記事検索

フリースペース

サウスベイ マネジメント セミナー( Southbay management seminar )は月一回のセミナーを中心に勉強し、時々に親睦をする、乃ち「よく学び、よく交友する」そのような会です。

ブログスレッド

  • 2016年7月「あなたの痛み慢性化していませんか?痛みの専門家があなたの痛みについてお話します」講師:有田治生氏

2016年7月「あなたの痛み慢性化していませんか?痛みの専門家があなたの痛みについてお話します」講師:有田治生氏

スレッド
講師:有田治生氏 講師:有田治生氏 2016年7月「あなたの痛み慢... 2016年7月「あなたの痛み慢... 2016年7月「あなたの痛み慢...
講師:有田治生氏
日時: 2016年7月13日(水)、6:30PM - 8:30PM
会場: ニューガーディナ・ホテル
講演録担当:佐伯和代

講師略歴:
千葉県松戸市出身。 中学での勉強の日々に嫌気がさし、エスカレーター式の横浜の高校に入学。 器械体操部に入部。当時、自分も他の部員も怪我が絶えなかった。 そして、自身が患者として病院に通ってみると、医者が楽しそうに仕事をし、しかも患者にも感謝され素晴らしい仕事に思えた。しかし、また受験勉強は嫌だったので、その場で医者を目指そうとは思わなかった。 そんなある日、米国交換留学のポスターを見つけ、応募。この時17歳。 留学場所は選べなかったため、New Mexicoで1年を過ごすことに。
当時New Mexicoという地名を知らなかったため、米国留学なのになぜメキシコ?と最初は驚愕。そして、行ってみてまた驚愕。そこはまるで火星のような景色が広がっていた。そして、その1年間は一人も日本人の姿をみることはなかった。

この1年間、ホームステイ先のホストマザーがフィジカルセラピーの仕事をされていたこともあり、家庭内でそういった話をすることも多く、自分が以前病院で思った「医師」という職業が頭をかすめることもあった。

帰国後、母校に戻ると、若い医師からアドバイスがきっかけで、一念発起し受験勉強。そして、順天堂大学医学部入学。一般教養の2年間は千葉県印旛村で送ることになる。そこはNew Mexico以上の田舎だったが、ここまでくると、どこに行ってもやっていける自信がついた。

医学部在学中イギリス研修に行く機会があり、レスター大学病院で2ヶ月間研修。 そこでの研修は、非常にわかりやすく、日本との違いに驚き、そのあまりの素晴らしさに、もう少し欧米式の医学教育を受けたいと思うようになった。 そして、横須賀米海軍病院でインターン研修を受ける。 もともと興味があった整形外科は、当時米国で最も人気が高く、人も多かった。 米国でのトレーニングを受けたい一心で第二希望の、麻酔科研修を選択。 ボストンのハーバード大学付属病院での研修を始める。 そして、ペインクリニックと出会う。

ペインクリニックは麻酔科の技術を使って、痛みを治療するもので大変興味を惹かれた。整形外科と共通した部分も多い。患者にも感謝されやりがいを感じた
その後、ペインクリニックの研修をUCLAで受け米国ペインクリニック専門医に。母校順天堂病院に勤務したのち、再び渡米。10年間UCLA付属病院でスタッフとして勤務したのち、2015年にカリフォルニア州トーランスでクリニックオープン。日本とアメリカ両方の利点を兼ね備えた医療を目指す。

OFFICE LOCATION: 

Pain Medicine Haruo Arita, MD
1408 Crenshaw Blvd, Torrance CA 90501
http://www.painmedicinemd.com/#!blank-1/mneel

講演内容要約:
痛み」とは?:
「痛み」の意味が分かるとそれほど怖くなくなる。
五感:視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚
五感は他の人と簡単に共有できるが、「痛覚」はなかなか共有することができない感覚。
どんな痛み?と聞いても、なかなか説明できないことが多い。
ペインクリニックでは、痛みの強さを尋ねることが多い。
痛みのバイタルサイン 全く痛くないを0として0から10までの数字で答えてもらう。
人によって、痛みの感覚が違うので、数字を聞いても、他の数字が同じ人と同じ程度とは限らない。

