2005年度 2月 「 サルでもわかるリスクマネージメント 」
講師 - 諸橋義弘 氏
2004年はイラク戦争、異常気象、大地震、スマトラ沖大津波など
大災害が続いた1年でした。
今年は、穏やかな年となることを願わざるを得ませんが、現在そのような事故や災害から会社や身を守る手段として、リスクマネージメントの必要性が叫ばれています。しかし、一口にリスクマネージメントと言っても、何をどのようにすることがリスクマネージメントなのか良く分からない面があります。
そこで、今回はリスクマネージメントの専門家であり、会員でもある
諸橋義弘さんに「サルでも分かるリスクマネージメント」と題して、リスクマネージメントって何なのか、会社経営者にとって、リスクマネージメントという手法を経営にどう生かせばよいのか説いてもらいます。
〔 諸橋義弘 氏プロフィール〕
日米の保険会社およびブローカー業界で40年間活動。人身事故
査定管理を経て、日本最初の保険金詐欺調査専門職となる。その後
保険ブローカーとなり、現在に至る。専門は、企業の損害保険プランニングおよびリスクマネージメント・サービス。
現在、Trisure Insurance Serviceを設立し、保険ブローカーおよび
リスクマネージメントコンサルティングの他、Frenkel & Coと提携して、
中規模企業の保険サービスの充実を図っている。1995年に?Associate in Risk Management(ARM)の称号を取得。
講義内容
近年、事故や災害その他の事件が発生すると、危機管理が十分でなかったという批判が
大きく取り上げられるようになった。危機管理とはリスクマネージメントの日本語訳だが、
企業の経営には次のようないろんなリスクがつきまとう。
自然災害: 地震、噴火、津波、風害 など
人的要因: 火災、爆発、汚染、横領、詐欺、暴動、キーパーソンの死亡 など
経済的要因: 消費者の嗜好の変化、通貨変動、不景気、株価下落、技術変化 など
政治的要因: 戦争、課税強化、規制基準厳格化、輸出入禁止 など
リスクマネージメントとは、具体的には 上記のような①突発的な出来事を想定し、その経済的損失を最小限化することであり、②そのための予防処置、事後対策、組織化、指導および処理方法を確立しておくことである。
従って、経営者は常に防災意識と当事者意識が必要であり、具体的対策は現場担当者、外部コンサルタントなどその方面の専門家に検討させることが肝要である。
リスク・マネージメントの具体的方法とは、次のようなステップを言う
Ⅰ.リスクの発見と分析
Ⅱ.リスクへの対応策の検討
Ⅲ.最適と思われる手段の選択
Ⅳ.選択した手段の実行と監視
Ⅵ.その結果の評価と見直し
リスクへの対応策としては次の方法がある。
リスク・コントロール(事故などの予防、軽減するための方法)
《例》
事故などの原因の削減: 危険品などを置かない。呑んだら乗らない
予防対策:安全器具購入、不燃物構造の建物にする
損害の軽減化:スプリンクラーの設置
リスクの分割化:防火壁
契約によるリスクの移転:危険作業のアウトソーシング
卑近な例でいうと、呑み会に1.酒癖の悪い人を呼ばない 1.あまり飲まさない 3.酒癖の悪い人の苦手なひとを呼ぶ 4.相性の悪い人を隣同士にしない 5.飲酒後、タクシーを呼ぶ、など
リスク・ファイナンシング(リスクに対する資金的な手配)
リスクの保有
その都度、現金払い
非積み立て準備金
積み立て準備金
ローン
キャプティブ保険(自家保険)
リスク移転
保険の購入
契約による他社からの支払い保証
以上のように、企業存続を危うくする事態を想定して、事故が起きないように予防処置を
講じ、万一発生した場合、その損害を軽微に留め、その損害を補填する手段を考えて
おくことが経営者の務めである。
但し、これらの手法の活用については、企業目的、組織形態などによって多岐に分かれる。例えば新聞社はコストの如何に拘わらず新聞を発行することを目的としたプランを作成
すべきであり、食品会社は安全性に関することを目的としたプランを作ることである。
適切なリスク・マネージメント・プログラムを実施している企業は、事故の軽減だけでなく、
保険料も安くなる。労災保険などは良い例で、保険料の軽減だけでなく、社員の勤労意欲を増し、また労使間の問題も少なくなる。
