アーティストたちが 俺たちは音楽を愛している 私たちは絵を愛している なんだかクサイこと言って なんて思っていたけれども ちょっと待てよ 自分を支えてくれた詩に 感謝をしたことのない気付きに 欠けていた心根を知る あたりまえの日常にある詩に これからは有りがきを思い綴ろう
オートメーションの波にのり 俺は組み立てられ丸い足の男になった メタリックの黒いカッコいいボディ 生まれた時はすでに成人として扱われ すぐ出荷され店頭に並んだ 俺をゲットしたのは大学生 痩せた身体だが力強くペダルを踏み 風を切り爽快に走らせる サドルの下に押し込んだ布を取り出し 「お前、イケてるチャリ男だよな」 と、磨いてくれるんだ 家族を知らない俺だけど 君を相棒と思うことができ 幸せを知ったんだ 桜吹雪を通り抜け 汗をかく君と蝉時雨 紅葉の峠をのぼり広がる絶景 雪の中で俺を手押しする君 そんな日々はとても早く過ぎる 俺の寿命は君ほど長くないだろう 至るところが壊れ始めた それでも君は器用に優しい手で労り 修理をしてくれたんだ しかし そんな日々は終わってしまう 君は結婚をして家族がふえ スポーツタイプの俺より 子どもを乗せられるママチャリを 使うようになったんだ 俺の役目はもう終わったかのように ガレージの隅へ置かれカバーで覆われる 真っ暗な世界が続いた もう捨てられるかもしれない…… せめてもう一度だけ君と走りたい それが叶うなら俺には悔いなどない 君を信じて願った 明るい世界は突然にやって来た 俺は眩しい中で君を見た 目尻に小さな皺をよせ微笑み 以前よりも落ち着いた感じだった 俺は分解され磨かれ オイルの染み込んだボディで復活だ そして走り出すと小さな自転車で 子どもが真剣な顔をしてついてくる 俺はなんて幸せ野郎なんだ 君が家族を教えてくれた 愛された幸せを感じている もしその日がすぐに来ようとも もう俺には悔いなどない 今はありがとうの気持ちのまま走ろう この先にある家族のため
僕は嘘でした その嘘が僕でした 嘘を許さないと 辛くて生きていくなんて 僕にとっては無理です 知らないんです 愛したりとか愛されたりとか 理想を描いてその中で 嘘の僕を演じているのです 理解して もらえないかもしれないけど 僕はそんな人間なのです 演技での生活には 攻撃や自虐してしまう気持ちを 遠ざけることができます 罪悪感はあり それが僕の小さな小さな 思いやりなのかもしれません 初めて本当の僕を語りました 嘘が嘘になる真実とは…… 僕が愛に触れますように (いつの日か その方が自分に嘘のない詩が 書けますように、と 最近は考えるようになりました)
どこ行くあいうえお 君の右手 僕の右手が繋がり 反対に歩き出すかきくけこ 力比べでさしすせそ 痛いと言う君はたちつてと ごめんと言いつつ 引っ張り合うなにぬねの 僕の負けだよはひふへほ 離したまみむめも 吹っ飛ぶ君がやいゆえよ 怒って向かってくるらりるれろ おもいっきり頬を叩くわいうえを ん
残りの人生、長いか短いかも知らず、自分がどのように生きていくかを考える時、無駄なんてないと感じ事を行うのは漂流に思え、意味と疑問が湧いたのなら生きる本能と道徳をひとまず仮置きし、既成が空にならないが、同じ事を考える脳に夢を見てもらい隙間を創り、閃きを鼓動に聴くため閉じてみる目と理。
寂しい、を投げたら どうしたの、が返ってきた 大丈夫、を投げたら 本当のことを、が返ってきた ひとりぼっち、を投げたら 友だちだよ、が返ってきた うれしい、を投げたら 私も、が返ってきた 楽しい、を投げたら とっても、が返ってきた 幸せ、を投げたら ずっとね、が返ってきた くすっくすっ、を投げたら くすっくすっ、が返ってきた
君は真っ直ぐを知っている 僕の曲がりくねったを見抜いている お前 ほんとうにそう思ってないだろう 君の詩を読むとそう聴こえる 自分をしっかり持っている その真っ直ぐで たまにブーイングをもらう それでも曲がりはしない 君は僕のヒーローだ
僕だけの奇跡 二作の詩がすっと書けた奇跡 これを奇跡と言わずになんと言う? えっ奇跡という言葉ではなく 大袈裟って言葉がぴったりだって 確かにそうかもしれないけど 奇跡の詩って思った方が気分いいじゃん 自己満だって言うのか君は そう僕は自己満野郎でいいんだ 奇跡って言ったら奇跡だ