過去に妊娠初期流産を8回経験されていた時点で、
当院の開院と同時に受診された患者さんです。
ご夫婦の染色体検査、子宮MRI検査、子宮鏡検査、
卵巣、甲状腺、プロラクチン検査、感染症検査、糖代謝検査、
抗リン脂質抗体検査、血液凝固系検査、
NK細胞検査、免疫調節検査、細胞外マトリックス検査は、
すべて正常範囲でした。
精神分析結果では、軽度の不安障害、適応障害を認めました。
当院治療として、
9回目の妊娠より、
支持的精神療法、精神薬物療法を中心として、
身体的原因は不明でしたが、
ヘパリン、アスピリン療法、ステロイド内服療法を
行いました。
しかし、過去の8回妊娠と同じく、
9回目、10回目、11回目、12回目、
すべて、胎児の心拍を確認できず、
胎のうを認めるだけで流産されてしまいました。
そこで、
長年の経験から、
不随的なパニック的な精神的緊張があると考え、
精神薬物療法を増強しました。
さらに、
子宮内の非特異的な炎症があると考え、
妊娠前からの子宮内ステロイド洗浄療法と
妊娠極初期からのステロイド内服療法を行いました。
また、
ピシバニール免疫療法も併用しました。
その結果、
ついに長年の夢が現実となり、
今まで一度も超音波検査で見えたことのない、
赤ちゃんの心臓の拍動が、
妊娠6週時点で確認できたのです。
4mmの赤ちゃんでした。
妊娠7週で14mm、
妊娠8週で22mm、
妊娠9週で29mmとすくすく育っていきました。
今、振り返ってみると、
9回目、10回目、11回目、12回目、
すべての時に、
どれほど
希望から恐怖と絶望に追い落とされ、
さぞや辛かったろうと思われます。
今までの12人の天使の分まで、
強い子に育っていってほしいと願っています。
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