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サウスベイ マネジメント セミナー( Southbay management seminar )は月一回のセミナーを中心に勉強し、時々に親睦をする、乃ち「よく学び、よく交友する」そのような会です。

前途多難な政権運営=オバマさんの民主党、鳩山さんの民主党

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前途多難な政権運営=オバマさん... 前途多難な政権運営=オバマさん...
日時
2010年2月10日(水)、6:30PM - 8:30PM
会場
ニューガーディナ・ホテル
講師:加賀崎雅子氏

講 師 紹 介 者:佐伯 和代氏
講演録担当:河合 将介

講師略歴

マガジン「ブリッジUSA」編集主幹兼ブリッジUSAラジオステーション・ニュースディレクター。小学校から大学まで聖心女子学院(同女子大学)という究極のお嬢さま一貫教育で学んだものの、両親や周囲が期待した「良妻賢母」とはもっとも遠いところに位置するオトナになってしまった。    1986年来米。1992現 職。隔週誌BRIDGE USAのコラム「From Executive Editor」は人気コーナー。94年にスタートしたラジオニュースの生番組「加賀崎雅子のニュース待ったなし」担当。ニュース解説は「自分も分かる、誰もが分かる」が信条。

講演内容

今回はともに昨年から政権政党となった日米の「民主党」についてお話したく思います。いま日本の政権の中枢を担う「鳩山民主党」もガタガタとなっていますし、オバマさんの米国民主党もたいへんな状況になっています。
【Ⅰ】日本の民主党について

1、日本の週刊誌の論調比較について:

今回の小沢幹事長と日本の検察当局との構図は岡目八目的なサイドウオッチャーとして見ていれば面白かった。日本の場合、新聞・テレビの報道は画一的で論調はほぼ同じであるが、他方、週刊誌の報道の仕方をみると、それぞれの見方、個性が出ていておもしろいといえる。例えば、1月18日―24日発行の各週刊誌による小沢幹事長問題についての報道内容をくらべてみると、
(1)週刊文春:民主党当選2期目の村越祐民議員(千葉5区)がたった一人で反乱を起こしたことをメインにとり上げている。ただし、小沢寄りでも検察寄りでもなく中立な立場で書いている。
(2)週刊新潮:見出しに「敗北の暴君」という言葉を使い、かなり検察寄りな書き方をしている。特捜部の考えでは「奥の手は脱税による摘発だ」ということまで書いていた。
(3)週刊ポスト:小沢氏を「新裏金疑惑」というかたちで追求している。小沢氏が東京の土地を購入したと同時期に小沢氏は沖縄でも別荘地を入手したとスクープとして掲載している。また小沢氏の錬金術として、過去に自由党などを解散したときに政党助成金を国庫に返納せず自分の政治団体にすり変える手口まで使ったなどとまで書いている。
(4)週刊朝日:上記3誌とはまったく逆の書き方をしている。完全に小沢氏全面擁護の立場をとっている。検察がマスコミに情報をリークするのは、検察の捜査が行き詰まっているからであり、結果的に法的に小沢氏を立件するのが無理でも、政治的に小沢氏を葬ればよいとする狙いである、とする書き方。
    上記のように、真偽はともかくとして、週刊誌はいろいろな側面から報道を取り上げるので、政治ネタをみるとき、日本の週刊誌を各誌読み比べてみると案外参考になると思う。

2、鳩山政権の最新ネタについて:

(1)枝野幸男氏(元政調会長)を行政刷新大臣に任命した。枝野新大臣は例の民主党による「事業仕分け」チームの統括役をやって力量を発揮した人だ。このところ「政治とカネ」ということで、どろどろイメージの民主党の中では枝野氏という45歳のフレッシュ・イメージをアピールすることは悪くないといえる。ただし、彼は小沢幹事長とかなり距離を置いている人なので、この人事はサプライズであったといえよう。枝野氏を強力にバックアップしたのは仙石由人内閣府特命大臣といわれている。
(2)上記の枝野大臣起用という一連の流れをどうみるか、即ち鳩山首相が小沢氏と距離を置き始めているのか、それとも、世論を配慮して小沢氏と距離を置くふりをしているのか、どちらか話題になっている。ただ、枝野氏はもともと実力のある人なので、鳩山首相としても、こういう人を将来のためにもっと育てたいと思っているのだろうという声もあるようだ。
(3)今回問題になった石川知裕議員(小沢一郎氏の元秘書、北海道選出)の進退問題については、最終的には民主党を離党することになったようだ。離党せずという正面突破は出来なかったことになる。小沢氏と鈴木宗男氏(新党大地代表、北海道選出)はしばしば会談しており、鈴木氏から小沢氏へ北海道地元の声を伝えていたという。
(4)一方、社民党は石川議員問題について、政治倫理審査会での弁明を求めると決め、民主党と心中は避けたいとしている。
(5)これら一連の流れから、連立与党間のきしみがでる恐れがありそうだ。