2004年はイラク戦争、異常気象、大地震、スマトラ沖大津波など
大災害が続いた1年でした。
今年は、穏やかな年となることを願わざるを得ませんが、現在そのような事故や災害から会社や身を守る手段として、リスクマネージメントの必要性が叫ばれています。しかし、一口にリスクマネージメントと言っても、何をどのようにすることがリスクマネージメントなのか良く分からない面があります。
そこで、今回はリスクマネージメントの専門家であり、会員でもある
諸橋義弘さんに「サルでも分かるリスクマネージメント」と題して、リスクマネージメントって何なのか、会社経営者にとって、リスクマネージメントという手法を経営にどう生かせばよいのか説いてもらいます。
〔 諸橋義弘 氏プロフィール〕
日米の保険会社およびブローカー業界で40年間活動。人身事故
査定管理を経て、日本最初の保険金詐欺調査専門職となる。その後
保険ブローカーとなり、現在に至る。専門は、企業の損害保険プランニングおよびリスクマネージメント・サービス。
現在、Trisure Insurance Serviceを設立し、保険ブローカーおよび
リスクマネージメントコンサルティングの他、Frenkel & Coと提携して、
中規模企業の保険サービスの充実を図っている。1995年に?Associate in Risk Management(ARM)の称号を取得。
講義内容
近年、事故や災害その他の事件が発生すると、危機管理が十分でなかったという批判が
大きく取り上げられるようになった。危機管理とはリスクマネージメントの日本語訳だが、
企業の経営には次のようないろんなリスクがつきまとう。
自然災害: 地震、噴火、津波、風害 など
人的要因: 火災、爆発、汚染、横領、詐欺、暴動、キーパーソンの死亡 など
経済的要因: 消費者の嗜好の変化、通貨変動、不景気、株価下落、技術変化 など
政治的要因: 戦争、課税強化、規制基準厳格化、輸出入禁止 など
リスクマネージメントとは、具体的には 上記のような①突発的な出来事を想定し、その経済的損失を最小限化することであり、②そのための予防処置、事後対策、組織化、指導および処理方法を確立しておくことである。
従って、経営者は常に防災意識と当事者意識が必要であり、具体的対策は現場担当者、外部コンサルタントなどその方面の専門家に検討させることが肝要である。
リスク・マネージメントの具体的方法とは、次のようなステップを言う
Ⅰ.リスクの発見と分析
Ⅱ.リスクへの対応策の検討
Ⅲ.最適と思われる手段の選択
Ⅳ.選択した手段の実行と監視
Ⅵ.その結果の評価と見直し
リスクへの対応策としては次の方法がある。
リスク・コントロール(事故などの予防、軽減するための方法)
《例》
事故などの原因の削減: 危険品などを置かない。呑んだら乗らない
予防対策:安全器具購入、不燃物構造の建物にする
損害の軽減化:スプリンクラーの設置
リスクの分割化:防火壁
契約によるリスクの移転:危険作業のアウトソーシング
卑近な例でいうと、呑み会に1.酒癖の悪い人を呼ばない 1.あまり飲まさない 3.酒癖の悪い人の苦手なひとを呼ぶ 4.相性の悪い人を隣同士にしない 5.飲酒後、タクシーを呼ぶ、など
リスク・ファイナンシング(リスクに対する資金的な手配)
リスクの保有
その都度、現金払い
非積み立て準備金
積み立て準備金
ローン
キャプティブ保険(自家保険)
リスク移転
保険の購入
契約による他社からの支払い保証
以上のように、企業存続を危うくする事態を想定して、事故が起きないように予防処置を
講じ、万一発生した場合、その損害を軽微に留め、その損害を補填する手段を考えて
おくことが経営者の務めである。
但し、これらの手法の活用については、企業目的、組織形態などによって多岐に分かれる。例えば新聞社はコストの如何に拘わらず新聞を発行することを目的としたプランを作成
すべきであり、食品会社は安全性に関することを目的としたプランを作ることである。
適切なリスク・マネージメント・プログラムを実施している企業は、事故の軽減だけでなく、
保険料も安くなる。労災保険などは良い例で、保険料の軽減だけでなく、社員の勤労意欲を増し、また労使間の問題も少なくなる。