講師 アンディー松田文男 氏
講師略歴 スシ・シェフ・インスティチュート(SCI)の設立者、アンディー松田文男さんです。松田さんは兵庫県出身で、高校卒業後、寿司職人として修行を積み、1981年に包丁一本とスーツケースでロサンゼルスに来られ、その後、レストラン、ホテルなどで業績を上げられました。ホテルの仕事では、ロサンゼルス・シェラトン(LAX空港)とロングビーチ・シェラトンで、チーフ・スシ・シェフをされています。その傍ら、貿易会社も経営されています。
1998年にアメリカで初めてのスシ・シェフ養成学校「カリフォルニア・スシ・アカデミー」の設立に携わり、チーフ・インストラクターを務められました。その活躍ぶりは、数多くのテレビ、雑誌などで取り上げられ、人気雑誌の「ピープル・マガジン」にも紹介されています。
2002年9月に独立し、自らが経営者となって「スシ・シェフ・インスティチュート」を設立し、スシ・シェフの養成に力を注いでいます。
今から10年前の36歳のときにガンを患い、克服した体験の中から食生活の大切さを痛感し、それが学校設立の一つの動機にもなったそうです。
講義内容
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アメリカは今、日本食ブーム
現在、アメリカではSUSHIを初めとした日本食ブーム。全米で約7000件の日本食レストランが営業している。
離婚率が高くシングルの多いアメリカで、1人で行っても話ができる SUSHIバーが人気。スローフード見直しや健康ブームに乗り、暖かいもてなしのある日本食がロス、ニューヨークを中心にブームとなっている。
ブームの中に危険な兆候
日本人経営の日本食レストランは約30%。今後も減少傾向。70%の外国人経営のレストランの多くは、日本食の扱いの基本ができておらず、衛生面にも問題のある場合も多い。カリフォルニアロールができて、40年。現在ブームの渦中にあるが、何か事が起こるとどうなるか? いくら30%が頑張っても、70%に潰されてしまう危険性が潜んでいる。
HASP との戦い
食品衛生は30年前に制定されたHASPにより一元管理されている。
米食、中華、日本食全て同じ基準。
-> 日本食の実態に合わない基準
危険温度帯 40~141度 での保管は不可。(殺菌作用のある酢飯も同一管理)カリフォルニアで回転寿司はほぼ不可能
-> PHでの管理を提唱
今こそ、日本食スクールが必要
日本の技術を持っている日本食レストランの多くは、日本独特の職人気質。教える環境になっておらず、米国人が就職してもなかなか技術が習得できない。
「米国人がきちんと理解して技術を習得できるスクールが必要」
2002年9月に独立し、自らが経営者となって「スシ・シェフ・インスティチュート」を設立
スシ・シェフ・インスティチュートの現在
ベーシッククラス(1ヶ月)とプロクラス(1ヶ月)の2本建て
プロクラスはプロとして必要な基本を徹底
ファンシーロールよりもカッパ巻きを1分1本巻ける技術の方が大切。
350名の卒業生の70%がプロとして活躍中、5、6名が日本食レストランを経営。
世界に通用するSUSHIを作ってもらうため、知ってることは全て教える
世界の寿司はロスから
日本の寿司: 職人の世界。「黙って俺の寿司を・・・」 敷居が高い。
世界が求めているのは、日本の寿司ではなく 、敷居の低いロスのSUSHI。
ロスが世界のSUSHIの拠点
日本の伝統をキープするのは今が大事。今後の5、6年が勝負
講義全体の感想
3才から料理をしていたというアンディーさん。SUSHIに対する熱い思いがひしひしと伝わってくる素晴らしい講義でした。
Hideki Muto