に姿勢や所作が端正だからだけではありません。そこには、弓道特有の精神性が深く息づいているからです。
弓道では「射即人生」とも言われます。
一本の矢を放つ行為は、ただ的に当てるためだけではなく、その人の心の在り方を映し出すものと考えられます。
中るか外れるかよりも、矢を放つまでの一連の動作──足踏み、胴造り、弓構え、会、そして離れ──すべてが心身の調和と真実を求める修行の過程なのです。
また、「正射必中」という言葉に象徴されるように、正しい心で正しい射を行えば、その結果は必然として現れるとされます。ここには、外的な成果を焦らず、内面を磨くことを重んじる東洋的な精神観が表れています。
弓道を極めようとする人は、技術を磨くと同時に、呼吸や心を整え、雑念を捨て、ただ一本に向き合います。
その姿は凛としており、無駄がなく、静かな気迫を帯びています。そこに「美」が宿るのです。
つまり、弓道の美しさは、単なる動作の美ではなく、心と身体の一致、精神と技の融合からにじみ出るもの。弓を引く人の背筋や視線の澄んだ輝きには、「自己を超えて真実を求める人間の姿」が映されているのだと思います。
――だからこそ、弓道を極めようとする人は、美しいのです。