日時: 2015年9月9日(水)、6:30PM - 8:30PM
会場: ニューガーディナ・ホテル
講師:赤野公昭(あかの きみあき)氏
講演録担当:佐伯和代
講師略歴:
メンタル・トレーニング・アカデミー代表 米国CTI認定コーチ 1972年岡山県出身。世界NO.1のアスリートを育てたアメリカのトップメンタルトレーナー、ジョセフ・ペアレント博士に師事。これまで7000時間を超える「メンタルトレーニング」「パーソナルコーチング」の実戦経験から、日本古来の「禅」と欧米の最新メンタルトレーニング理論を融合させた「禅×コーチングメソッド」を開発。壁を突破することを切望するプロゴルファー、プロテニスプレーヤー、プロ野球選手などを多数指導。じっくり選手の話を聴きながら真の課題を発見することで、多くの選手がスランプを突破し、爆発的な変化を遂げている。また、「不安を力に変える」という従来のコーチングの常識を打ち破るアプローチは、「人生を変えるコーチング」と呼ばれ、経営者などビジネスパーソンをはじめ、作家、芸能人などからも熱い支持を受けている。「経験+科学」をベースに世界で活躍する一流のアスリート、ビジネスパーソンを育てることをミッションにしている。
講演録:
今発売のゴルフダイジェストに、ジョーダン・スピース選手の心の強さを紹介するコラムが掲載されています。
メンタルコーチとは何か?
プロのゴルファーをコーチングしていますが、私自身はアベレージゴルファーです。
最初にプロ選手や経営者が訪れた時、なかなか自身の壁を乗り越えられないで苦しんでいる状況です。 その方々は皆さん本来素晴らしい力を持っているのですが、練習で出せていた力がいざ本番ではなかなか出せないでいます。
このメンタルトレーニングはアメリカから始まりました。
ゴルフの世界で最初に本格的に取り組んだのは、タイガー・ウッズ選手でした。
そして、オリンピック選手も最近はこのメンタルトレーニングを受けている方が多いのが現状。
メンタルトレーニングとは、科学です。そして私自身「禅」を宗教ではなく、フィロソフィーであると捉えています。そこには、たくさんの心を輝かせるヒントがあるのです。 例えば自分の心は泥だと思う方が多いです。その泥は汚いので、それを覆い隠そうと金のメッキを貼ろうとします。ですが、禅の考え方では、人の心は「黄金の像」であると考えます。それを自分の悪いところばかりをみて、泥で汚いから、メッキで覆い隠そうとします。
例えばゴルフでは、自分のスイングが汚いので、直さなければいけないと思い、それが募り、自分本来のスイングができず、イップスになってしまうケースがあります。ですが、正しいものは本当はないのです。ただ、自分本来の姿が「黄金の像」なので、その自分らしさを出せればいいのです。一度いい仕事、いいスイングができたなら、本当は出来るのです。なので、自分を信じて自分本来の力が出せるようにすればいいんです。
イチロー選手も子供の頃から指導者からバッティングスイングを直されそうになったが、父親は直させようとしなかったし、プロになってからもそのスイングを直せと言われたが、直さず、2軍に落とされました。しかし、仰木監督と出会い、その仰木監督が直す必要がないとイチロー選手の個性を認めてくれたことから、イチロー選手の華がひらき、今も活躍を続けています。自分自信を信じることが大切。
人の心には3大法則があると言われています。
1)人は今なにかしら心の状態が起きている。
2)フロー(ご機嫌)/ノンフロー(不機嫌)な状態のどこかに今いる
3)上記2のどこにいるかによって、成果が変わってくる
普通にしていると、どんなことが起きるか。昨日を思い出してみてください。
フローな時間が多かったですか? ノンフローですか?
では、ノンフローな時、あなたのベストパフォーマンスが出せていますか?
ノンフローな時、覇気がなかったり、やる気が起きなかったり フローな時、やる気が出て、前向き
このフローな状態の究極をゾーンと言います。ゾーン(究極の集中状態)に入った時とはどんな時か?
プロ野球選手なら、ボールが止まって見える。縫い目が見える。
ゴルファーなら、勝手に軌道が見え、スイングもすばらしい状態。
一方で、ノンフローの究極は? 鬱です。
いかにゾーン(究極の集中状態)に入ることが出来るのか。これがなかなか難しい。
本当は毎日フローな状態でいたいですよね?
