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もの言う牧師のエッセー 傑作選 第75話

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もの言う牧師のエッセー 傑作選...
第75話 「 味噌 」

   震災から2年が経過した今も、一日2億4000万ベクレルという途方もない放射性物質が噴き出し続ける福島原発の前に、政府、東電、原子力関係者らは呆然と立ち尽くす。廃炉問題、汚染水、最終処分地、多くの避難民や内部被曝などの難問続出に、はっきり言って “お手上げ” なのである。復興とは名ばかりで、実際には全く手付かずと言ってよい。しかし実は日本には放射性物質を防ぎ、さらには体外に排出する素晴らしい食材があった。味噌である。

その事実を証明した秋月辰一郎医師は1916年に長崎で生まれ、京大医学部を卒業後、1944年から長崎浦上第一病院(現聖フランシスコ病院)院長(当時28歳)を務めていたが、翌年8月9日に原爆が炸裂。爆心地から1.4kmの同病院で勤務していた彼も自ら被爆者となったが、多くの負傷者の治療に奔走したのだった。 もともと放射線科の医師である彼は修羅場の中で思い出したことがある。「患者に放射線治療を施した際に自ら放射線を浴びた際に出る副作用と、被曝患者の症状の似ていること」、さらには「放射線技師たちが副作用に対して、濃い食塩水によって症状を緩和していたこと」である。実はその当時この病院は味噌・醤油の倉庫として指定されており、それらが大量に備蓄されていた。「塩辛い味噌汁を毎日飲め!」と、彼は叫び続け、それがそのまま実行された結果多くの人が救われ、彼自身も89歳まで生き、しかも原爆症を最後まで発症することはなかった。  聖書は言う。

「神は仰せられた。『見よ。私は、全地の上にあって、種を持つ全ての草と、
 種を持って実を結ぶ全ての木をあなたがたに与えた。
 それがあなたがたの食物となる。また、地の全ての獣、空の全ての鳥、
 地をはう全てのもので、命の息のあるもののために、食物として、
 全ての緑の草を与える。』すると、その様になった。
 その様にして神はお造りになった全てのものをご覧になった。
 見よ。それは非常に良かった。」 創世記1章29-31節 

と。私は神に感謝する。満身創痍の今の日本に、チェルノブイリ事故の時も欧州諸国が買い求めたという“良いもの” である味噌を賜ったことを。結局は神が造られた自然こそが、我々人類にとって一番良いということだ。神を信じ敬おう。
                          2013-4-14

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世界で最も安全な場所とは 神の御心の中だ。

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世界で最も安全な場所とは 神の...
皆さまに神の祝福とご加護が豊かに注がれますように。

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牧師、バイカー、鮨職人として。。。シェア from LA 第24話

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牧師、バイカー、鮨職人として。...
第24話「教会発足式、前編」  

   2008年末にはすでに教会は始まってはいたものの、実質 私と妻だけの小さな単立教会、しかも日頃 働きながらのミニストリーは毎日忙しかったが、何としても3年以内のイースター、つまり2011年4月24日に正式な発足式を近隣の人や友人らを集めて行いたいと祈っていた。しかしイースターはどこの教会も忙しいので1週間繰り上げ、17日の棕櫚の日礼拝に設定し直し(23話参照)、他教会の人々が来やすいように午後からの開催と決めた。折り返し郵便付き招待状を有志の方々へ送付するも殆どスルーされ、悶々とした日が続く中、ついに当日前の週末を迎えた。

前々日の木曜日に日本から私の家族を含む4人の兄弟姉妹が到着したが、私は前日土曜も鮨屋で板長をしていたので目の回るような忙しさ。しかも発足式の翌日月曜にはシゲ子さんの葬式も控えてる。しかし彼らは「サドルバック教会へ行きたい」と言うので同教会メンバーのトム(16話,23話参照)に話すと「土曜にハワイアンの昼食会があるから寄れば?」と言う。聞けば教会内ではなく最寄りのレストランとのことで、「何でこのクソ忙しいのに!」と腹立てながらも現地へ伺ったところ、そこには依然サドルバックでお世話になった懐かしい面々がいて、前回お世話になった正美姉や、日系人らと旧交を温め ほのぼのとした時を過ごした。