【Ⅱ】米国の民主党について

1、 前途多難なオバマ政権の二年目:

(1)オバマ大統領が発足して一年が経過した。オバマ大統領のこれまでの一般の評価は程度の差があるが「がっかり」が大勢を占めているようで、「期待通り」という声はほとんど聞かれない。史上初の黒人大統領ということで一年前は熱気すら感じられたのだが、その熱気は完全にさめたといってもよいかもしれない。上院での政権安定に必要な60議席を先日の補欠選挙(マサチューセッツ州)の結果失うことになり、前途多難な2年目になることは確実だ。
(2)支持率が急速に降下している民主党政権、これから何をするかということで、オバマ氏は国民の支持率快復のために「ポプピュリズム(大衆迎合政策)」をとってゆくだろう、といわれている。
(3)この1月27日に大統領は一般教書演説を行い、今後一年間の施政方針を述べた。この演説の90%は内政問題についてだった。いかに支持率回復を考えているかがよくわかる。

2、オバマ政権のポピュリズム(大衆迎合政策)

(1) 新たな金融機関に対する規制:大手金融機関(総資産500億ドル超)からの手数料徴収計画。これにより今後10年間で900億ドルの収入があることになり、これまで手当てした総額1,200億ドルにのぼる不良資産の救済プログラムの多くを回収できることになる。オバマ氏の弁によると「国民が金融機関を救済するために負担した費用を回収するのが私の役目である」、「金融危機を起しながら、国民の恩恵で経営破たんを回避できた金融機関が今になって巨額な利益や報酬を計上していることを知って、私は手数料徴収に踏み切った」としている。
(2) また大統領はその一週間後には、前記と同じ趣旨で、銀行、ヘッジファンド、プライベート・エクイティファンドなどにも同じような規制を表明した。
(3) これらの政策はオバマ大統領が新しく作った「経済回復諮問会議」議長のボルカー氏(元FRB議長)が提唱したアイデアで、オバマ大統領はこれを「ボルカー・ルール」とよび、確かに一般大衆には歓迎されやすい政策であるが、専門家の間では「明らかな間違い政策」という声も多い。
(4) オバマ氏のこれらポピュリズム政策は「経済政策」というより「政治的計算」だという見方すら出ている。(専門家、記者、事情通たちから)
(5) それでも、オバマ大統領は次のようなコメントを出している。「金融機関は顧客への奉仕という本来の使命から、あまりにもかけ離れたことを続けてきている。これ以上見過ごすことは絶対出来ないのだ」と。オバマ氏はあくまで庶民の味方を強調している。

3、オバマ大統領の支持率と回復策:

(1) オバマ大統領の支持率は就任時には約70%だったものが、今は50%内外にまで低下している。
(2) 先日のマサチューセッツ州の連邦上院補欠選挙で民主党が破れたのも、オバマ政策に対する国民の不満の表れであると分析され、今年の中間選挙に大きく影響する可能性もでてきた。
(3) この支持率低下を食い止め、回復させるために、上記金融機関への政策で人気挽回を図ろうとしているのではないか。
(4) この他、大統領はもっぱら地方への遊説に力を入れている。

4、オバマ氏の「ポピュリズム(大衆迎合政策)=ボルカー・ル-ル」の落とし穴:

(1) オバマ氏による新たな金融規制は景気回復の足を引っ張りかねない。
(2) 新たな金融規制は当然ながら対象となる金融機関の利益は圧迫され、ウオール・ストリートの活力はそがれることになり、不況の二番底の恐れすらある。
(3) 現に、オバマ氏が「ボルカー・ルール」を表明したとたん、株価が下落した。
(4) オバマ政権の経済政策チームの中に不協和音を起しかねない。サマーズ氏(国家経済会議委員長)、ガイドナー氏(財務長官)の二人も、もともとは「ボルカー・ルール」の導入には反対の立場の人だった。バイデン副大統領は「ボルカー・ルール」を強力に支持する立場。
(5)ガイドナー氏(財務長官)側の言い分によれば、この「ポピュリズム政策」によって経済政策が政治の犠牲になってしまった。この結果、経済政策ががたがたになって、経済が良くならなければ、最終的に大衆は迎合しないだろう。

5、オバマ政権と地球温暖化対策について:

(1) 先日の大統領による「一般教書演説」では地球温暖化対策に関する話はほとんどなかった。落胆せざるをえなかった。
(2) 就任一年目の昨年をみても、気候変動対策にはまったくの無策だったといわざるを得なかった。
(3) 昨年開催されたCOP15(コペンハーゲンで開催)でも法的に裏付けのある「温室効果ガス削減目標」をアメリカが提示してくれるのではないかと期待されたが、なされなかった。国際的にも信頼感を失った。

以上

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