ですが、なかなかフローを持続するのは難しいものです。
では、なにがフローな状態を邪魔しているのか。
それは、次の3つのことが大きな要因だと言われています。
1)環境
2)経験
3)他人
環境
それは外部環境によることが多いのです。例えば、雨が降ったり、渋滞に巻き込まれたりすると、ノーフローになったりしますよね。 また困ったことが起きた時、ノンフロー。 ですが、助けてもらったら、フロー。
今この瞬間どう生きるのか、フローでいくのか、ノンフローでいくのか、 本当は自分で決められるのですが、なかなかそれを実行するのは難しいのです。
フローな状況になることを邪魔する外部環境にも2種類があります。
ひとつは自分ではどうしようもできないこと。
もうひとつは自分で変えることが出来ること。
経験。
過去の経験から
以前に回ったゴルフ場でいいスコアを出せていたら、そのゴルフ場が好きになり、 いい成績が出せたり、逆の場合は出せなかったりします。
「早くしなさい。」と言われて育った子は、、、だいたい早食いになる(笑)
こういう選手はプレーも早くなる。例えばゴルファーもここ1打の時に、 いつものルーティーンがとんでしまい、リズムが早くなってしまい、普段の力が出せないことがあります。 ただ、その速さが自分に合っていればいいのですが、、、
経験からノンフローになっている場合、なぜノンフローなのか、その経験を気づけたらフローに変われるんです。
ビジネスにおいてもそうです。なにか自分自身、今とらわれていることはなにか。 それに気づけたらフローへの転換地点に到達なんです。
無意識に過去の経験にとらわれていることがあるんです。
他人
嫌いな人と一緒にいるとノンフローになりますよね。
自分の人生を生きていると思っていても、 人は気付かないうちにこうしていくつも外部環境に支配されているんです。
予想もし得ないことがビジネスでも起きますよね。 それは変えられない現象であることが多いのであれば、どうやってその環境でフローになっていくのか。
今、この瞬間、自分の人生を自分で決める。
今の心持ちを自分で左右する。
そう決めると違ってくるんです。
ムキになるということは、外部環境に左右されているということです。それが人なんですが、それをいかに早く立て直せるか、いかに早くフローになれるのか、それが成功への近道です。
本当は、今、この瞬間にフローな決断をすれば、出来るのです。
自分が認められればいい。自分がスポットライトを浴びていればいい。
自分だけ儲かればいい。自分だけ幸せであればいい。
他人よりも自分。
こういった気持ちは自分に自信がない証拠。
でも、こういった人はノンフローな状態なんです。
経営者も、自分の器以上に会社はならない。
経営者の器が大きければ、会社も大きくなっていくと思います。
ただ、大きい会社がいい、小さい会社が悪いということではなく、 成長するということが必要なんです。
コーチングを受けにくる人たちは燃え尽きかけている人が多く、 その多くが「成長」することを見失って、安全な方、安全な方を選び、 考え方も行動も小さくなっていることが多い。
では、成長の源はどこにあるのでしょうか?
どうやったらフローになれるのでしょうか?
私は、「初心」だと思うのです。
行き詰まった時、ビギナーズマインド、「初心」に帰ることが大切。 この初心というのはある意味「開き直る」ことなので、 その状態になることも難しい。
コーチングをしている中で、コーチングを受けた多くの選手たちは、 「本来の自分に戻った気がする」という言葉を言います。 それは、「気づき」なんです。
自分の本来の姿に「気づき」成長していくのです。
初心に戻るまでの心の動きとして、
1)コップが逆さまな状態:人の言うこと、アドバイスを聴けない状況。
2)コップの底に穴がある状態:人の話が右から左に抜けている状態
3)コップの中が泥で汚れている状態:先入観、思い込みが邪魔をしている こういった状況ではなく、
(4)コップが綺麗で、ちゃんと上を向いている状態。 この状態になれた時が、初心に戻れる時なんです。
自分の中に答えがあるんです。
みなさんの中にあるんです。
そして、それはノンフローな状態ではなく、フローな状態で導き出した方が いい結果が得られます。
ノンフローから出た結論は「怯え」なんです。
それも否定ではなく、認めることが大切なんです。
1mmでも何にとらわれているのか、自分が今どんな状況なのか、「気づく」ことができたら、それは自信につながるのです。
人には無限の自信があるんです。それは、1mmの成長から始まるんです。
鬱と躁
躁というのは、テンション、糸が張り詰めている状態で、 やはりノンフロー、鬱と同じ状態なんです。
強さとはなにか。
人生はいい時もあれば、悪い時もあります。 なので、いつも上向きというわけではないのです。
大事なことは、切れない糸。しなやかな心をもつこと。
いい時も張りすぎず、悪い時も切れない心。
落ちた時に自分を責めると余計に落ちていきます。
しかし「気づき」が得られた時、あなたの人生は上昇気流に乗ることが出来るのです。
どんな話を聞いても自分の心が濁っていたら、いい話からも何も得られないのです。
マインドフル・アウェアネス
今、グーグル社でも取り入れられている瞑想方法ですが、 「心」という状態があります。この心はいろんなものに影響されます。
この心をマインドフルに見ると、心は空、思考は雲となります。
広い心の空に、雲のように、不安や心配の雲が浮かんでいる状態。
これが自分で見えたらマインドフルに見えている状態。
人は怒りで物事がみえなくなったり、どうしようもできなくて自分の本意からは離れた行動に出て、後で後悔することがありますよね。 ですが、自分をマインドフルの見方でみることができたら、それが「平常心」
カジュアルに出来る「マインドフル・アウェアネス」
1)椅子に浅く腰掛ける
2)お尻にある尾骨が椅子にあたっていて、つむじが伸びる状態。(背筋が伸びる)
3)手はぶらっとし、次に太ももの上にふわっとおく。
4)重心を落としていく。丹田(へそ下5cm)に集中。
5)目を閉じ、鼻から息を7を数えながらすって、6で吐きながら、 自分の意識の中で、重心を徐々に落としていく。それを0までやり、また7に戻っていく。
次に五感
視覚:3mくらい先をみて、その見ているものだけに意識を合わせてください。 呼吸は同じです。
聴覚:聞こえている音だけに意識を集中してください。
できたら、遠くの音にも耳をすませてみましょう。
触覚:ゆっくり呼吸をしながら、触れている感覚のみに集中してください。
足が床に触れている感覚など
呼吸:鼻でゆっくりすって、鼻でゆっくり吐く、その空気が体に入っていく
感覚目線は半眼で3mくらい先を見ましょう
これがしなやかな心の状態なんです。
受け入れる、柔軟な心の状態。
今日「マインドフル・アウェアネス」
1)姿勢
2)重心
3)五感
4)呼吸
朝5分でもやってみましょう!
以上。