日時
2010年6月9日(水)、6:30PM - 8:30PM
会場
ニューガーディナ・ホテル
講師:Yuki-S. Itaya Martin, L.Ac., MSOM, DAOM**(マーティン ユキ) 氏
講演録担当:宮坂 裕二
講師略歴
鍼灸・漢方師。Emperors College of Traditional Medicine卒業。2007年より開業。現在、Yosan UniversityでDoctoral program**に在籍中。Infertility and Reproductive Medicineを専門とする。幼少の頃より、馬への鍼灸治療を行う。現在も、週末は動物の治療に専念している。心に効く鍼灸・漢方治療を目指し、痛くない鍼で現在は多くの子供への治療も行っている。一人一人に合わせた治療法と、未病と予防に重点を置いている。 現在、アーバインにあるVitalae Wellness Acupunctureに勤務
講演内容
鍼灸の概要
鍼灸とは治療点である「ツボ」に鍼またはお灸で刺激を与えることによって全身を健康な状態に戻し、病気を治そうとするものです。「ツボ」は全身に361あるとされ経穴と呼ばれます、これらを結んだ線を経絡と呼んでいます。経絡は全部で14本あり、エネルギー(気)が健康なときはスムーズに流れ、体のどこか具合の悪い所があると、どれかの経絡が滞っていると考えます。そこで、ツボに鍼を打ったり、お灸をしたりしてエネルギーの流れを良くし、体の回復を待つ治療法です。
治療の種類
・鍼・・・・・・・アメリカでは80%が中国式で15%が日本式である。中国式は深く針をさすのに対し日本式は浅くさすのでほぼ痛みを感じない。
・吸玉・・・・・・血行が良くなり毒素を出すことができる。
・Tuina・・・・・強いマッサージ
・気功
・灸
・漢方
鍼灸の主な適応症
アレルギー、花粉症、不眠、不妊、ぎっくり腰、禁煙、ADHD、肩こり、首の痛み、疲労感、倦怠感、喘息、めまい、高血圧、うつ、パニック症候群、メニエール、眼精疲労など。
日常への鍼灸の取り入れ方
予防として活用:一定の期間を決めて通う。
例:毎週、隔週、毎月一度の治療。
風邪が流行る季節の前に治療を定期的に受ける。
西洋医学で薬に頼る前に、診察を受ける。
病気の原因
・精神面、七情
・六邪(外邪)
・飲食、疲労、性行為過多、外傷
・先天:遺伝子、両親より受け継ぐ
・後天:食べ物、環境、運動
内因:七情
喜び過ぎると、心臓、小腸を傷つける
怒り過ぎると、肝臓、胆を傷つける
思い過ぎると、脾臓、胃を傷つける
憂い、悲しみ過ぎると、肺、大腸を傷つける
恐れ、驚き過ぎると、腎臓、膀胱を傷つける。
六邪
風 めまい、咳、喉の痛み、頭痛、発熱、目のけいれん。
湿 関節痛、体全体が悪い
寒 下痢、頻尿、冷え性、痛み
燥 皮膚の乾燥、硬便、口や目の乾き
暑 高熱、怠感、食欲不振、口の乾き
熱 高熱、手足のほてり、目の充血、発汗過多
五行
・木:wood
肝臓、胆。
血を蓄え巡らせる、勇気、気を運ぶ。
イライラしやすい、怒りやすい、筋肉の引きつり、決断力の低下。
11pm~1am 肝臓・・・・この時間帯に180度横になっていないと肝臓が働かない。
1am~3am 胆
・火:Fire
心臓、小腸。
精神を統括、血を巡らせる、動悸、不眠、胸の痛み、高血圧、頭の頂点が禿げやすい、味覚異常、毒舌。
11am~1pm 心臓
1pm~3pm 小腸
・土 Earth
胃、脾臓。
栄養を体に与える、消化。
食欲不振、太りやすい、胃のもたれ、嘔吐、鼻血、皮下出血、生理が止まらない、舌が腫れる
7~9am 胃
9~11am 脾臓
・金 Metal
肺、大腸。
呼吸、皮膚、鼻。
便秘、下痢、疲れやすい、皮膚の乾燥、アレルギー、汗の異常、冷え性、咳が出る。
3~5am 肺
5~7am 大腸
・水 Water
腎臓、膀胱。
尿の排泄、生殖・成長の促進、骨や脳を作る。
骨が弱くなる、腰の痛み、難聴、耳鳴り、頻尿、精力低下、不妊
3~5pm 腎臓
5~7pm 膀胱
脈診
脈を診ることにより、内臓の状態を診断する。心臓の弁のつまり具合、肝硬変、ストレス、腎臓の状態、体の痛み等。
右と左で。三ヶ所ずつ、3つの深さで計る。合計、18ヶ所の状態をみる。
例:大腸にポリープがある場合や甘いものを摂取してきたかどうかなど脈を診るだけでさまざまなことが分かる。
三陰交
3つの経絡が交わっているツボです。冷えのほか女性の生理痛、更年期障害などの疾病にも効果があります。安産のツボ。
手のツボ
曲池・・便秘、体内の熱を出す、大腸のポイント、肘の痛み、歯痛。
合谷・・鼻づまり、肩こり、万能のツボ、頭痛、生理痛。
肩のツボ
風池・・目の疲れを取るツボ、風邪のツボ、リラックス、肩こり、首の痛み。
肩井・・首・肩のコリ、陣痛を促進、便秘、目の疲れ、頭痛、冷え。
背中とお腹のツボ
命門・・おへそのちょうど真裏の背骨と背骨の間にあるツボ。冷え性、頭痛、下痢、気を高めるツボ。
以上