昼食会が終わり、私は鮨屋の仕事へと向かい、妻は4人の有志を乗せてサドルバック教会の土曜夕礼拝へ向かった。実は私がいた鮨屋はサドルバック教会の近所だったので、礼拝後、彼らは鮨屋に食べに来て「明日は頑張ろう!」などと盛り上が大いに恵みの時となった。

しかし、妻が彼らをホテルへ送る途中に立ち寄ったガソリンスタンドで何とアストロ・バンがえんこ!全く動かなくなり暗闇の中で立ち尽くした。ちょうど仕事を終えた私は大急ぎで現場へ駆けつけレッカーを呼び、その間に私の車で彼らをホテルへ送ったものの、明日の発足式のキーボードなどの資材一式と5人以上の人間をどうやって運ぶのか?土曜の深夜に修理できるはずもない。おまけに明日の朝は近所のクリスタル教会へ彼らを案内する予定もあり、さらに明後日の葬式にもバンは必要なのだ。もはや明日の準備をしてる余裕もなくなった。

「何でこんな時に!?」 もはや祈るしかない。つぶやくことを避け、歯を食いしばりながら主の御声に耳を傾けると少しずつ分かって来たことがある。「これは戦争や!」 私ごとの揉め事に非ず、“霊の戦い“だということ。教会にとって一度しかない発足式でなぜこういうことが起こるのか。それはサタンの悪の力が激しく抗っているからだ。つまりサタンがここまでムキになるほどこの教会にはイエスの望みが大いにある!「寝よう。」 後は明日だと決め、神を信じて眠りについた。その前日に与えられていた言葉。。。

「おおよそ神より生るる者は世に勝つ、世に勝つ勝利は我らの信仰なり。」
 第一ヨハネの手紙5章4節、文語訳
                            3-14-2020

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もの言う牧師のエッセー 第70話   傑作選

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もの言う牧師のエッセー 第70話   傑作選
「 EVよ、お前もか 」

    電気自動車(EV)の急速充電方式をめぐり、日本と欧米の自動車メーカーの対立がいよいよ激しくなってきた。世界に先駆けて約3年前に実用化に成功し、すでに欧米各地に 1600基以上の設置実績を重ねてきた日本勢の「チャデモ方式」が、 国際標準化への影響力が強い米自動車技術者協会(SAE)が昨年11月、欧米メーカーが開発中で現段階では実現していない「コンボ方式」の採用を決定したことにより、あろうことか苦境に立たされた。
   
これに対し日本勢は国際標準化を働きかけながら、設置数を増やしてデファクトスタンダード(事実上の業界標準)化を目指すというが何とも頼りない。実は欧米勢の発言力の強さに比べ日本のそれは哀れなほど小さい。というのは電気技術関係の国際標準を決めるのはジュネーブに本部を置き現在130カ国以上が加盟する国際電気標準会議(IEC)であり、その本部はもちろん下部組織に至るまで欧米勢が牛耳る。しかもSAEはIECと長らく協力関係にある
のだ。

かつて90年代、第二世代携帯電話の通信方式を巡って日本標準のPDCと欧州標準のGSMが争ったことがあったが、結局のところ日本方式は日本以外では全く採用されず、いっぽうでGSMは現在も世界の82%、212カ国地域で利用されるに至り、日本の携帯電話は世界で取り残され、サムスンの台頭までも許してしまった。私には、何度もIECに日本が煮え湯を飲まされた、というよりも、日本人はそもそも良いものを作ろうと目先のことに汲々とするばかりで、“標準化”という、ともすれば企業や国家の盛衰を決する大局的なことに無頓着に見える。  聖書の中で神は、

「 全地よ。主を恐れよ! 世界に住む者よ。みな、主の前におののけ!」
                   詩篇33篇8節

と叫び、自分が全ての標準であることを世界に喚起しているが、日本にクリスチャンが少ないのは、彼らが標準に疎いからなのかも知れない。チョコチョコ充電器を設置するのもいいが、今こそ日本は真の標準であるキリストの力と知恵を得てしっかりと世界標準に目を向け、がっぷり 四つに組んで 欧米勢/IEC に勝ってほしい。      2013-3-1

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牧師、バイカー、鮨職人として。。。シェア from LA 第23話   

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牧師、バイカー、鮨職人として。...
第23話「シゲコさんの葬式」  

