歯がカツカツ鳴って 自転車を漕ぐガイコツ ネイビーな夢に映えながら イエッエーイエッエー ねえ私の部屋まで迎えに イカレポンチを歌うから 荷台に乗せて欲しいの ポロリンポロリン 響くでしょ骨しかないから きっとゴキゲンなパッピー 凍えた朝を越えたら ケラケラと笑い出して フォッケラーフォッケラー ねえ連れて行ってよ チェンジしたワールドへ
北の方から 低気圧オヤジはやって来る ギャグ風(ふう)に乗って 平気な顔をして 冷たい風をひとにあてる 寒すぎて今朝もヒエッー山 なんなんだ あの言い切った感ある微笑みは ああ寒い とっても寒い ほんとにほんとに寒い 上司の寒いギャグに 今朝もフリーズ気味だ
愛着があり忘れない詩 すぐにでも忘れたい詩があり どちらも自分のカタチから 表現されているのに えこひいきをしてしまう不思議 詩の投稿をしたのなら 伝わって欲しい気持ちがあり 伝わらないで欲しい気持ちも隠れている 詩をいいように扱っているわたし それでも詩は文句を言うこともなく 表現させてくれるから救われ 惜しみなく与えてくれる愛すら感じて 胃を満たすために食べて 疲れを癒すために睡眠をとり そして心のバランスを とるかのように書き続ける詩 一編の詩に満たされることも続かず 次の詩を書き始めている わたしは自由に歩める言葉の翼を持った 翼は仲間に会わせてくれる 詩が集まる集会所はいつも賑わって 大好きな詩の集まりに刺激と励ましをもらい そこはいつまでも平和であって欲しいと みんなが思っているに違いない わたしは今まで自由に飛びたいと思っていたが もう飛んでいることに気づいたのだ 詩に甘え成長させてもらっている この恩返しはいい詩を書くこと以外にない
すみませんと言っては すみませんと あまり思っていないのでは どれだけ自分を誤魔化して 生きて行けるんだ俺は 堂々とすれば良いのに すみませんと言っている 楽(らく)だから すみません 相手を傷つけないつもりで すみません なるべく何事もなかったように すみません 自分に自信がないから すみません 生まれてすみません と、言っていたひとがいたけど そこまでは思っていない とにかく すいませんを言い過ぎてしまう 狼が来たぞ、現象で ほんとうにすみませんの時 またすみませんかよ、に 念頭に入れておこう ああ、それと ありがとうとすみませんは 使い間違えないように
彼は高校一年から大学四年まで アルバイトを続け 親からお小遣いをもらっていなかった 最近、パソコンを購入し 財布の中は小銭だけ 何年ぶりだろう 父親に五千円貸してくれと言うと 返さなくていいぞ、と小遣いをもらう そんな時に限って 悪いことは起きてしまうのだ 彼がアルバイト先の控え室にカバンを置き フロアでの仕事をひと段落つけて コーヒーを買おうとしたら 財布からお札が 抜き取られていることに気づく うちに帰り浮かない顔の彼 父親がどうしたんだと訊くと 悔しそうにお札が盗まれてたことを伝えた 父親は 今までアルバイトをしてくれてありがとう と五千円を彼に渡した 結局、彼はその五千円を使わずに 机の引き出しに入れた そこには亡くなった祖父からもらった 五千円も入っていた 彼はありがたく引き出しを押した
詩の作品を推敲 そんなもん必要ないと 考えていた 誰かに読んでもらうため詩を 書いていなかったからだ インターネット上で詩をアップする やはり読めるモノにするため ある程度は推敲する 推敲した作品と 推敲前の作品を読んでみた なぜだろう 推敲すればするほど 閃いた光を感じなくなるのは できたての詩は 言葉足らず、誤字もあり、矛盾もあり ボロボロなのにエネルギーだけは 溢れているのだから不思議だ 推敲 は、しない方がそりゃいいが だけど詩にも社会があって マナーがあって あまりだらし無い作品は 不真面目の烙印が押される それを気にするか しないかくらいの問題だが 迷ってしまうよひとの土俵で 詩を綴る時にはとても
