28. 刀と機関銃
4月
27日
そのなかのリンパ球が免疫系の主役です。
リンパ球は、
細胞性免疫を担うT細胞とNK(ナチュラルキラー)細胞、
液性免疫を担うB細胞の二種類に分けられます。
細胞性免疫の軍団は、いわば、
刀 を持った兵隊に似ています。
武 器 は 刀
ですから、接近戦の攻撃となります。そのなかでも、
ナ チ ュ ラ ル キ ラ ー 細 胞 は、
第一陣として最前線で戦う兵士のような存在と言えます。
人間の体のなかで外気と直接ふれているのは、
表皮でおおわれた皮膚と、
粘膜でおおわれている
鼻、口、のど、腸管、気管、膣と、子 宮 です。
表皮はよろいみたいなものですから、
キズがなければ防御力は強いのです。
しかし、粘 膜 は 弱 い のです。
弱いから、唾液や粘液がその表面をおおっており、
その液体のなかには、
リゾチームという酵素が含まれています。
リゾチームは、細菌の細胞膜を溶かす働きにより、
外敵と戦う武器になっています。
リゾチームで対処できなかった場合、
細菌などに対して、
白血球の一種、好中球などが襲いかかります。
そして、最終的には、
粘膜免疫という、
強力な最前線の免疫システムが作動します。
この粘膜免疫の中心に
ナ チ ュ ラ ル キ ラ ー 細 胞 があるのです。
血液中の白血球の中身については、
その半分以上が好中球であり、
ナチュラルキラー細胞は数パーセントです。
しかし、子 宮 については、
妊娠初期の子宮内膜内の白血球の半分以上が
ナ チ ュ ラ ル キ ラ ー 細胞です。
刀 を 持 っ た 兵 士 である
ナチュラルキラー細胞をうまくごまかして、
子宮内膜内へ侵入しなければならないのが、
赤 ち ゃ ん の 細 胞 なのです。
しかし、うまくごまかすことができない場合、
攻 撃 されて、
流 産 してしまう可能性があるのです。
次に、
液性免疫の軍団は、いわば、
機 関 銃 を持った兵隊です。
武 器 は 機 関 銃
ですから、遠方から攻撃できるのです。
免疫グロブリンというたんぱく質の、
「 抗 体 」
といわれる物質が、
その機関銃の 弾 のような存在と考えられます。
ちなみに、抗 体 という飛び道具を使う
液性免疫は、
魚以上の高等動物しかないと言われています。
ここで、流産、死産の原因としての
抗 リ ン 脂 質 抗 体
について考えてみてください。
抗リン脂質抗体とは、
リン脂質を目標にして、
機関銃(B細胞)から撃たれた
弾 ( 抗 体 ) と考えられます。
しかし、
リン脂質は自分の体の凝固系のなかにある物質
ですから、
機関銃の銃口が、
自分以外の異物に向けられているのではなく、
自 分 自 身 の 一 部
に向けられているのです。
自分自身の体の中のリン脂質に向けられた
機 関 銃 の 弾 が、
いわゆる
抗 リ ン 脂 質 抗 体
なのです。
抗リン脂質抗体という
自 爆 の 弾 が、
子宮内膜内のらせん動脈内にある
リン脂質に向かって放たれると、
その部分のリン脂質が火を噴いて、
凝固系が異常に亢進し、
血 液 の か た ま り
ができると考えられます。
そうすると、
子宮のなかの赤ちゃんにとって、
ら せ ん 動 脈 が ラ イ フ ラ イ ン ですから、
血液の流れが止まり、十分な栄養が取れずに
流 産 、 死 産
してしまう可能性があるのです。
抗リン脂質抗体は、
免 疫 系 の く る い
からできたと考えられます。
投稿日 2009-04-28 11:02
ワオ!と言っているユーザー