昨年12月20日に2018年度のアメリカの税制改革法が成立しました。
さて、不動産市場にはどういった影響があるのでしょうか?
不動産に影響がある項目をまとめてみました。
* * * * * * * * * *
まず大きな部分では、個人所得税については、1つ目の表のようにどの所得レベルでも
適用される税率が引き下げられました。これはメリットですね。
これに対して、控除の限度額などに上限が設けられました。
2つ目の表と合わせてご覧ください。
1.Standard Deduction
課税所得を計算する際に、定額を一括控除する方法(Standard Deduction)と、項目別にひとつずつ控除していく方法(Itemized Deduction)がありますが、前者のStandard Deductionの額が改定になり、単身世帯で$12,000、夫婦世帯で$24,000まで引き上げられました。
2.State and Local Tax Deductions
Itemized Deductionを選んだ場合、控除の一項目である州・ローカル所得税、州の消費税、プロパティタックスの控除が$10,000までの限度に変更になります。
これまでプロパティータックスなどが全額控除できていたホームオーナーにとっては、非常に手痛い変更となりました。
1と2の改正は、持ち家世帯ではなく、控除があまり取れなかった世帯にとって、有利な変更になったと思います。
3.Mortgage Deductions
Itemized Deductionを選んだ場合の控除の一項目であるローンの利子控除は、これまで1ミリオンまでの
ローンが対象でしたが、75万ドルまでのローンが対象となりました。
(既存のローンはそのままの額で継続)
4.Child Tax Credit
17歳以下の子ども1人につき得られるタックスクレジットの額が引き上げられました。
5.Capital Gains Exemptions
自宅物件を売却した際の、キャピタルゲイン課税の控除は、変更なくそのまま適用されます。
※自宅物件の定義は
・主たる住居として過去5年間のうち2年以上住んでいること。
(一度、賃し家にしてから再び自宅として住んで合計2年以上の場合も可能)
・1人名義で25万ドル、夫婦名義で50万ドルまで売却益が控除。
・2年以内にこの控除を受けていないこと(2年間あければまた利用できる)。
・夫婦のいずれかが亡くなった場合、その日から2年以内に売却すれば50万ドル控除可能。
6.Depreciation Recovery Period
収益物件の減価償却年数にも変更ありません。
* * * * * * * * * *
以上の変更点を考察すると、ホームバイヤーにとって一番影響があると思われる点は
Itemized Deductionが1万ドルまでに制限されたことかと思います。
ロサンゼルス周辺は物件価格が高いため、これまで全額控除を取れた固定資産税や
ローンの金利が減額され、自宅を保有するタックスメリットは減ります。
ただ、個人所得の税率が下げられていることと、Standard Decuctionが引き下げられて
いるため、総合的に見れば同じくらいの納税になる可能性はあります。
これによって不動産の売れ行きは、少しだけブレーキがかかる可能性があると予測され、これを受けて
カリフォルニア州の今年の価格推移の予測値は4%台から3.2%へと下方修正されました。
※その後、2018年の上昇率は6月になって8.2%に再修正されました。
ただ、不動産の在庫不足が続くセラーに有利な市場ですので、このTax Reformによるマイナス影響は
多大にはないだろうというのが現状の見方です。
今年の不動産マーケットも引き続き緩やかな上昇基調になるのではないでしょうか。
引き続きしっかり追いかけていきたいと思います。
-----------------------------------------------------------------------
H2N / Hiroko Nishikawa Naumann(西川ノーマン裕子)
RE/MAX Estate Properties所属
アメリカ・ロサンゼルスの不動産の購入・売却・リースと、渡米・移住、アメリカから日本への帰国をサポートします。
RE/MAX Estate Propertiesはカリフォルニア最大の全米大手不動産会社RE/MAXのフランチャイジーです。
H2Nが持つ日米の不動産ネットワークを駆使して、心を込めてお手伝いいたします。
http://www.h2nusa.com/
Email: info@h2nusa.com
直通電話: 310-951-8233