卵子を再生させられるミトコンドリア補充療法 についての記事が、今年の3月、 権威ある米国医学誌「サイエンス」に 発表され、話題になっています。 43歳以上になり、 胚盤胞まで育ちにくく、 さらに、着床前スクリーニング(CGH法によるPGS) した結果、なかなか良好胚ができない場合、 現在の実際的な治療法のひとつとして、 卵子提供が 米国やタイ等では行われています。 ブログNo.347の中で書いたように、 今年の2月に、 イギリスでは卵子の核移植が合法化されました。 難病のミトコンドリア病に限った合法化ですが、 その技術は、将来、 老化した卵子を再生する治療として 認められるかもしれません。 核移植とは、つまり、 細胞核から見れば、細胞質の入れ替えですから。 米国では、核移植ではなく、 ミトコンドリアそのものを補充する治療が 研究され、臨床実験されているようです。 そのための企業もあるようです。 ミトコンドリアは細胞内のエネルギー源ですから、 老化した卵子に若い人のミトコンドリアを補充すれば、 卵子が再生されるのです。 ミトコンドリアの遺伝情報量は 1~2%程度らしいですから、 卵子提供の場合は、 ご夫婦の遺伝情報量の50%が 他人(第三者)ですが、 ミトコンドリア提供の場合は、 ご夫婦の遺伝情報量の1~2%程度が 他人になるわけです。 ただ、 アメリカ食品医薬品局(FDA)は、 現在、ミトコンドリア補充療法を禁止しています。 このように、卵子や受精卵については、 細胞レベル、遺伝子レベルで研究や臨床実験が 盛んにおこなわれています。 しかし、 その卵を育てる子宮内環境については、 ご本人の心身両面のいろいろな因子が 関与していますから、 なかなか本当に難しいのです。