ニューヨークに新たな行列を作り出す
常に斬新なコンセプトで注目を浴び続ける『モモフク・グループ』。シェフでレストラン実業家のデイヴィッド・チャン氏が、2004年にイーストヴィレッジ地区に『モモフク・ヌードル・バー』を開店以来、破竹の勢いで成長を続け、現在ニューヨークを中心に、ワシントンD.C.、ラスベガス、ロサンゼルス、オーストラリア・シドニー、カナダ・トロントに、カジュアルな店から高級店まで約15店舗展開する。また、フライドチキン・サンドイッチのファストフード店『Fuku』、スイーツ&ベーカリーの『Milk Bar』をチェーン展開している。
デイヴィッド・チャン氏はジェイムス・ビアード財団のベストシェフ賞をはじめ数々の賞を受賞、エスクァイア誌から「21世紀で最も影響力のある75人」の一人として、政治家のヒラリー・クリントン、フェイスブックCEOのマーク・ザッカーバーグらとともに選出されるなど、メディアに引っ張りだこのスターシェフだ。
同グループを代表する『ヌードル・バー』は2004年開店以来行列の絶えない店だが、ニューヨークで2店舗目となるコロンバス・サークル店を昨年暮れに満を持して開店、新たな行列を作り出している。
『ヌードル・バー』を統括するのは料理長トニー・キム。同氏は、かつてマーケティング業界に従事していたが、料理への情熱が高じ飲食業界に飛び込んだというユニークな経歴を持つ。カリフォルニア州でいくつかのレストラングループで経験を積んだ後、2011年にニューヨークへ移り、2013年から『モモフク・グループ』に加わった。
創業者のデイヴィッド氏もトニー氏も共に韓国系米国人2世。韓国家庭料理の影響を受けているのはもちろんだが、デイヴィッド氏が日本で料理修業をした経験があることから、日本食材だけでなく、日本の調理法や哲学からも大いに影響を受けている。同店の特徴であるベーコン出汁は鰹節が持つ旨味や燻製香がヒントだ。「食材を無駄にしない」という考え方も徹底し、鶏肉をグリルしたときに出る脂をスープやフライドチキンの揚げ油として活用する。トニー氏は、味噌や醤油など、さまざまな日本食材を使い、新しい味を作り出しているが、素材本来の持ち味を打ち消すことなく組み合わせるよう心がけていると言う。
ヌードル・バーと言いつつも、麺類は5種類のみで、中華風バンズ、小皿、野菜、大皿というカテゴリで提供。一見メニュー数は少なく見えるかもしれないが、「今日のおすすめ」を提供するほか、季節や地元の食材をふんだんに活用し定番メニューも毎日差し替えるので、何度行っても飽きることがない。ニューヨークという場所柄、顧客層が幅広いため、メニュー内容はバランスを重視。食材は肉・魚・野菜と豊富に揃え、味付けもスパイシーからマイルドなものまで変化をつける。同グループは、2010年に『モモフク料理研究所』を設立。日本や韓国の伝統的な調理法を活用し、米国人の嗜好に合うような調味料やふりかけを開発し、店内で使用している。中華バンズもすべて手作りというこだわりだ。
内装は、キッチンカウンターとバーカウンターを両サイドに設置し、臨場感を演出。中央にはテーブル席があり、あらゆる顧客層やシチュエーションに対応する。
2020年にはロサンゼルスにも『ヌードル・バー』を開店予定。ニューヨークやラスベガスでも新業態での開店が続くので、最新動向から目が離せない。
Momofuku Noodle Bar
The Shops at Columbus Circle
10 Columbus Circle
New York, NY 10019
https://momofuku.com/
Lunch - Daily 11:30 am – 4 pm
Dinner - Daily 5 pm – 10:30 pm
The bar remains open from 4 – 5 pm