   さて、受洗後のシゲコさん(7話~10話参照)は、主の恵みの力で元気になり、認知症により忘れていた英語も思い出し、以前よりも歩けるようになり、バイブルスタディも続けていたが、パーキンソン病を併発していることが分かり、受洗から半年ほどたった頃から急速に体調が弱り寝込むようになり ほどなくして人事不省に陥った。さらに半年が過ぎ、年を越え春を迎えたある日、息子さんのトムから急な電話があった。

「ミッキー、久しぶり。オフクロがついに死んだ。お前300ドルで葬式やってくれるよな?」 300ドル?安!と思ったが「ついに彼女が?。。。 ああ、いいよ。と言うか、アンタ大丈夫なの?それに俺でいいの?」と返すと「ああ、平気さ。彼女は天国に行ったんだから。もちろん君しかいないだろう。君が母を導いたのだから。それより葬式をいつにすればいい?お前も色々忙しいだろ?」 

その通りだった。すでにミニストリーを初めて2年経過していたが、ようやく教会の認可も取り、受洗者も3名ほど与えられるなど教会らしくなりつつあり、ここらで正式に「教会発足式」をしようと準備中で、日本からも有志が応援に駆け付けてくれることとなり、その日を2011年4月のイースターの前週である第三日曜日(棕櫚の日礼拝)17日に定めバタバタしていた。が、「じゃあ発足式翌日の月曜にやろう!」と決めた。アメリカでは誰かが亡くなってもすぐに通夜などせず、冷凍保存するか先に火葬するかして参列者が集える日に葬式を行うのが通例なので即決できた。「オフクロの思い出話はどうでもいいので とにかく徹底的に福音を語ってくれ!参列者の殆どはクリスチャンじゃないから。」と言う彼。

「で、参列者は何人ほど?」と尋ねたら、「50人くらいじゃない?」と言うので、じゃあ家族的なんだなと少し安心した。実のところ、両親が2人とも牧師であったこともあり私は幼い時から神学を叩きこまれ、ハタチを過ぎた頃には数百人の前で説教していたが、英語での説教は未経験だった。個人伝道などでは困らないものの日常会話と説教とでは英語の質が全く違う。祈りつつ当日を迎え講壇に立って見ると、「何じゃこりゃ!」 何と300人ほどもいる!思わず背中が凍り付く。「神さま、助けて」と祈りながら聖書朗読を終え説教に入ったが、「何やこれ!間違ごうてるやんけ!」と気付いた。 聖書朗読の後は親族による思い出話の予定だったが すっ飛ばして説教しちゃった、トホホ。こうなったら開き直って福音を語るしかないと必死で語った。

葬式が終わった後、トムさんに”間違い“を謝罪したが、「そうなの??気付かなかったよ。最高の葬式だった。ありがとう!」と喜んでくださった。おまけに彼の妹さんと合わせて3000ドルも献金してくれた。
”予定“の10倍だ。シゲコさんのミッションは初めから終わりまで主の憐れみに満ち満ちていた。

「主の慈しみは決して絶えない。主の憐れみは決して尽きない。」 
                 哀歌3章22節、共同訳 
                        2-27-2020

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もの言う牧師のエッセー・・・第370話   特別メッセージ 

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もの言う牧師のエッセー・・・第370話   特別メッセージ 
「 私はあなたを赦します 」

    昨年の暮れ、アメリカおよび世界中に衝撃を与えた若干18歳の米黒人青年、ブラント・ジーン君が、アメリカ及び世界130ヶ国からの数万人の弁護士及び司法関係者らの会員で構成されるCAIL(The Center for American and International Law/合衆国法と国際法研究所) から「Ethical Courage Award /エシカル・コラージ(倫理と勇気)賞)」を受けた。

2018年9月6日の夜、テキサス州ダラスのアパートで悲劇は起きた。当時婦人警官だったアンバー・ガイガー(現在服役中)が、仕事から帰宅する際に、⾃宅と勘違いして⼀つ上の階に部屋に⼊り、リビングルームでテレビを見ていた当時26歳の黒人青年ボーサム・ジーンさんを“侵⼊者“と勘違いし、あろうことか射殺してしまったのだ。「また白人警官が黒人を殺した!」と全米に囂々たる非難が渦巻く中、2019年10月1日、アンバーに10年の禁固刑が言い渡された。「たった10年?」怒りが爆発する黒人団体を尻目に、最後に証言台に立ったボーサムさんの弟のブラント青年がこれから刑務所へと向かうアンバーに驚くべき言葉を投げかけた。

