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投稿日 2019-11-26 12:10
現代詩の小箱 北野丘ワールド
by
キューちゃん
2008年に出版した処女詩集である。詩集の自費出版はまともに有名出版社から出すと100万円以上もする。若いころから仕事が定着せず、職を転々としてきた私には蓄えというものがほんの少ししかなかった。現在は終刊してしまったが『現代詩図鑑』というアンソロジーをだしていたダニエル社からソフトカバーで有名出版...
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投稿日 2019-11-26 12:07
現代詩の小箱 北野丘ワールド
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キューちゃん
花むぐりが黄色の粉に埋まってゆく木枠の硝子が強く鳴っている納屋でさがし物がらくたたからもの蜘蛛がのそり とびのいてこんにちわ窓の下にリンゴ箱となりは石炭箱ああ風がはやい光さしてはすぐ翳るほら光 ...
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投稿日 2019-11-26 12:05
現代詩の小箱 北野丘ワールド
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キューちゃん
ひと夏の背なかを夜の指さきがなぞりわたしの心臓を座標の軸にえがいた軌跡を存在というのなら血液を一垂らしして瞳がひらく時を費やし熟れた実をたべあるいた内部の充実をわたしのものとしてそれでは何に捧げたらよいだろう氷のかけらが膝のうえに落ちてフーコーの振子が青ざめてとまった...
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投稿日 2019-11-26 12:03
現代詩の小箱 北野丘ワールド
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キューちゃん
どこを眠っていたのだろうきのうの混沌が透明な袋におさまっている失礼小用赤いビニールのスリッパ素足の熱どうしてもすごせないと思った夜をとおりぬけてしまった(なにしよう)紐をひっぱるとじぶんが戻ってくる欠伸をする 目尻がぬれるしろっぽけた光のなかで瞳がとまる 胸が鳴る自律している優等生の生真面目に拍手よ...
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投稿日 2019-11-26 12:00
現代詩の小箱 北野丘ワールド
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キューちゃん
内緒よ ゆずよるにうごくものいるゆず 眠ってる 知らないうちにこっそり新月と密約かわすものがいるかあさんいたい乳首いたいにゅうがんかもにゅうがんかもしれないよかあさんゆず遊んでおいで手まり ごむ段 石けり まっくろになってしろつめ草の影に淋しくなるまで外はおまえのすべてだし探検に夢中に...
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投稿日 2019-11-26 11:55
現代詩の小箱 北野丘ワールド
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キューちゃん
こどもよなんにでもいそがしいままがじぶんのままがいつかしんじつのやさしいままとなってどあをあけてあらわれるのをまってついにこなかった こどもよいっしょうむかえにはこないりっぱになればきっととなんぜんかいかのくうそうにつつまれとけゆくしろいくりいむいっしょうをこどもよどこでひとりがきらいでもひとりがす...
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投稿日 2019-11-26 11:51
現代詩の小箱 北野丘ワールド
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キューちゃん
雪。雪のぼんぼり。雪。ゆっくり。とおくは速く。雪。ねえ、みて。 みあげると、ほら、どこまでもいくよ。 粒子のなかを、どこまでもいくよ。 ふふ。 ふふふ。雪。輪郭ふたつ。雪。つもる朝までは。...
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投稿日 2019-11-26 11:49
現代詩の小箱 北野丘ワールド
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キューちゃん
わたしの単眼であなたは夢みるあなたはわたしの夢みる凪の小舟で荒岩をくるりめぐる夢の御覧キラキラとほほ照る銀紙うろこ波虚空に映えてその向こうでレンズが調節されて小舟からみえるあたりだけ閉じられた密な無音ばかりわたしの像力は突如やさしく慎重にあなたを襲うあなたが新しい休息の時に至りわたしの像力が夢みた庭...
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投稿日 2019-11-26 11:43
現代詩の小箱 北野丘ワールド
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キューちゃん
夕暮れまで そうして二階の硝子窓は ひらかれたまま青空の瞳はHBのトンボの羽に 濃く染みて数式の真上を ついてくる幻術みたいに さざ波の光と影で 辿る解浜の右辺の流木に象嵌の羽はとまりよみがえりの信仰を胸に鉛筆は目を閉じ 木の柩に横たわるいいかげんに髪を結びも 切りもしないで夕暮れまで そうして石を...
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投稿日 2019-11-26 11:40
現代詩の小箱 北野丘ワールド
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キューちゃん
ばら色に割れたアンデスの少女の額が氷の塔をつきやぶり銀のスプーンの先端で仰むく千年のぬれた喉りんごんムラサキの口火の肌にほっと憩う薄羽のつけ根の振動おりてくるものに逢うための階段だけの開放塔硝子質のストローは切断面から炎えあがる焼失した学名の菌床で毛深い女神の樹液色の爪がのびて百年の寝返りをうつ号泣...