長堀先生から頂いた概要:
私を含む西洋医学に関わる病院の医療者は、病気を悪いものとしてとらえがちです。その根底には、良いものと悪いものを厳格に分ける西洋的な二元論があります。この原理はとても理解されやすいですし、“悪い”病気をなくそう、という思いこそが西洋医学をここまで進めた原動力になったことは間違いありません。
その意味からは、死は究極の敗北、肉体の消滅そのものとあり、そこに救いは一切ありません。
しかし、そうはいっても、我々を含め現在地球に生きている人間は、ただの一人たりとも未来永劫生き続けることなど出来ず、残念ながら死を100%必ず迎えなければならない運命にあります。従って、現代の一般的な医学常識からすれば、誰もが敗北感とともに絶望的な思いで人生を終えることになるわけです。
この医療環境のなかで、じつは、過酷な試練を敢然と受け止め、その過程で様々な気づきを得て、病気になってよかったと語ったり、死を前にしても怯まず、自分がやりたいことを貫き、ひたすら前向きに生きる患者さんたちがいることに、私は気がついたのです。人間というものは、病を得たり、死が近づいてはじめて、人生において真に大切なもの、最優先すべき自分の役割に気づくという習性があるようです。驚いたことに、このような意識の変容は、病気を治癒に向かわせたり、死を福音に変えることさえあるのです。
死を見つめるや、今この時に生きていることは決して当たり前ではないという真実が理解されます。そうすると、大どんでん返しが起こり、現在生かされていることが奇跡であることに否応なく気づかされるのです。そして、現時点で生あることに感謝し、自分に残されたかけがえのない時間を心豊かに過ごさねばと決意するに至るのです。
私は、このような勇気ある人たちを通じて、“善も悪も絶対的ではなく、時々によって移り変わる”、と考える善悪不二という東洋的な一元論が、医療の現場に必要と考えるようになりました。
今回は、このような東洋哲学をヒントに構築されたとされる量子論が、死生観にも大きな影響を与えつつある現状を含め、お話させていただきました。
講師:長堀 優(ながほり ゆたか)氏 プロフィール
一般財団法人 育生会横浜病院 院長 外科医として、がんや救急医療の現場での体験を重ねるにつれ、次第に身体を超えた命の存在を確信する。 そして、物質主義、拝金主義が極まり、存亡の危機を迎えた現代社会に必要なものは、霊性に根差した生き方であるとの信念に基づき講演や執筆活動を続けている。 昭和58年 群馬大学医学部卒業、研修医を経て昭和60年横浜市大消化器腫瘍外科学教室に入局、 平成5年ドイツ・ハノーファー医科大学に留学(ドイツ学術交流会奨学生)、 平成17年横浜市立みなと赤十字病院外科部長、 平成20年横浜船員保険病院(現JCHO横浜保土ヶ谷中央病院)副院長、 平成27年4月より現職 日本臨床外科学会評議員、日本ホリスティック医学協会理事、日本医療催眠学会顧問、日本ホメオパシー協会顧問 著書 「いざ、霊性の時代へ)「見えない世界の科学が医療を変える」 「日本の目覚めは世界の夜明け」(以上でくのぼう出版) 共著 「日本の約束」 (矢作直樹、濁川孝志、でくのぼう出版) 「タマシイはひたすらびっくり体験とわくわくアイデアだけをもとめてあなたにやって来た!」(池川明、ヒカルランド)
この講演はコロナ禍のためZoomによるOnlineで行われました。
Youtubeでもご覧いただけます。
https://youtu.be/E1CEJ2upKGA