では、なぜ人によって違うのか。
体に受けた刺激が、瞬時に『電気信号』となり、脳に伝わるのが「痛み」。
ペインクリニックでは、その電気信号を和らげるのが仕事。
例えば、手をぶつけた場合、神経を通って、脊髄を介してその電気信号が脳に伝わり、手が痛いと脳が判断。

「閾値(いきち)」とは:
感覚や反応や興奮を起こさせるのに必要な、最小の強度や刺激などの(物理)量。
人によって閾値の違いがあるので、痛みの度合いも違う。

疼痛抑制系:

や脳には痛みの伝達を抑制させる機能をもっている。
ペインクリニックでは疼痛抑制系を利用した治療もよく行われる

腰痛について:
背骨は回転や屈曲する必要があるため、椎間板というものがある。
この椎間板があることによって、背骨の老化(変性)が起こる。

椎体:
椎骨の主要部で、円柱状の部分。

椎間板:
椎体の間のクッションの役割をはたす部分。体の中で唯一血流がない部分。隣接した毛細血管から栄養摂取。ただし、立っていたり、座っていたりする時間は栄養が椎間板に行かない。寝ている時だけ栄養補給。

加齢とともに椎間板中心部への水分補給がうまくいかなくなり、脱水を起こして、小さくなり、周りの椎間板を圧迫するようになる。
椎間板が古くなると、椎体も変形し(骨棘)、後ろ(背中側)に変形すると、神経を圧迫するようになる。
MRIをとると、多くの人が椎間板に異常が発見できるが、その異常が発見できた人すべてが腰が痛いとは限らない。

椎間板ヘルニア:
中心部分の水分が減り、亀裂の入った椎間板からヘルニアがおこる。

脊柱管狭窄症:
椎間板が古くなると、椎体が変形、また靭帯が厚くなり、神経を圧迫。
腰を曲げた方が歩きやすいという人が多いが、それは、無意識のうちに、背中を曲げることによって、靭帯を伸ばすことによって、狭窄を広げ、痛みを和らげている。


変性すべり症:
女性に多く、腰椎の4番目と5番目がずれている。

仙腸関節炎:
背骨は仙骨という三角形の骨の上にのっていて、その仙骨は骨盤と関節で繋がれています。普通の姿勢で歩いている分にはいいのですが、姿勢が悪くなると、普通以上に重みがその関節(仙腸関節)にかかり、痛みが発生する場合がよくある。

椎間関節症:
背骨が曲がりやすいように小さい関節がある(椎間関節)
加齢で、椎間板の高さが低くなると、椎間関節もずれ、片方の腰や鼠蹊部、そして太ももに痛みを放散しやすくなる。


椎体圧迫骨折:
閉経後の女性に多い。
骨粗鬆症も閉経後に多いが、骨粗鬆症になると、圧迫しやすくなり、起こる症状。しかし、治療はしやすい。ですが、背骨の骨折は、ガンの転移の可能性もあるため、気をつけなければいけない。

背骨の手術について:
高齢になり変性した背骨は、痛みの原因がわかりづらくなる場合がある。手術をする場合はセカンドオピニオン、サードオピニオンをもらって、何が原因かちゃんと理解してから手術に踏み切った方がよい。一回手術をすると体に対する負担も大きい。

治療方法:

硬膜外注射:
手の炎症に、ステロイドのクリームを塗るとよくなりますが、同様に硬膜外注射では、痛みの元となる場所に針でステロイド薬を注射。直接作用するので少ない薬の量で効果的に炎症治療ができます。


椎間板熱凝固:
椎間板からの早期のヘルニアの場合に、熱で癒着させる治療。

高周波神経熱凝固:
神経に熱を加えることにより長期の疼痛が得られる治療。

脊髄電極刺激:
背骨の間に細い電極を入れる治療。細い電極を背骨に入れて、微弱な電流を流すと様々な痛みが抑制される治療。

椎体形成術:

