講師:'廣川真一(ひろかわ しんいち)氏
日時: 2016年10月5日(水)、6:30PM - 8:30PM
会場: ニューガーディナ・ホテル
講演録担当: 佐伯和代/藤原勝
講師略歴:
新潟県新潟市出身。東海大学進学で神奈川県へ。
米国での国際政治の勉強を志しながら数多くの職業を経験するが、スウェーデンの多国籍企業に就職し、東京都、愛知県、大阪府に居住。大阪から中国、四国、九州地区も担当し、日本国内各地の文化の違いを肌で感じる。
2002年に渡米し、MBA(プロジェクトマネージメント専攻)を修了後、すぐに米系燃料添加剤メーカーで日本やアジア担当で働きながら博士課程へ進学。
7年近い歳月をかけDoctor of Business Administration, DBA(インターナショナルビジネス専攻)を2012年に取得。
2013年より日本の振動試験機メーカーの米国市場開拓に従事。3年弱をかけ単独で米国各地での展示会出展等を通し、現地のパートナーを獲得、今年の6月アナハイムで現地法人を設立した。高品質な日本製でありながらも、米国で販売することの難しさを実感。
南カリフォルニアでは航空宇宙振動試験施設にてNASAの世界最大級ロケットSLS (Space Launch System) 計画の部品の振動試験に寄与している。
自動車関係ではミシガンに於いてGM やFord 向け部品、更にシカゴ近郊では日系自動車部品メーカーにも試験設備を納入している。
「免許、資格」 日本: 教員(中学/高校)、船舶、丙種危険物、スキューバダイビング、乗馬、 自動車(バス、トラック、トレーラー、、特殊車、オートバイ)。 米国: 航空機(FAA自家用小型機)、自動車。
「趣味」 ワインテイスティング、ドライブ、カラオケ、ボーリング、ゴルフ、等々。
「所属団体」 39Thank you 会、麺友会LA 、北米百働会、Japan America Society (JAS)、South Bay Management Seminar (SBMS) 、新潟県人会、ハイキングの会、関西クラブ、LA遊友会、Briggs & Associates [1]
* 廣川真一氏の執筆、論文等(メディア等含む):
2016年 統計 (Academic Journal / Medical): Effect of Intravenous (IV) Assistive Device (VeinViewer) on IV Access Attempts, Procedural Time, and Patient and Nurse Satisfaction (Journal of Pediatric Oncology Nursing, July/August 2016, Vol. 33, No. 4, 273-281)[2]
2015 年メディア (Online): インターナショナルビジネス基礎知識Vol. 1「空気を読む」 (KanNavi Los Angeles, November 2015)[3]
2015年 メディア (Local Media): “俯瞰力”で叶える夢。日米を架ける仕事人 (Weekly LaLaLa, March 2015) [4]
2012年著作 (Academic Journal / Business): Developing Effective Marketing Strategies for the Japanese Market: A Review of the Literature (International Journal of Management, September 2012, Part 2, Vol.
29, Issue 3, 207) [5]
2012年博士論文 (Argosy University, Orange County, College of Business): FACTORS AFFECTING ENTREPRENEURSHIP IN LITHIUM-ION BATTERY CLEAN TECHNOLOGY BUSINESS IN SOUTHERN CALIFORNIA: A COMPARISON OF THREE GROUPS (Chair: Edwin I. Rudd, DPA, Committee: Raymond P. Briggs, PhD, & Jyotirmay Deb, PhD)
講演内容要約: 講演で使用された資料はここをクリックするとご覧になれます。
Media:US Japan 10.12.2016.pdf
国別のカルチャーがどれだけ私たちのビジネスに関係しているかというお話をメインに今日はお話をしてまいります。
新潟県出身
大学進学で神奈川に転居。
米国に行きたいという思いから、お金を貯めるために様々な職種を経験。
スウェーデンの会社に就職し、11年間勤務。中国、四国、九州地区を担当。 この時、各地でカルチャーが土地土地で違うことを感じました。
2002年に渡米。
米国でも様々な場所に仕事やプライベートで訪れています。 そこで、やはり各州によってもカルチャーが違うことを実感。
今年、医学ジャーナルにも研究に寄与したということで、名前が掲載されました。
2012年のビジネスジャーナルにも米国ビジネスの日本進出方法で名前が掲載。
オンラインの執筆では、インターナショナルビジネスの基礎知識を執筆中。
自動車、航空機の振動試験機器がメインの仕事。
GMやFordなどの車業界、そして航空機、ロケット分野の振動試験にも寄与。
カルチャー:
カルチャーの違いでコミュニケーションも変わります。
例えば、英国、米国でOKサインのポーズは、日本ではお金を表すサインになる。
その国独自の文化や人々の行動様式は、その国の様々な社会的要素、たとえば労働法や商習慣、歴史や宗教、人生設計や家族観、社会の階層構造や経済の発展段階などが複雑に絡み合って成立している。
他国の企業のビジネスモデルや組織マネジメントのルール、人事制度を強引に押しつけようとしても、無理。そこで文化の違いを認識することが大切。
