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現代詩の小箱 北野丘ワールド

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森の子

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ポケットに
生きてる古綿の重みの
雛がいた

夢のお告げは波打ち際で
(海の女神に
 傷ついた 雛を帰しない)
との声だった
ほう
それを知ったら惜しくなった

白い乳母車に雛をのせ
夜の岬に散歩にでかける
どれも淡い色の奥

似てる かな昔話の女に似てるかな
けれど部屋に
籠もりすぎても凶

海に女神いるって話
おまえ覚えてますか
日除けをたたんで
雛は
くるりくるり
顔を全方位にまわしている
なんでまた わたしに
うまいかい うちのハムスター
わたしは おまえを盗んだのですか
どうだろう
おまえの脚のかぎ爪は
御覧

みんながおまえに道をあける
わたしたちの月光浴

 波の砕ける音がするね
 さあ
 まるのめ ほうほう
 くるり目 ほう
 ままはは まるのめ
 かぎ爪 ほう
 夜界の枝で贄まてよ
 はばたけ ほうほう
 森の子 ほう

さあ
おまえ
海に女神がまだいたら
きっと岬に ほうほうと告げておくれ
傷などなかった羽になら
はじめから
おまえはポッケにいた
#黒筒の熊五郎

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