の圧迫骨折の治療。少量のセメントで整復する治療

くも膜下オピオイド投与法:
ガンなど、重症な痛みの場合、脊髄付近に痛み止め(モルヒネなど)を直接入れて痛みを和らげる方法。これは飲み薬より少量で劇的に痛みが和らぎます。
薬を嫌がる人も多いが、薬はその効果と副作用を理解をして、一定期間(短期間)飲めば、効果的。飲まずに痛みを伴う生活をしていると、余計に支障が出てきます。薬の治療は思っているほど、悪いものではありません。

まとめ:
基本的な解剖を学ぶ。
医師が何を治療しようとしているのか知る。


Q&A:

Q:いろいろな腰痛治療をしてきましたが、なかなか治らないのです。
A: 診察、検査をしっかりとして、どこが原因なのかをしっかりと判明させて、その原因にあった治療を行うべきです。西洋医学では、その原因を見つけるところから始まります。

Q:普段から十分な水分を摂取したり何か予防をすれば、椎間板の脱水も防ぐことができますか?
A: 現在、それは幹細胞治療も含めて、臨床研究段階です。背骨の周りには大きな4つの筋肉があるのですが、加齢で筋力が弱まりますので、その筋肉(コアマッスル)を普段から鍛えていると、腰椎の老化はある程度防げると言われています。

Q:帯状疱疹痛がしびれに変わっています。帯状疱疹後神経痛?
A:帯状疱疹は、60を超えるとかかりやすい病気。 しかし、症状を伺うと、本当に帯状疱疹後神経痛なのか診察が必要だと思われます。診断がついたら、それにあった治療法が必ずあります。

Q:普段痛みはないのですが、少し運動をすると膝に痛みがでることがあります。   これは、痛みを我慢してもいいのか、治療した方がいいのか、どうでしょうか?
A: 膝にストレスをかけない運動療法をフィジカルセラピストから習った方がいいかもしれません。

Q:脊柱管狭窄症と診断されました。現在はフィジカルセラピーに通っていますが、全く良くなる傾向にないのですが。
A: 痛みをある程度抑えてからセラピーに臨んだ方が効果的な場合もあります。脊柱管狭窄症は他にも様々な治療法があります。

Q:2年に一度程度、足にbone spurから痛みが出るのですが、これはどうしたら?
A: 痛みがある時だけ、消炎鎮痛剤などの薬を飲まれたらいいと思います。どの薬が効くのかをしっかりと把握しておけば、普段から痛みをコントロールできますよね。

Q:変形性膝関節症と診断されました。半年ごとに注射をうけていますが、私はあまり効きません。痛みをとめるためにはどうしたらいいでしょう?コルチゾンは大丈夫?
A:コルチゾンは自分の体内でも生成しているものです。あまり頻繁では問題がありますが、半年に1回であれば、大丈夫です。その効果があるうちに、フィジカルセラピーを受けてみてはいかがでしょうか?加齢とともに膝も老化していきます。体重を減らしたり、筋肉をつけたりなど、薬以外で患者さんが自分でできることも試した方がいいと思います。あと、痛み止めと炎症止めは違いますからちゃんと使い分けが必要です。

Q:首の痛みから頭痛が発症します。アドビルなどを飲めば痛みは治るのですが、どの程度続いたら医者に行くべきですか?
A:アドビルを飲んで治るのであれば、しばらく続ければいいと思います。首の上部の関節に問題がある場合、頭痛になりやすいのです。なので、アドビルなどの炎症を抑える薬は有効な治療法だと思われます。あとは、頚椎カラーなどを使って動かさない。普段から姿勢をよくするトレーニングをする。 薬も炎症や痛みを抑えるのが目的ですが、その効果を持続させるためには「良い姿勢」をキープしてまた炎症が起こりにくいようにすることも大切。

Q:昨年からしびれと痛みがとれません。体の右側。”Pinched nerve”と診断されました。
A:どこの神経がpinchedされているのかが問題。その神経に効く薬もありますし、治療法はたくさんあります。薬、注射、ベルトなど、いろいろ組み合わせての治療もありますが、やはり、まずはしっかりと診断をつけてもらうことが大切です。

以上。
#2016年セミナー

ワオ!と言っているユーザー

  • ブログルメンバーの方は下記のページからログインをお願いいたします。
    ログイン
  • まだブログルのメンバーでない方は下記のページから登録をお願いいたします。
    新規ユーザー登録へ