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54. 流産手術の日の決め方

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54. 流産手術の日の決め方
診察室の超音波検査で、期待と不安の嵐の中、
先生から、

「赤ちゃんの心臓の動きが・・・・・。」
「流産です。」

と、静かに告げられ、
一気に感情が爆発する人、
感情が凍りついて恐ろしく冷静にみえる人、
何が起こったのか理解できない人、
といろいろな人がいらっしゃいます。

しかし、どのような人に対しても、
その後すぐに、
今後の方針が説明されると思います。


「いつ手術しますか?」

と聞かれて、
ほとんどの人は、
頭が混乱し、即答できません。

言われるままに、あるいは、おぼろげに、

「早く手術してしまおう。」

と考えませんでしたか。


私の30年以上の臨床経験から言うと、

少なくとも、一週間ぐらいは
自然に様子を見たほうが良いと思います。
この間に、出血が起こってきたら、
それは、赤ちゃんが自分の力で出てこようとしているのです。

母体の子宮内膜組織と赤ちゃんの組織が
自然に分離しているのです。

同じ手術でも、少し分離が起こった状態ならば、
正常の子宮内膜組織をあまり傷つけずに手術できるからです。


また、「流産です」 と言われたとき、
胎のう(赤ちゃんの袋)が15mm以下の場合は、
二週間ぐらい様子をみてもいいように思っています。
その間に、出血が起こったとしても、
通常の生理の2倍ぐらいの量であり、
通常の生理の2倍ぐらいの下腹部痛です。
もしも、手術をせずに、
自然に赤ちゃんが出てきてくれれば、
ご本人にとっても、
また、将来の赤ちゃんにとっても良いと思います。

ただし、その間の待機的管理と自然排出の確認は、
絶対に必要ですから、
担当医と十分相談する必要があります。


最近の欧米の傾向でも、いろいろな臨床研究結果より、
流産したら即、手術ではなく、
まずは自然に様子を見るという
 「待機的管理」 が、
ひとつの大きな選択肢となってきています。


また、日本では未だ認可されていませんが、
初期流産(妊娠6週ぐらいまで)の患者さんに、
ミソプロストール
というお薬を膣内に入れると、
3日目に71%、8日目に84%の割合で、
子宮内容物が完全に排出されたことが、
世界で最も信頼できる医学誌(N Engl J Med)の
2005年8月25日号に報告されています。
詳しくは、ミソプロストールというキーワードで、
検索してみてください。


自然に赤ちゃんが出てきてくれたならば、
それは一番いいことです。
子宮はまったく傷ついていませんし、
かえって毛細血管網がはりめぐらされたまま残り、
次の赤ちゃんにいい財産を残してあげられる
可能性があるからです。

さらに、ご本人の精神的な恩恵も大きいのです。
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