185. 着床障害の治療としての着床前・全染色体スクリーニング法
7月
21日
スペインとイギリスから一題ずつ
着床障害についての招待講演がありました。
まずは
スペインのドクターからの主な発表内容を下記に報告します。
着床しない原因は、
種(受精卵)と土(子宮内膜環境)に分けられる。
土については、
抗リン脂質抗体、血栓性素因、
抗甲状腺抗体、NK細胞の異常高値が指摘されているが、
実際には、未だ、はっきりしていない。
それに対する治療効果も不明のままである。
ただ、子宮内NK細胞については、
多くの生物学的研究から見て、
着床現象に深くかかわっていることは確かである。
種については、
良い質の受精卵を移植するために、
卵子提供を受けて移植すれば、
10%以上成功率が上がる。
着床前・全染色体スクリーニング法
(CGH法、比較ゲノムハイブリダイゼーション法)により、
受精卵を選別すれば、
50%以上の成功率が得られる。
以上のような内容の講演でした。
CGH法については、
医学的にみて、確かに、
魅力的な新技術です。
ただ、倫理的にみて、
命の選別につながる可能性もありますので、
日本においても、
今後、多方面から議論されることと思います。
たとえば、
ダウン症も事前にわかってしまうからです。
ドイツ、オーストリアでは禁止されているようです。
卵の質を劇的に良くするために、
他人の卵子を使う、
また、
すべての遺伝情報を調べて選別してしまう、
ということは、
安易にはできないことと思います。
本当に、
「命の意味」
について、
考えさせられた内容でした。