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『他人でいる』ことのススメ vol.562

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『他人でいる』ことのススメ v...
自分らしさ
 
自分軸
 
自己肯定感
 
ポジティブ
 
何だか常に前向きでいることが正しいと思い込んでいた自分があの頃いて、そして世の中にも何だか息苦しいほどにそんな空気が充満していたような気がする。
 
自分らしい生き方
 
幸せになる生き方
 
後悔のない生き方
 
いつしかそんな言葉が目の前に人参があるかのようにぶら下がり、ヨダレを垂らして欲しがっている自分になっていた気もする。
 
自分を探す自分
 
生き方を見つけるための生き方
 
それを見つけられずにいたが、たぶん十分にもがき苦しんで何か納得するものを手にいれたであろう今の自分がいる。
 
齢40も半ばを超え、ようやく自分探しや理想の生き方を手放すことができそうになっている。
 
というのも、まだ小指の先がソレに引っかかっているような感覚も、無きにしも非ず。
 
ソレもコレも結局は他人と比べ常に無い物ねだりをしている自分がいて、無いものを手にいれようと必死になっているから
 
「いかんいかん、それは自分じゃない」
 
「自分はこうありたいのだろう」
 
「それは本当に自分らしい自分かい?」
 
と自分にのみフォーカスして盲目的に問いかけそして向き合い続ける。
 
それもたしかに必要よね。
 
けど、その苦しみたるや(笑)
 
もちろん自分と向き合わないといけないんだけど、あの人もこの人も目に入っちゃうじゃないのよ。
 
そんなある時にふと思った。
 
あの人の目指す先も歩く道もわからないのに、同じ道を歩いているような、同じ行き先に歩いているような、同じ場所を目指して歩いているような、そんな感覚さえ捨てたら、少しはあの人と比べようとする気持ちは薄れるんじゃなかろうか。
 
重ねる必要もなかろうさ。
 
そうしようとする時に、決まって心で呟くセリフがある。
 
「あなたはあなたの道を歩いているのね」
 
「どうぞどうぞ」
 
「私は私のこっちの道を行くね」
 
そして最後のひと言がとても大事。
 
「さぁ、おゆきなさい」
 
そう、スカイハイの釈由美子さんのように。
 
自分が自分らしくあるのはたしかに大切。
 
それと同じくらい、アナタとワタシは別の人間で、同じように見えても別々の道を歩いている他人なのよね。
 
そうやって自分も相手も大切に思えたとしたら、何か最高じゃない?
 
比べようとせず重ねようとせず、こっちはこっち、そっちはそっち。
 
もっともらしいこと言ってるけど、別に新しいことなんて一つも言ってないのよ。
 
ソレっぽく言ってるだけ。
 
でも、それが「他人でいる」ことのススメ。

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