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現代詩の小箱 北野丘ワールド

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森の子

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ポケットに
生きてる古綿の重みの
雛がいた

夢のお告げは波打ち際で
(海の女神に
 傷ついた 雛を帰しない)
との声だった
ほう
それを知ったら惜しくなった

白い乳母車に雛をのせ
夜の岬に散歩にでかける
どれも淡い色の奥

似てる かな昔話の女に似てるかな
けれど部屋に
籠もりすぎても凶

海に女神いるって話
おまえ覚えてますか
日除けをたたんで
雛は
くるりくるり
顔を全方位にまわしている
なんでまた わたしに
うまいかい うちのハムスター
わたしは おまえを盗んだのですか
どうだろう
おまえの脚のかぎ爪は
御覧

みんながおまえに道をあける
わたしたちの月光浴

 波の砕ける音がするね
 さあ
 まるのめ ほうほう
 くるり目 ほう
 ままはは まるのめ
 かぎ爪 ほう
 夜界の枝で贄まてよ
 はばたけ ほうほう
 森の子 ほう

さあ
おまえ
海に女神がまだいたら
きっと岬に ほうほうと告げておくれ
傷などなかった羽になら
はじめから
おまえはポッケにいた
#黒筒の熊五郎

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ハニワ魔神外伝

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皆がおっぱい飲んでいた頃
水道がコチンと凍り
手にも足にも霜焼けができ いたくてかゆい島があった
無縁 歴史とは関わらぬ時が 桜を五月に咲かしていた

怒ォーン ォオーン
ほったらかしに
されたままのある村の岬のどて腹を貫く隧道を
魔神は歩いていた
どこだ どこにいる 娘 娘の泣く声がする
オレは墓を守る衛士
汝ゆけと君詔られたかどうだかもうわからないが
オレは目覚めた
オレは怒る 怒りのハニワなのだ

怒ォーン ォオーン
魔人は村の河原にきて 岩とみればひっくり返した
どうダア だんごむしども
ダアア

しょせんはだんご
関係ないと逃げるのは習性であろう
ならば 薄
おまえはどうか
秋 ですから
        だと
季に詠まれ自足顔した抒情どもめ
髑髏の目でも突き刺しておれ
なぜだ
洪水でもない日照りでもない不漁でもない
臭い息吐くほおずき目のオロチも朽ち果て幾千年
それでも なにか
人柱にしなきゃおさまらんものがあるのか
そこのそこのそこにへばりついている
コケ
きさま なにかもの言え
・ ・・・・・ ・・・・・・・ ・・・・・
来たんだ 来たんだ 来たんだオレは
娘 娘の泣く声が満ちている
怒ォーン ォオーン
ン? 何か光るものあり
魔人の頭上を 一際 照らしたかと思うと
背後にほとりと 降り立つものがあった
魔神がふりむくと 娘の泣く声がはたと止んだ
足下に亀を従え
柔和に羽を腰にたたみ うつむく白鶴
頂には鋭い一角を成し 青き光を発していた
(なつかしい
 ひびわれ ひびけ魔神)
金属の羽をひろげ
瞑目する一角鶴(と亀)は去った

オレは
知らん

魔神のまなこから
塩の珠ほろほろこぼれ こぼれつづけている
#黒筒の熊五郎

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離れ小岩とマッカナジョウリコ

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ぱかんと欠けた磯の窪みで
ゴダンペ トゲオッコ 干からびました
鳴く生き物はみあたりません
太陽はきょうも
昼の憩い

正午デス
 コチラハ海洋 海洋気象台
 マッカナジョウリコ
 マッカナジョウリコ
 タダイマ
 蚊柱 鍋釣 ユラリコシツツ
 礼文トイウノハ沖ノコト
  
  中点ふかく
  太陽は真昼

奇岩のひだ
海の底まで岩ばかり
凸凹岬の突端では
ツメタイ潮ハ カイノナミダ
アッタカイ潮ハ ゼルダノナミダ
まんまる頭の離れ小岩
お昼寝きらいで遊んでいます
北か南
南か北の
さあどっち

 日没位置ハ 本日
 奇岩岬ノヒトネムリニ移動
 危険海域ハ
 マッカナジョウリコ ユクトオリ
 海難救助信号ハ…
 てぃとぅととと てぃととと
 コチラハ海洋気象台デシタ

キラリと一瞥して太陽は
おごそかに今日を終えました
やがて岬のなにもかも
青い透明陽炎に
離れ小岩は糸三日月の道を現象します

おいでここまで
ひとりでジョウリコ
馬ニカテ曳カレテゲェゲト
泣くもの
誰の おまえはめんこの子
毬、箸置イテ 忘レチャッタ

おまえは誰の めんこの子


               *ジョウリコ… 伝承されてきた遊び唄でぞうりのこと

  
#黒筒の熊五郎

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黒筒の熊五郎

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一家
せんべいを食べ尽くし
なんに使うの
熊五郎せんべい
土産の空の黒い筒

ひんやり手にした黒い筒
底はつるりと銀の月
中はぽっかりしんと鎮まって

ちゃうだい

枕に黒筒
きょうの収穫に
きのうの収穫入れようか
すっぽり
じぶんが入ろうか
びっくりするっよ
とうさん
かあさん
ふたに秘密のおまじない

おーい
おーい

熊五郎にくるまり春まで眠る
鈎針編みの空色ミトンに雪印が消え残る

#黒筒の熊五郎

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