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  • 2003年度 10月 - ビジネスマンのための遺伝子の話

2003年度 10月 - ビジネスマンのための遺伝子の話

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2003年度 10月 - ビジ... 2003年度 10月 - ビジ...
講師 ロマリンダ大学医学部微生物分子遺伝学科、笠淳一博士
講師紹介と略歴
今年は、生命の根幹をなす遺伝子に関して大きなエポックとなった年です。ヒトゲノムの読み取り完成など、最近の遺伝子学は目覚しい進歩を遂げています。クローン動物、クローン植物の誕生は実は遺伝子(DNA)操作の応用によるものです。遺伝子治療から犯罪の決め手となる遺伝子分析まで、遺伝子の応用性には計り知れない可能性を含んでいます。その一方、環境汚染など複雑な問題も秘めています・・・・
そんな問題をロマリンダ大学の遺伝子学者、笠淳一先生と一緒に考えてみませんか。

講師略歴: 千葉大学、東京都立大学大学院を卒業、理学博士。 1979年ロマリンダ大学医学部の基礎医学部門に医学交換教授として渡米、現在ロマリンダ大学遺伝子学科の助教授。1996年スイスのバーゼル大学客員教授。 ロマリンダ大学の大学院では薬学部と医学部の授業と実習に携わっている。 専門は遺伝子(DNA)を切る”制限酵素”の研究。 2000年にアメリカ市民権取得。 1991年よりロマリンダにJapan Clubを組織し、日本からの研修者や近隣の日本人社会への奉仕活動に努める。


講義内容

遺伝子は、人間は人間になる、トラはトラになるという、生物を作るための設計図である。50年まえ、ワトソンとクリックという20代の大学院生が、DNAの構造を発見した。今年になって、人間の遺伝子がすべて解明された。人間の遺伝子は、30億個の塩基配列からなる約3万5000個あることが明らかになった。
全生物に共通している遺伝子は、約20%もあり、人間に特有な遺伝子の率は約1%くらい。遺伝子の違いと身体特徴の違いは、必ず一致したものではない。例えば、日本人とアメリカ人の遺伝子は、けっこう似ており、日本人と韓国人は、遺伝子がけっこう違っている。アフリカは、遺伝子の宝庫で、アフリカ人の遺伝子の多様性は、日本人とアメリカ人の差よりも大きい。
母性遺伝子をたどっていくと、アフリカにたどり着き、人類の祖先は、アフリカにいたと言われている。
1946年に国連のディレクターが、バイオテクノロジーがエンジニアリングより重要になる時代がくることを予言している。遺伝子操作で、初めて商品化が行なわれたのが、バクテリアを使っての糖尿病の薬であるインシュリンの大量生産で、1960年のことだった。30年前には、遺伝子を作ることも可能となった。
クローンは、目新しいことではない。例えば、ニラは、葉を切っても、またはえてくるが、これが、クローンと同じことである。遺伝子組替食品についても、大騒ぎすべきことではない。われわれが、毎日食べている野菜は、自然状態ではなく、何百年も品種改良が行なわれて来た結果である。遺伝子組替も、品種改良のひとつと考えれば、心配すべきことでないと、アメリカの食品局は言っている。
今後50年間で、地球上では、約80億人が飢餓状態に置かれるという予測があり、遺伝子組替で、食料が増産されれば、解決策になる。遺伝子組替は、人類にとって必要なことでもある。しかし、遺伝子組替が、長期にわたった場合の危険性は解明されていない。
ヒツジのクローン「ドーリー」は、イギリスのロザリン研究所で、生まれ、7歳まで生きた。ヒツジはふつう、14歳くらいまで生きるので、寿命が短いようだが、「ドーリー」は「ボニー」という子孫を残している。
人間のクローンはまだ出ていないが、クローン人間が生まれても、パニックになる必要はない。クローン人間とは、一卵性双生児のようなものだ。ただ、一卵性双生児が、同じ時期に生まれることにたいして、クローン人間は、双子の片方が、ずっと後になって生まれてくる、ということだ。一卵性双生児は、1000人にひとり生まれる確立だ。
遺伝子の研究が進むと病気の原因を遺伝子で説明することが可能になってくる。例えば、日本人の自殺が多いのは、セラトニンS型の割合と関係があるようだ。アメリカ人が68%に対して、日本人は98%の割合だ。10年後には、医者は、患者の容体を見るために、まず遺伝子情報を知ろうとするだろう。現在のカルテは、患者のゲノム情報の入ったCDに置き換わっているだろう。
人類は、これまで、食料生産のように環境をコントロールすることにいしょうけんめいであったが、これからは、遺伝子をコントロールすることにいっしょうけんめいな時代に入っていくだろう。人間が死んでしまうと、そのひとが持っているゲノム情報は消えていくが、遺伝子操作では、一度変えた遺伝子が永久に残されていく状態が生まれる。ゲノム操作は、慎重に行なわなければならない。遺伝子組替は、知識を深めて、賢い判断をする必要がある。

(録音テープの聞き取りによる要約=カルチュラル・ニュース、東繁春)
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