昭和20(1945)年8月9日未明、終戦を眼の前にして、突然一方的に日ソ不可侵条約を破ったソ連軍が、満洲地方になだれ込んだ。ソ連軍は、投下兵力158万人の大部隊だった。
1月
21日
ついに出撃命令が下った。いまこそ祖国のために一命を捧げる時が来たのだ。かねて覚悟はしていたとはいえ、悲壮な思いが、ひしと胸に迫り、完全武装を急ぐ手が震えた。 一瞬、故郷の父や母の顔が瞼をかすめた。「長い間お世話になりました。国のため、先立つ不孝をお許しください」こみあげる熱い思いが・・・・