君は言った 始まったばかりだ と 僕はまだ 始まっていない と なのに君は逝った 何も始まらず に そして僕は崩れた 受話器の向こうの嘘 と 君は冷たかった 動かず に 僕は現実が何処か わからず に 君の煙は哀しく 悔しい灰色 で 僕の口からは だらし無く白色 で 君は言った 終わった と 僕も終わりたい そう言う と 君の煙さえ消えて もう何も言わず に
布が貼りついたような 少し麻痺した頭 湿った春に吐きそうになる 頑張りすぎた後の夜には いつも耐える時間が必要だ 望んで進んでいる道 悔いなどひとつもないが 疲弊すれば心細くなり 詩を綴っている そして救われて 自分と素直に会話をすれば 静かな言葉の森に遊び 疲れた痛みなら忘れさせてくれる ほんの少しだけど大切な時間 表現との出会いは素晴らしい 現実逃避ではなく 自己発見をする旅のようなもの その時間の喜びに今は感謝している もし詩が綴れないくらいの 痛みが再び襲うかもしれない そんな時でも 言葉の森に行けるように 自分の世界を構築しておこう 少しでも痛みから遠ざかり 帰って来られるように今日も森に行く