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詩は元気です ☆ 齋藤純二

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卒 寿

スレッド
戸を叩く雨に目が覚める
あなたはまだ私をお迎えに来ないのね
雨で散歩すらできずひとと話をしていない
そこまで生活を脅かすほどの病気もなく
何をそんなに憂うことがあるのでしょうか
厳しいかった時代の私に叱られても
どうしようもない心はここにあるのだから

一点を見つめ考え込み時間に奪われ
やまない雨はないというがいつまで続くこの人生

この歳になって初めて知る仏様からの課題
与えられた道を歩き抜けなければ
私という人間は終わらないのかもしれない

南無阿弥陀仏
 
写経する手が再び動き始められたのなら
奪われた時間が無になり救われる
 
ああ、もし明日晴れたのなら
誰かにごきげんようと話しかけよう
それが今の私には足りないものなのだから
 
#詩

人生を億りたい

スレッド
もうここが底値だと感知して
デイトレード、スイングで買いを約定させれば
みるみるローソク棒は下へ下へと伸び
いつもの吐き気のする景色が広がっていく
十万、百万円と見えない現物は
私の余力を餌にガブガブと飲み尽くす
それも数分の出来事だ
 
見事に私の判断した方向とは逆をいく
株価が上がると思えば下がり
下がると思えば上がる
それなら土壇場で思った逆へ行けば
利益となり億り人となれるのかもしれない
やる価値はあるが株投資で
自分への逆張りは惨めすぎると思ってしまう
 
買わなきゃ、売らなきゃ負けはない
億り人の知人が私にいう
お前には才能がないと言いたいのだろう
コツコツと貯めた資金をゲームのように使う
そして日々の暮らしも落ちていくばかり
 
ここまで負けが続くと
私の心根は負けて貧しくなりたいのか
行ってはいけない方へ自ら行きたいのか
もしかしたらその本心に気づいていないのか
何もないような人生を変えたくて
それが原動となっているのか……
いや考え過ぎてしまったようだ
 
今一度、逆転人生を夢みよう
夢を見られなくなったら終わりだ
私にこれ以上の底値はない
あとは景気よく上がるしかない
まずは反省を糧に感情を消して次の指値へ
 
#詩

首都高速道路

スレッド
業務終了
一歩外に出た途端
俺は夏だぜと蝉が叫んでいる
うるせえと言いたいところだが
はい今年の夏もお手柔らかにと返した
 
駐輪場で残された単車は数台
隙間だらけのスペースは
遅くまでご苦労さんと言ってくれる
明日はずっと寝ていられるから

これから非日常的な夏の何かはないか
首都高速道の入り口が言う
高台で風が気待ちいいし景色も最高すっよ
その誘い文句に単車を傾ける
それならぐるっと遠回りして楽しむか
 
わたしって綺麗でしょ
青いドレスを纏った東京タワーが涼しげだ
今夜はスカイツリーの所へ行かないのか
返事はなく背を向けさよならして
 
箱崎ジャンクション
各地から仕事を終えた四輪車たちが
暑いなかお疲れさんと声を掛け合っている
ほんまお疲れさん

ヘルメットから深い息が突き抜けた
最高だろっと自慢げな風たちは
身体もエンジンも労わってくれる
ネオンは宝石箱へようこそとニヤニヤする
おお悪くないねえ悪くないぞ
気持ちは控えめに伝えておいた
 
今夜さあ東京タワーは逢いに来ないって
そう伝えるとスカイツリーは
日本一高い視線で毎日繋がっているから
ラブラブで東京はこの暑さなんだよ
はいはい邪魔したよ御馳走さま
 
隅田川が無言で揺ら揺らきらきら流れ
静かに家路を照らしてくれる
今夜は最高に素敵じゃないか
ご褒美たちが癒してくれる世界
ブレーキばかり踏む日々を
夏のアクセスが冷やしてくれたぜ
有り難うさん
 
 
#詩

こう生きる

スレッド
どう生きる
その前になんで生きる
生まれたから生きる
それならなんで生まれる
生まれたくて生まれる
生まれたくなくても生まれる
どっちにしても生まれる
それならどう生きる
どう生きるをどう生きる
どう生きるがまた生まれる
生まれるどう生きるを生きる
どう生きるかを生きる
 
#詩

ブーメラン

スレッド
ある詩人が言っていた
あの詩人はもうおしまいだ
もう詩を書くことは無理だろう、と

僕は知っている
人のことをそう思ってはいけない
人前でそんなことを言ってはいけない
ある詩人もあの詩人と同じ状況になってしまう
相手に発した言葉が呪いの言霊となって
弧を描いて返ってくることを
 
ある詩人が言っていた
あの詩人は奇跡の復活をして
また詩を書くことができるだろう、と
 
僕は知っている
人のことをそう思えるのなら
人前でそんな風に言えるのなら
ある詩人があの詩人と同じ状況になっても
相手に発した言葉が願いの言霊となって
弧を描いて返ってくることを
 
#詩

さあ ぼちぼち

スレッド
連休中は疲れ果てて
ダラダラと過ごすのはわかっている
だから
これだけはやろうとメモに書き出していた

詩を書く
詩誌発行の準備
庭の雑草取り
母親の様子を見に行く
ドライブレコーダーの交換
バイク磨き
 
しかし
連休初日から喉が腫れて風邪をひく
年末年始とゴールデンウイークは
毎度同じような状態になる
余力を持って滑り込めばいいのに
マラソンを走り切った後のように倒れ込む

