講師 トリポリー・マスミ氏
講師紹介と略歴
7月のセミナーはテレビ、新聞、雑誌などでお馴染みのCFPのマスミ・トリポリー氏に、「分かり易い節税のしかた」と題して、効率の良い資産形成と節税の方法をお話ししていただきます。低金利が続くなか、日本では公的年金の受給も将来は暗い見通しが報告されています。皆さんの中には、駐在先のアメリカで定年を迎える方も多いと思いますが、やはり老後の生活保障をどうするかということに大きな関心があると思います。
そこで今回は、米国に居ながらどのように節税し、財産を形成していくかという点に焦点を絞り、この道のエキスパートであるトリポリー氏に、その豊富な経験と知識をベースにその最も効率的な方法を講演していただきます。
〔トリポリー・マスミ氏のプロフィール〕
ワシントン大学卒、上智大学修士課程卒、エコー・デ・エチュッド・コメルシャル(フランス)MBA過程終了、シドニー大学(オーストラリア)博士課程1年終了、アウトノマ・デ・メヒコ大学(メキシコ)にて教授助手を務める。その後、外資系銀行の外国債権のトレーディングと投資ポートフォリオの運用アドバイサーを経て、現在CFP(公認ファイナンシャルプランナー)として、節税と資産効率の改善のアドバイサーとして活躍。また、新聞、雑誌やテレビ出演などを通じて、節税、効率のよい資産運用などのアドバイスや、カリフォルニア州弁護士協会税金部会の講師などを務める。
講義内容
ファイナンシャル・プランニングは、以下のような5つの分野で構成されているそうです。講師のトリポリさんは、分野ごとにお話を纏めてくださいました。また終盤は、参加者からの個別質問に答えてくださいました。
1. インカム・タックス・プランニング
インカム・ゲインやキャピタル・ゲインにおいて、課税の控除や先送りができるタイプの投資を選ぶことが主なポイントとなる。個人の状況によって具体的なアドバイスは異なるので、タックス・リターンなどを頼んでいる会計士に相談するのもよい方法だろう。
2. アキュミュレーション・プランニング
銀行預金のような元金保証を求めると、投資リスクをとらない代わりに投資リターンも少なくなる。ゆえに各個人の状況に合った投資リスクを設定する、できるだけリスク分散した投資を行うことが重要となる。長期間にわたる投資リターンを比較すると、分散化したポートフォリオの投資リターンが高いことがわかる。
3. リタイアメント・プランニング
この分野も、課税の控除や先送りができるタイプの投資を選ぶことが基本となる。所得額が減少するリタイアの時期まで課税を先送りすれば、支払う税金も少なくなる。
4. エステート・プランニング
米国における相続税、贈与税は、大統領が代わる度に変更される傾向にある。よって課税控除枠がうまく使えるように、例えばリビング・トラストなどを設定して、生前から準備、工夫することが必要である。相続、贈与に関する法律は州の管轄になるので、他州へ転居したら見直す必要がある。
5. リスク・マネジメント
保険は、リスク・マネジメントの代表格である。人生を通じて、ディスアビリティー(傷害疾病)保険を使う可能性は意外と高い。生命保険の保険金受取り額も相続税の対象となるので、エステート・プランニングの考慮に入れる必要がある。
(以上、 セミナー副委員長 矢部が作成いたしました。 2004年7月17日)