「もし あなたが心から謝罪するなら、私はあなたを赦します。もしあなたが神にそう尋ねるなら、神もきっとそう言うでしょう。また、兄のボーサムもきっと同じことを願うでしょう。悲しんでいる私の家族の前でこんなことを言うのもなんですが、私はあなたに刑務所にさえ行ってほしくない。あなたに何も悪いことが起こらないように願います。あなたには良いことだけが起こってほしい。そして、残りの人生をキリストのために生きてほしい。」 静まり返る法廷。そして、ただ隣席者のすすり泣く声が聞こえる中、彼はアンバーをハグしたのだった。

その後、涙を拭いつつ状況を見ていたタミー・ケンプ判事は、泣きじゃくるアンバーに近づき、抱きしめ、自ら毎日使っている聖書を取り出し、「これがあなたのスタートよ。」と言って

ヨハネ3章16節「神は、実に、そのひとり子をお与えになったほどに、世を愛された。それは御子を信じる者が、ひとりとして滅びることなく、永遠のいのちを持つためである。」

を読み上げ、聖書を手渡した。いっぽう裁判所前では、判決を不服とする大群衆がデモを繰り広げた。さらに無神論者の団体は「テキサスの判事は政教分離の一線を越えた!」と金切り声をあげた。また、ボーサムさんが生きていれば28歳ということで検察は最低でも禁固28年を求刑していた。母親のアリソンさんは息子ブラントの態度に理解しつつも法と警察の怠慢には不満を募らせた。父親のバートラムさんは「日曜日が一番辛い。一緒に教会で礼拝し、毎週彼は聖歌隊で歌っていたのに、彼はもういないのです。」と涙に暮れる。様々な立場とそれぞれの思い、怒りと悲しみ、不条理に対する答えなど無いのかも知れない。それゆえに、ブラント青年が示したキリストの愛は強烈な光芒を放ち、人々を揺さぶった。そして改めて知る。キリストの愛だけが人を救う唯一の答えなのだと。    2020-2₋7

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もの言う牧師のエッセー 第69話    傑作選

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「 泣く子には勝てぬ 」

   昨年暮れ、ある有名漫画家が、たまたま泣き⽌まない乳児と同じ⾶⾏機に搭乗した際、「うるさい」と航空会社にクレームを⼊れ、さらにその一部始終を記事にして問題提起した つもりが、逆に彼のほうが著名人らを中心に各方面から集中砲火を浴びてしまったことがあったが、その内容が実に興味深い。

脳科学者の茂⽊健⼀郎⽒は「1歳の⾚ちゃんのふるまいを、コントロール出来ると思っている⼤⼈がいることが信じられない」と言えば、弁護⼠の落合洋司⽒は「気持ちはわかるが⾚ちゃんが泣くのは仕⽅ないのでは。昔から、泣く⼦と地頭には勝てぬ、いうくらいで」と発言。 さらに、音楽プロデューサーのつんく氏のコメントが胸を打つ。「15年前⾶⾏機で離陸から着陸まで泣いてた⾚ちゃんのママと⽬が合った。『すいません。疲れてはるのに居眠り出来なかったでしょ』って。『いえいえ、2時間泣いてたこの⼦が⼀番がんばった。エライエライ』って⾔ったらママさんが涙しはった。今ならこのママさんの涙の意味がわかる。⼦供は泣くさ」と。作家の⼄武洋匡氏も「大人が我慢するか、子供に我慢させるかではなく、その光景を微笑ましいと思える大人になりたいな」とも。
最後にキリストの話。

「さて、イエスに祝福していただこうと、人々が、
 子供たちを連れてやって来ました。ところ 
 が弟子たちは、邪魔だとばかり、彼らを追い返そうとしました。
 それをごらんになったイエスは、弟子たちをひどく叱りつけました。
 『子供たちを、自由に来させなさい。
 神の国はこの子供たちの様な者の国なのだ。
 追い払うなど、とんでもない。』(中略)それから、
 子供たちを抱き上げ、頭に手を置いて、祝福されました。」
        マルコの福音書10章13-16節:LB。

子供は祝福であり愛すべき存在であるのに議論の余地はないが、イエスはさらに一歩進める。何と、天国と子供に対する大人の態度とは関係があるのだ。実は神から見れば我々人類全てが子供であり、いつも愛しておられる。だからこそ神は人類に救い主を送って下さった。したがって、我々も子供たちや弱い人たちを愛さなければならないということだ。
2013-2-24