はい、では次の方どうぞ 私の順番が来た 詩の朗読をするために前へ出る 緊張している 右手と右足、左手と左足が 揃って歩いているようだ 何度も声を出して読んできた なのに自身(自信)がない まだ練習が足りなかったのだろうか お願いします えーと、えーと わ、私は、えーと 誰だっけ みんな笑っている どうしよう、どうしよう 自分の名前も出ないくらい 緊張しているのか 走って逃げ出そうか いや、それはできない 五十のオヤジがそんなことできない しかし、頭の中が白い どうしよう…… おーい、客はジャガイモだから 気にしないでええよ なんか言ってくれている ジャガイモ、えっジャガイモが詩を聞く えーと、ジャガイモが詩を聞くと 美味しくなるのでしょうか 私はほっこほっこなのがいいなあ ワインのように良い音楽を聞くと 美味しくなるように ジャガイモも 美味しくなるのかもしれない それなら私が素晴らしい朗読を しなければいけないってことなのか おお、なぜにお前はジャガイモ そして私はなぜに朗読者なのか それは私が詩に飢えて ジャガイモたちを食したいからだ だから緊張なんてしていられない ジャガイモを食わないと 詩では生きて行けないのだから ああ、忘れていました 私の名前は杭根芋蔵です いや待てよ 詩を聞いてもらう方を ジャガイモだと思うのは ジャガイモにたいへん失礼だ 人間がジャガイモより偉いなんて 思っちゃいけない 人間は平等で優しくなくては 生きて行く資格などない ジャガイモたちよ 私の詩を聞いて心が休まるのなら 緊張などしている場合じゃない 大きな声で朗読をしよう おお、ジャガイモたちよ ああ、ジャガイモたちよ よっ、ジャガイモたちよ おーい、緊張は取れたみたいだけど 変わった詩だな 失礼しました
げんこつが落ちる ピンタが飛ぶ 蝉になりミーンミーンと鳴き 校庭を十周はしる 廊下に立つ 馬鹿だと罵られる これが学校では日常の 先生の体罰や習慣だった その当時の親は 平気で殴って指導してくれ というのが当たり前 私たちも当たり前だと思っていた まだ軍歌を聴きながら 学校へ行っているのか、のように 中学生になると気がつく これは絶対におかしい、と だが大人に訴えても跳ね返される 私たちは荒れた、底知れず荒れた 校舎の窓はすべて割れ バイクで校庭を走る パトカーが毎日、学校に止まる 先生が叩かれる 暴力行為で連れていかれた者もいた 良い想い出を探っても まったく浮かび上がって来ない 失われた時間 当時の学校から学んだことは 強引に正そうとして誤ちを犯してはいけない それだけだった
最近、詩に関わる環境が変わった ノートに向かうだけの詩だったけど 詩の掲示板、詩のブログ、詩人会、詩人会の理事、詩の評者と ここ一、二年で変わってしまった 偶然と自分から変えようとしたからだろう これは自分のため、誰かのためへ 詩を書くことがプラスに向かっていると思っていた しかし、自身へ批判的精神がないとブレてしまう 気合いを入れて書いた詩がそうでないということだから ここは戻るべきだろうか、自分だけの詩なら誰もイライラさせない どちらでもいい、もうどちらでもいい 答えはたぶんないし、正解も間違いもない どちらでもいい、もうどちらでも 少し時間が必要みたいだ 今日は頭がフル回転している 眠れそうにないが、古傷も痛むから横になろう それでも詩が嫌いにならず元気でいようとすることに 何の変わりはしないのだから
その方がそう思うのだから そうなんだろう そこに否定はない 自分が正しいとも思わない 思いと思われが反比例 お互いになのだから 言葉も鋭利になってしまう 刺すつもりはないが 刺さってしまう 軸から解放しなければ 壊れてしまう自分 壊してしまうその方 ここで逃げてしまおう ノーと言われ 自身にもノーを言いすぎると 自分でなくなってしまう 懸命だった もうそれだけでいいだろう その方がそう思うのだから そうなんだろう そこに否定はない 自分が正しいとも思わない