連休三日目
やっとこの詩を書き出せている状態だが
昨日の寒気は落ち着き
気温二十五度の外からのそよ風が心地よい

ああ
何もせず連休が終わってしまったと
リフレッシュも出来ないのでは
労働者にとって希望も夢もないじゃないか

さあ
トイレに立ち上がり布団を畳み
そのまま動き続けよう
窓の外はめちゃ爽快な青空が誘っているし
ぼちぼち楽しいを巻き返さなきゃ
 
#詩

春の雨はバイクで

スレッド
雨は子どもの頃から好きだった
家に守られトタン屋根を弾く雨音が
とてもしんみりしてずっと聴いていたかった
 
桜の頃は雨が多い気がする
バイクを走らせるには準備が多い
カッパ、グローブ、ブーツに防水スプレー吹きかける
そして自分が濡れるよりバイクの錆が気になる
車体全体にシリコンスプレー
サイドバックに防水カバーを被せやっと走りだす
 
視界の悪さ、湿ってくる手の冷たさ
車からもバイクが見えにくくなっている
一番怖いのはマンホールの蓋が
滑って転けろ、と言ってくることだ
それでも雨が好きでバイクが好きなんだから
そりゃ最高のシュチュレーション
 
満開の桜が雨に打たれ
湿った桜吹雪に路面は花びらが浮き
しっとりとゆらゆらな景色
雨が直接に身体を叩く響きに癒され
ずっと走っていたい
 
雨のバイクは危ないと言われるが
速度を落とし自分を守る
危ないという集中力を研ぎ澄ませながら
楽しむ楽しむ雨、桜、雨、桜ふる道を
 
 
#詩

春の春ちゃん

スレッド
春ちゃんはしれっと勝手に来る
僕の許可もなく
玄関先にもう立っている
目はかゆい
鼻はジュルジュル
それでも春ちゃんは
知らん顔で咲き始める
 
昨日と同じ道
そこにいる春ちゃんだけが
やけに本気だ
「今日は頑張らなくていいですよ」
と春ちゃんは言ってくれないが……
 
そして花粉は飛ぶ
千円札
五千円札
おっと一万円札も飛んでしまうのか
だから希望は飛ばないで
 
それにしても空がやけに高く
僕は少しだけ
ましな人間に思える
春ちゃんは人を変えない
生活も変えない
ただどうでもいい一日を
「まあいいか」に塗り替えてくる
だから今日も
くしゃみをしながら歩いていく
春ちゃんに軽く文句を言いながら
 
#詩

ハブダンパー

スレッド
一万キロメートル
バイクのフロントタイヤはすり減り
まだイケると思ったが
ケチっていざという時にスリップしたら
いかん、と交換することにした
今回はリアタイヤもだ
 
バイクタイヤ専門の店
スタッフ三人は二台のバイクを並列し
タイヤ交換の作業を手際よくしている
私は椅子に座りそれを眺めながら
スタッフのひとりと
バイクの話をしながら楽しんでいた
 
ハブダンパー
齋藤さんこれ交換した方がいいよ
二、三千円で購入できるし
工賃千円で交換しますよ
パーツを購入したら来てくださいな
リアのスプロケットあたりに
黒いゴムの緩衝パーツが入っていた
 
クッション
タイヤがありホイールがあり
その中に隠れゴムがあるなんて
なんせそいつは加速、減速時に
衝撃を吸収し駆動系の負担も減らす
私はバイクのことを知らねえなあ、と
恥ずかしくなった
 
一週間後
新たな滑らかな足回りを感じながら
今まで見えないところで踏んばり
心地よく安全を与えてくれた
硬くなったハブダンパーを思いだし走る
 
感謝
どんな役目だろうとも
自分の特性を見いだしまっすぐ
寡黙にその生涯を全うするその働きは
めちゃカッコいい生き方だ
そして快適だった走りを今までありがとう
 
#詩

冬の往復路

スレッド
関越自動車道は先日の雪の影響なのか
日陰では路面が光っている
バイクで走行している私にとって
命に関わる恐怖が襲う
日の当たる路面を選び神経集中すると
バイクの楽しみは削ぎ取られてしまった
 
彼の墓参りに毎年行くようになり
すでに二十回という数字を並べていた
ふと私は何なすことなく
無意味な時間を過ごしている気がして
線香の煙に手を合わせると言葉は失った
生きた充実は時間の長さではなく
何をしてきたかということなのだろうか
 
 ひとは一人になるとそれほど強くなくて
 寂しさに背中を丸めさまよい歩く
 
気をつけて帰ってくれ
と、彼の言葉が聞こえ一人ではない気がした
高速道路はあきらめて下道を走り
彼の歌を口ずさみ走らせた
 
信号に止まり
タンクとエンジン間に手を突っ込み
じわじわと冷えた指の感覚を戻す
激しい寒さと温もり
冬は今を生きていることを伝え
流される時間を私に突き刺してきた
 
#詩
ハッピー
悲しい
びっくり