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牧師、バイカー、鮨職人として。。。シェア from LA  第22話

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第22話「ついに法人化 成る」 武曽氏シリーズ最終回   

   さて、教会のアカウントの立ち上げと同時に非課税認可の申し込みをIRS(歳入庁:日本の国税庁に相当)へ送ってから数カ月したある日、ワシントンDCから多くの書類が入った分厚い封筒が届いた。「ゲッ!」嫌な予感は当たり、これまでに送った資料では全く不十分で、特に規約と綱領に関しては全部初めからやり直せと言う。その他にも教会内の礼拝所やトイレなど使用施設の写真をはじめ私自身に関する記録など、提出すべき資料が満載されてる。

さっそく武曽氏に調べてもらったところ、「これはヒドイ!古林さん、これは無茶苦茶だ!はっきり言ってこれは“いちゃもん”ですよ。まるで認可を取らせたくないみたいですね。」と彼。以前は宗教法人の非課税認可など楽勝で取れたのだが、それゆえ詐欺に使われることが増え ここ数年急に厳しくなり、さらにはリーマンショック直後の不景気でもありNPOへの課税法案まで議会で飛ぶ出す始末で、宗教関係の認可は難しいのだと言う。

「何とかしないといけない! 今までは基本的にアシスタントに任せてきましたがここからは私がやります!」と武曽氏は仕事に取りかかり、私も指示された資料を集めた。礼拝所などと言うものなどなく、当時はただ時間割サブリースの事務所を借りてただけだったが、ウソを言うわけにもいかないのでそこの写真を撮り、たまに信者らが泊まり込む自宅アパートのリビングルームを”寮“として説明するなど出来るだけ多くの資料を載せ、最後に丁寧な英文を作成して再トライ。

約1ヶ月後、やや薄めのA4ファイル封筒がワシントンDCから届き、中に「ここにSo Cal Bible Church(南カリフォルニア聖書教会)の設立を認可する。国務長官:デボラ・ボーエン」とあり驚いた。ついにやった! ハレルヤ! 急いで武曽氏に連絡したところ、「おめでとうございます!本当に良かったです!一時はどうなることかと思いましたが、『この人だけは何としても助けなきゃ!』と思って頑張りました!」 後で知ったことだが、彼の顧客は大企業が多く初期手数料だけでも1万ドル近くにもなるそうだが、今回の多大な労にも関わらず1000ドルぽっちの支払いで済んだ。それでも彼は「教会からお金をいただいてごめんなさい。」と何度も仰られたので恐縮した。本当に主は彼を通して大きな御業を成された。

「見よ。わたしは、使いをあなたの前に遣わし、
 あなたを道で守らせ、
 わたしが備えた所にあなたを導いて行かせよう。」
       出エジプト記23章20節

この後、武曽氏は当教会の発足式に往復200キロかけて参加されたり、クリスマスには中華料理をご馳走してくれたり、献金もして下さった。しかしまだイエスを信じてはいない。10年たった今も武曽ご夫妻の救いを毎日祈っている。
                              2-4-2020

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もの言う牧師のエッセー 第67話 傑作選      

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もの言う牧師のエッセー 第67...
「 インフラ崩壊元年 」

    昨年12月2日、山梨県の中央自動車道笹子トンネルで、天井のコンクリート板が約130mにわたって落下し、複数の走行中の車が巻き込まれ、日本の高速道路上での事故としては、1979年に発生した日本坂トンネル火災事故などを死亡者数で上回る最悪のものと なったことは記憶に新しい。実はこの事故の10ヶ月前の毎日新聞において、東洋大学経済学部の根本祐二教授は警告を発していた。その内容はずばり “朽ちるインフラ” だ。

「道路、橋、上下水道、学校など、全国に老朽化している社会インフラが多くあり、これらは高度経済成長期の60年代から80年代に造られたもので、これから続々と寿命を迎えることになり、例えば、老朽化により通行規制中の橋だけでも全国に1400もある」。

この事実は80年代の米国とソックリだ。1930年代に当時のルーズベルト大統領が大恐慌の大量失業を解消するため、全米でダムや橋などの公共事業を実施したが、その後50年を経て老朽化し事故が続発、多数の施設の崩壊や使用停止が相次ぎ、中でもニューヨーク市ウェストサイド・ハイウェーで起こった、走行中のトラックが高架崩落により転落した事故は有名だ。