High Context Culture & Low Context Culture(高文脈文化と低文脈文化)
Cultural Dimensions(6つの指標)
○力の距離感:上下関係
○個人・集団主義度
○男女社会度
○不明確回避度
○長期的志向度
○快楽的か禁欲的か
カルチャーの種類
・国別 日本だと各都道府県
・サブカルチャー 人種の違いや宗教、行動様式が影響
・組織カルチャー ドレスコード、サクセスストーリー、評価の違いなど
Edward T Hall
ハイコンテクスト文化とローコンテクスト文化」
日本 : 米国
口約束 : 契約
成立が遅い : 成立が早い
空気を読む : Yes Noははっきり
遠回し : 直接的
人に気を使う : 情報交換や意見交換
主観的 : 客観的
ハイコンテクスト文化 (日本、中国、タイ、ベトナム、メキシコ、ロシア、フランス、イタリア)
伝える努力やスキルがなくても、お互いに相手の意図を察しあうことで、 なんとなく通じてしまう環境のこと。
曖昧な言語
双方の合意に基づいた契約でも状況によって柔軟に変更
感情的に意思決定
状況やことば以外のものが意味を伝達することを前提としていて、自分の意図を文脈で伝達できることを期待している。
ローコンテクスト文化(米国、イギリス、オーストラリア、ドイツ、北欧)
コンテクストに依存するのではなく、あくまで言語によりコミュニケーションを 図ろうとする。
論理的思考力、表現力、説明能力、ディベート力、説得力、交渉力が重要視 伝達される情報がことばによるメッセージの中に与えられる。状況や文脈は情報を伝えないと考えられている。
Cultural Dimentions(6つの指標)
Dr.ホフステッド (ヘールト・ホフステード)オランダ人の学者
平均は50
1:Power Distance :権力格差:中国
日本は54
2:Individualism versus collectivism :個人主義
個人主義の度合いです。
個を重んじるのか。それとも集団を重んじるのか。
日本は46
3:Masculinity versus femininity :男性主義 日本が圧倒的に高い
社会構造が男性優位か否かの指標です。
数値が高いと言う事は、女性の社会進出(管理職の比率など)が低いと言う事です。 日本は95
4:Uncertainty avoidance :不確実性の回避
リスクに対する許容度です。
不確実な事にどれだけ対処できるか?という指標。 日本は92、米国は46
5:Long-term versus short-term orientation :長期主義
長期的な視点かどうかの指標です。
日本は88
6:Indulgence versus restraint 個人思考追求度
日本は規制が多く、個人の嗜好が自由にならないことも。
日本は42 米国は68
個人主義度は米国が一番
また米国は、長い目で物を考えない(Long term orientation)傾向がある。
日本対米国
初対面の時に日本では名刺交換が先になりますが、米国では名刺よりも目を見て挨拶が先、そして握手をする。握手する際もその握力などが自己表現となる。
Dr.ホフステッド
米IBMの世界40カ国11万人の従業員に行動様式と価値観に関するアンケート調査を行い、 1980年にはその国の文化と国民性を数値で表すことのできる「ホフステッド指数」を開発。
6つの指標から日米比較をしてみると、
日本は上限関係があり、米国では実力が伴っていないと上下関係が生まれづらい。
組織への帰属意識が高いのが日本で、見知らぬ人とも仲良くなれる、また専門職制が強いのが米国
個人よりも集団で競争することに長けているのが日本。 小さいころから赤組白組に別れて運動会などを行っている。
米国は競争社会で、ゴール設定、やればできると思う社会。
日本はアドリブに弱い、たとえば災害時などもそう。
一方、米国はリスクを負うことで、より良いポジションを獲得していく。
また米国はルールも少ない。
米国は伝統をあまり重んじないが故に、ルールも少ない。
日本はネガティブに考える人が多く、社会のルールに従う傾向があります。
米国は、ポジティブ思考。
日本では納期を決めたら、そこまでに完了させようとする
根回し文化
責任転嫁
お客様は神様
アルコールの力を借りてのビジネスもあり
インターナショナルビジネスとグローバルビジネスは違います。
インターナショナルビジネスは、2国間以上で、グローバルとは違う
インターナショナルビジネス成功の鍵
米国ではバイカルチュラルになることが大切と言われます。
言語
日本
個人はグループへの貢献。グループの貢献が会社への貢献。
どう達成したかが重要。プロセスも大切。
100でないと「出来る」とは言えない。もし言ってしまったら、出来なかった部分をつつかれ、正確性が問われる。
会議が頻繁。プロジェクトに関わる全員の同意を得ようとする。
訪問して顔を会わせる事が大切。顧客とは親子の様な関係を築く。
出勤時間が定められ、在宅勤務は少ない。会社では机が島になっていて誰が何をしているか、みんながわかる。
退職金や年金の為、一つの会社に長く残る傾向。
仕事の上に個人の人生がある。飲み会は重要な社内の交流の場。
米国
専門職制で、個人の貢献が会社のゴールに繋がる。
プリセスは問わず、時間もかけない。
可能性が5割から7割でも「出来る」と言って、それに近づけようとする。
なるべく効率よく。
顧客とはメールのコンタクトも自然。
自宅勤務は職種により一般化。会社では個室やパーティションで仕切りがある。
自分で退職金を積み立てる。これが会社に長く残らない理由の一つ。
家族、個人の生活が優先。人との付き合いはあるが、グループ行動ではない。
米国で日本式なやり方を続けていると上手くいかないことが多い。
例えば、それは、ベースボールフィールドで相撲をとるようなもの。
文化的問題を重視しながら現地の状況に合うように対応していくことが不可欠。
米国ではセカンドチャンスが認められているので、できなくても、とにかく仕事をとり、1度目でダメでも2度目で成功とさせる。
日本では1度目で成功するように仕事を行う。
以上。