大きいおねえちゃんは ぼくのことを 人形だと思っているんだ 頭にリボンつけ スカートをはかせたり ぼくがいやだと言っても だいじょうだいじょうぶ すごくかわいいからと言って なんだか楽しそうだ おねえちゃんが好きだから がまんしているけど ぼくは ヒーローになりたいんだよ
どちらかといえば 嫌いだったタイプの 君を好きになった パープルに髪を染め 清潔感の反対側 地べたを滑るスカート 黒いマスク 怖がられている 睨みつける瞳 だけど僕にだけ見せる 嘘のない笑顔 近よってきた君 遠ざけなかった僕 次第という言葉に 育み歩いた 突然は二つ目の季節 台風の後の青い空 君への仕打ちは 雲ごと消され 君の反骨 その代償は辛く 塀の内側に 思いを募らせた 君は本当に 僕が好きだから もう逢えないだろう 汚したい空 さよならのかわりに いつもごめんね という君を思い出す この空を知っていたんだ
知っている 豆腐がどうしようもない 僕を救ってくれることを 躓いた時に 何気にクッションとなって 痛みを与えない もうやっていられない そんな時に 豆腐が巨大化してプールになる 僕は狂ったように 破茶滅茶な格好で泳ぐ 腹へって死にそうだ そんな時は醤油をかけて いただきます と
十年前 父と富士山を登った 二十年後 私が父と同じ歳になる 果たしてその頃に 私は頂上へたどり着くのだろうか その前に生きていることが前提だけど そうだな これをひとつの目標にして あのゴツゴツした長き連なる山道を どんな景色に見えるのだろう どんな自分に会えるだろうか
息子がまだ泥だらけになり遊んでいた頃 誰よりも自由を手に入れた顔して 走り転んでも痛みをすぐに忘れる 遊びの天才になり 青空は君のためにあるのか なんて思うくらい飛び回っていた 小学校も高学年になると 社会性を持つように学校でも厳しくなる 授業で必要な道具を忘れた息子は 「忘れ物について何か書きなさい」と先生にいわれ クラスでひとり違う課題を与えられた 書き上げた文章は詩であった 子どもはみんな詩人だと思っていたが 息子も同じように自分を表現していた 忘れ物 ぼくは変だ 遊ぶやくそくは覚えているが 学校の宿題は十分くらいで 忘れてしまう ぼくは変だ 遊ぶ持ち物は覚えているが 学校の持ち物は五分くらいで 忘れてしまう ぼくは変だ 連絡帳に書いたものも 一分ぐらいで 忘れてしまう ぼくは変だ だから 学校を勉強するところと 忘れないようにしよう この詩がなぜかクラスだよりに載って 初めて目にするのであった 自分がどんな性格かを考え 学校という社会と照らし合わせながら 子どもらしいユーモアもあり 反省していることが書かれ驚いてしまった 子どもが大人になるため 社会性を持つことは大切であり 親としてはそれが嬉しくもあって あの自由を手に入れた息子の顔 目に浮かべると寂しくもある 「忘れ物」の詩には「忘れない物」があり 強く生きるためのユーモアは誰にも奪われず 自由な力となり逞しさを忘れやしない
遠くから聞こえる犬の鳴き声 開いたままの本が 風でページをめくる音 実家の静けさの中で 懐かしく透明に響いてくる 動くことを遠ざけた身体は 余計に硬くなってしまうから そろそろ立ち上がろう、と 線香の匂いが流れ パイプ椅子を運び入れ 昨日、テレビで紹介していた ストレッチに汗をかく すでに休み明けの勤務を想像して なんとか来週もやっていける、と この怠さを前向きに考えている そしてまた横になり 母親の不安話しと幸せ話しを聞く まったりと時間が過ぎてくる ああ、俺はここで育ったんだな 母ちゃん、腹へったよ
頭の中は宇宙で 自由にその空間も操れる あっと言う間に 月だって行けるし 彗星を追いかけることも 簡単にやってのける 僕らはそんな自由を知っている 誰かの自由も知っている 言葉にのせて表現すれば 不可能が消えていく 僕らは生まれた時から そんな人間元素を持っているのさ
最近は投稿が滞っています。 パソコンで同人誌、個人詩集のデータ入力、レイアウト、 製本作り等の紙媒体での作業に時間を費やしてしまい 詩をアップできずにすみません。 完成次第、アップさせていただきますので 今後とも『詩は元気です☆』を宜しくお願いします!