奇しくも来年は東京五輪50周年だが、このままでは“インフラ崩壊元年“ になると根本教授は言う。ちなみに老朽化インフラの維持更新費の総額は今後50年でざっと330兆円ほどになり、これは毎年8・1兆円必要とのことだが、現在の予算配分はせいぜい9000億円でお話にならない。

「すべての人は草、その栄光は、みな野の花のようだ。
 主のいぶきがその上に吹くと、草は 枯れ、花はしぼむ。
 まことに、民は草だ。 草は枯れ、花はしぼむ。
 だが、私たちの神のことばは永遠に立つ。」
               イザヤ書40章6-8節 。

と聖書は、人には終りがある、はかないものであることを警告してきた。しかしながら、神は決して人類の崩壊を望んではいない。実は「永遠に続く神の言葉」こそが救い主キリストなのだ。今一度、永遠に続く神の力に目を向け、思いを馳せてみてはいかがだろうか。     2013-2-5

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牧師、バイカー、鮨職人として。。。シェア from LA 第21話

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牧師、バイカー、鮨職人として。...
第21話「アメリカで教会を法人化する」Part 5 武曽氏との問答③  

   それからも武曽氏は話を続け、彼の口から衝撃的な言葉が飛び出した。
カレ:実はボク、サンフランシスコに不動産を持ってるのですが、その物件を教会に貸してるんです。
ボク:何ですって?! 教会に? 真宗のあなたが?
カレ:ええ、まあ。
ボク:日本人の教会ですか?
カレ:いえ、黒人の教会です。
ボク:えー! 日本人で真宗のあなたが黒人教会に物件を貸す?! それはスゴイ!
   彼らはどんな人たちなんですか?
カレ:とても素晴らしい人たちです。貧しいにもかかわらず、困った人たちに手を差し伸べ、
   ホームレスの人たちに食事や住居を提供するなど、本当に良い人たちですよ。
ボク:ん~、そんなんで家賃をちゃんと払って貰えてますか??
カレ:(頭をかきながら)それがぁ。。ここ6カ月ほど滞納してるんです。
ボク:えー! やっぱりそうなっちゃったんだ。大変だ そりゃ。じゃどうするんですか?
カレ:いやぁ、分かんないですぇ。とにかく良い人たちなので追い出したくないんですよ。
ボク:いや本当に素晴らしい! 武曽さん、あなたは神さまに本当に祝されてますよ!
カレ:いえ、僕なんかとても。初めて古林さんにお会いして、あなたが困っている人を助けた
   りしてるのをお聞きした際に、「何だか彼らと似た事をしてる人がいるな~」と思った
   んです。しかもこんな近所で日本人の方がそうしてるのを聞いて驚きましたね。
そう言えば、彼と初めて会って法人登記や税法上の説明を受けた際、法人化に必要な情報、つまり教会と私個人の具体的活動を色々聞かれたことがあった。彼はそれを覚えていたのだ。
そして彼は、「だから私は、『この人だけは何としても助けたい』と思ったんです」とポツリ。

ああ何と恐れ多い評価だろうか。思わず天を見上げ涙ぐんだ。あの頃の教会は何もまだ整っていない状態であるにもかかわらず、無料で葬式の奉仕をしたり(5話参照)、ホームレスの日本人男性が転がり込んで来たり、教会予算を賄うために新しい鮨屋で働き始めたりとバタバタしていた。何も実がならない鬱陶しい日が続いた。しかしその全てはこのためだったのだ。人に仕えることが神に仕えることであることを今さらながら思い知った。ここで前回の1/10献金の“使い道“問答について もう一つ重要なことを思い出す。それは

「その年の収穫の十分の一を全部持ち出し、あなたの町囲みのうちに置いておかなければならない。あなたのうちにあって相続地の割り当てのないレビ人や、あなたの町囲みのうちにいる在留異国人や、みなしごや、やもめは来て、食べ、満ち足りるであろう。あなたの神、主が、あなたのすべての手のわざを祝福してくださるためである。」   申命記14章28-29節

ことだ。献金というのは決して団体の維持や職員の給料だけに使われるべきものではない。人を助けるためのものでもあるのだ。そして喜んで捧げる者を神は豊かに祝してくださる。              1-18-2020

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