494.第16回 「青クリの会」 のご報告
6月
6日
ミッドランドスクエア会議室で
第16回「青クリの会」を開催しました。
晴天に恵まれ、
多くの方に参加していただきました。
90%以上がご夫婦の参加でした。
今回は最近の注目すべき
欧米の研究報告内容もお話ししました。
全体的な講演内容は、以下の三つです。
1、 発生学から見た着床前後・妊娠初期の
子宮内(培養)環境の変化とその異常。
~免疫・凝固・血管神経・ホルモン系~
2、 特に重要な自己免疫異常と
同種免疫異常についての検査と治療。
3、 受精卵・胎児のライフラインである
子宮内栄養細動脈(ラセン動脈)
の神経支配に関係する検査と治療。
一例として、
3、 に関係する 「支持的精神療法の威力」
を示す注目すべき研究内容をお話ししました。
1983年にニュージーランドから世界で初めて
抗リン脂質抗体症候群の診断と
その治療方法としての
低用量アスピリン(バッファリン、バイアスピリン)と
ステロイド治療の効果が
発表されたのですが、
その国から2000年に、
産婦人科で最も権威のある
Am J Obstet Gynecolという医学誌に、
無作為二重盲検比較試験という
信頼性の高い研究方法を使い、
血栓症や膠原病のない
抗リン脂質抗体症候群と診断された
3回以上流産を繰り返した患者さんに対して、
アスピリン薬か、あるいは、
栄養薬を飲んでもらいました。
飲む薬の中身は医療側も患者さんも
わからないようにされました。
その結果、写真のように、
アスピリンを飲んだ集団と
そうでない集団では、
治療成績に有意差がなく、
両群で約80%の好成績だったのです。
この結果の重要なポイントとして、
臨床試験に参加してもらうために、
すべての患者さんには、
妊娠前から妊娠初期にかけて、
十分な支持的精神療法が
(Supportive Care)
(Tender Loving Care)
医師と看護師からなされたのです。
もちろん、患者総数が多くはないので、
これだけで断定はできませんが、
アスピリンで血管内をサラサラにしなくても、
(アスピリンは原因不明には効果がなく、
さらに出血しやすくしてしまいます)
支持的精神療法で血管の収縮を予防すれば、
同じような治療効果が得られる可能性が
あるのです。