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  • 2005年度 11月 「日米税制改革における米国居住者のファイナンシャル・プランニグの影響 」

2005年度 11月 「日米税制改革における米国居住者のファイナンシャル・プランニグの影響 」

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2005年度 11月 「日米税... 2005年度 11月 「日米税...
講師 - 山崎信一 氏

日本の銀行及び米国の銀行並びに証券会社を在籍し、日米の金融業務に係わる。
現在はライトハウスグループのライトハウス・ファイナンシャル・プランニング社にて日米に係わる相続税プランイングから法人節税商品のアドバイスまで行う。

講義内容

日米税制の動向と米国居住者のファイナンシャルプランニングですが、まず、日本の税制の動向を見るには日本の財政の現状を把握しなければいけないわけですが、まず、公債残高は538兆円、国民一人当たりの借金は422万円で、一般会計に締める公債金収入は41.8%となっており、借金漬けの状態がよくわかります。国際的にも日本の債務残高はイタリアを抜いてダントツ1位であり、国民所得に対する租税負担及び社会保障費負担の割合も先進国の中でおおきくなりつつあります。

そのような現状で、日本の税制改革がどのように行われているかですが、法人税につきましては、日本企業の国際競争力の観点からこれ以上の引き上げは困難と考えられており、取れるところから取るという意味では、個人の所得税、贈与税、相続税、また、消費税の引き上げが考えられるでしょう。もう少し具体的には、定率減税の廃止、消費税の15%までの増加、相続税の基礎控除枠の縮小、損益通算の出来る範囲の縮小、それに関連して不動産所得、一時所得をなくすことも視野に入れているのではないでしょうか。又、プラスになる動きとしましては会社法の改正による日本版LLPの活用、今後行われるだろう信託法の改正によりトラストの利用をしやすくなるかもしれないということと考えられます。

一方、米国では2004年にWorking Families Tax Relief Act of 2004 Marriage Penaltyの一部解消等個人所得税軽減にプラスになる要素を盛り込む一方、American Job Creation Act of 2004では1万ドル以上の米国外銀行口座の報告の義務づけや米国外からの退職金受取りに対する課税強化も行っております。また、2004年には社会保障協定の締結により二重加入の回避を行うことが出来るようになり、法人の社会保障費負担が軽減されることになりました。

日米のおける課税の違いにつきましては、例えば、株式売買にキャピタルゲイン課税につきましては、現在日本では申告分離課税で10%、米国では所得税率に従い5%及び10%となっております。また、贈与税及び相続税につきましては、日米で税金を支払う人間が逆転しておりまして、日本では贈与される側、相続税をもらう側が税金を支払い、米国では贈与を行う側、死亡した相続財産(Estate)が相続税を支払うこととなります。相続税につきましては、相続取得金額が3億円を超えますとその税率は最高税率50%となり、米国では2005年では相続財産が$1.5MMを超えると47%になります。

贈与税につきましては、日本では1000万円を越えると税率50%を超え、かなり厳しい税率となっています。これにより世代から世代への財産継承が早い時期にうまく行えない弊害が出てきたことから、この世代間の財産トランスファーを早めに行い経済の活性化に結びつけるために、相続時精算課税制度が出来上がりました。これは、2500万円の特別控除とそれを超える金額でについては一律20%の課税をするというものです。一方米国ではそれ近いものがすでに存在し、生涯にわたり贈与できる金額が定められており、それは基礎控除額が$345,800、財産価額相当額が$1.0MMとなっております。

上述した日米での納税義務者が違うことさらに非居住者であることを利用し、税金を支払うことなく米国で贈与を行うことが多発した為、日本サイドで平成12年に大きな変更がありました。これは課税時期5年以内に本人または被相続人もしくは贈与者のいずれかが日本国内に住所を有したことがある場合には、国外財産にも課税されることとなりました。これにより、親が米国でお金を持ち込み、米国の居住する子供に税金を支払うことなく贈与することが難しくなりました。

まとめとしまして、今後、非居住者、居住者、米国市民の選択、日米税率の差異を利用した投資プラン、今後の退職金の受給の方法、日米における贈与税及び相続税対策、老後の医療費等に注意してプランニングを行うことが重要と考えられます。
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