１４７． 子宮が半分しかない子宮奇形

先週、子宮が半分しかない
単角子宮という子宮奇形の不育症患者さんが、
妊娠初期の最も危険な時期を乗り切って
当院を卒業されました。

１人目も当院治療により正常出産されており、
２人目のお子さんとなりました。

私の不育症治療歴は30年強、治療症例数は3000例弱ですが、
単角子宮の不育症患者さんの治療経験は５人のみです。

５人の中の２人は10回以上の流産経験があり、
そのうちの１人は早産でしたが、無事出産されています。
残り３人の不育症患者さんのうち、
２人は無事出産されていますが、
そのうちの1人が、今回２人目のお子さんとなったのです。

単角子宮という子宮奇形は、
もともと子宮が左半分か右半分しかないので、
手術で整復することは不可能です。

流産を繰り返して、
その悲しみの中で、
いろいろな検査を受け、
その結果、
「子宮が半分しかない奇形があります」　と、
宣告されたとき、
頭の中は真っ白になったことと思います。
絶望感に打ちのめされたことと思います。
自分の運命を呪ったかもしれません。

でも大丈夫ですよ。

私の治療経験の中で、
子宮奇形については、
50例以上の経験がありますが、
その多くが子宮形成手術を受けなくても、
精神的な因子も含めた他の原因を見つけて治療すれば、
１回の妊娠につき、
約７０％の成功率です。

2011年の多施設共同の研究結果では、
200例以上の子宮奇形について調査したところ、
子宮奇形の中で、
中隔子宮については、
手術をしたほうが、しないより成功率が良かった
という結果でしたが、
双角子宮については、
手術をしてもしなくても成功率に差はなかった
という結果でした。

子宮奇形があっても
うまくいきますから。

大丈夫ですよ。

自分を過剰にいじめないで下さい。

診察番号９１０です。先生の治療のおかげでようやく我が子を抱くことが出来ました。ありがとうございました。臨月で妊娠高血圧症候群になり、帝王切開となりましたが…。山あり谷ありの妊娠でしたが無事終わってホッとしています。先生、看護師さん、本当にありがとうございました。