揺れる赤いN
11月
26日
アンデスの少女の額が
氷の塔をつきやぶり
銀のスプーンの先端で仰むく
千年のぬれた喉
りんごん
ムラサキの口火の肌に
ほっと憩う
薄羽のつけ根の振動
おりてくるものに逢うための
階段だけの開放塔
硝子質のストローは切断面から炎えあがる
焼失した学名の菌床で
毛深い女神の樹液色の爪がのびて
百年の寝返りをうつ
号泣する節穴を
ふたたび女神の乳房がのしかかる
羨道のぬかるみで逸失した
管理人に座る盗掘者
鳩笛がぽぽうと嘴からこなごなに鳴けば
揺れる赤いN
空中静止する熊ン蜂の
憤怒の喜びの踊りがうなりだす
あらゆる運動が待機する
気象の前兆
曇天からふりそそぐ虹彩のこおろ
放射しつづける熱量の意匠
彡
水平線から
腰にさしこまれ
やむまで腕に折れている