20.ある不育症患者さんの手記(2−7)
3月
6日
35週6日、少量の出血があり、
子宮口は2〜3cm開いている。
いよいよかな?
しかし、1週間くらい、おしるしが続く人もいるらしいから、
すぐに陣痛が来るわけでもなさそうだ。
36週0日、
生理痛のような痛みとお腹の張り、
前駆陣痛かもしれないと言われていたが、
夜になり、痛みが増してきた為、
これは陣痛なのでは?と思い始め、
機械でお腹の張りの間隔を見てもらおうと、
ナースコールをする。
念の為に、夫に電話をいれる。
「 陣痛かどうか分からないけど、病院にきてくれる? 」
陣痛室に入り、子宮口を見てもらうと、
なんと7cmも開いている。
自分でもびっくり。
やっぱり陣痛だったんだ。
その後は、あっという間に痛みが増して、分娩室へ。
後に、喜びが待っている痛みなのだから、
「 痛い 」
という言葉は口に出さないようにしたいと思っていたが、
ちょっと無理だった。
助産師さんが、
「 そうだね。痛いよね。 」
なんて言ってくれるから、余計と甘えて出てしまう。
「 痛い! 」
「 オギャー! 」
大きな声が、分娩室に響き渡った。
初めて聞く我が子の声。
白い脂で包まれた生まれたばかりの赤ちゃんを
胸に乗せてもらう。
これこれ、赤ちゃんの臭い。
病室に戻り、一睡もしていなかったのに、
頭が冴えて眠れない。
亡くなった2人の子供のことばかり思い出され、
声がもれないように
必死に抑えて 泣 い た。
元気に生まれた赤ちゃんを見て、
亡 く し た 命 の 大 き さ に、
改めて気付かされた。
「 苦節何年、この赤ちゃんは宝物だね。 」、
「 今まで色々あったから可愛いでしょ。 」
というような事をよく言われるが、
私にとっては、
3 人 と も 同 じ く ら い 可 愛 く て、
宝 物 だ と 思 っ て い る。
流産、死産は悲しい出来事だし、
もう2度と経験したくないが、
だからと言って、
自分は不幸だとは思っていない。
今の自分があるのは、
子供達のおかげだと思っている。
2人の子供に教えてもらった大切な事を、
生まれてきた新しい命に伝えていきたい。
終わり。
投稿日 2009-03-07 07:31
ワオ!と言っているユーザー
投稿日 2009-03-08 10:54
ワオ!と言っているユーザー