昭和47年 新幹線岡山開業 第3話
10月
23日
新幹線の岡山開業はご存じの通り昭和47年3月に行われるのですが、この年は鉄道100年と言うこともあり、10月にもダイヤ改正が行われており、1年に二回も大きな改正がある年になりました。
さて、今回開業した山陽新幹線は、東海道新幹線の延長ということで、軌間や車両限界という基本的なところは変更がないものの、開業後のトラブルや技術の発展を反映して、地上設備の改善の他車両面でも大きな変革がありました。
特に最高速度は、東海道新幹線の210km/hに対して、250km/hまでの速度向上を目指して曲線半径の見直しやカント(線路の傾き)量の拡大などが行われました。
山陽新幹線開業に備えて新たに導入又は開発された技術は、下記のとおりでした。
線路に関して
- スラブ軌道
- ATき電設備
- COMTACK
となります。
それでは、一つずつ概要を説明していこうと思います。
強固な軌道、スラブ軌道
画像 wikiopediaから引用
東海道新幹線は、在来線同様の砕石により線路を固定させるバラスト軌道ですが、山陽新幹線ではスラブ軌道と呼ばれる方式が採用されました。
簡単に言えば、高架橋の上に、レールを固定することが出来るコンクリートの床を乗せるようなもので、在来路線同様に軌道の修正が行える様にしたもので、国鉄が特許を有しており私鉄各社などでも採用された方式でした。
軌道狂いがバラスト軌道よりも少ないことが大きなポイントとなりました、その反面、走行音が大きくなる欠点があり、騒音問題などがうるさく言われるようになってからは、防振ゴムを介した、低騒音型軌道の開発が進められています。余談ですが、最近ではラダー軌道(はしご形軌道)と呼ばれる方式が、騒音防止の点でも有利なことから、採用が増えていますが、山陽新幹線の技術開発と関係がないので割愛させていただきます。
新しく開発されたATき電方式
(交通技術 昭和46年から引用)
東海道新幹線からの技術の進歩として、取り上げたいのはATき電方式でしょか。
ATき電方式はすでに、在来線で実用化されていますが、新幹線で採用は初めてとなります。
ちなみに、ATき電方式は、昭和43年~44年に水戸線で試行されたのち、昭和45年9月、鹿児島本線 川尻~鹿児島間の電化で初めて実用化されています。
ATき電方式により、東海道新幹線で見られたような、アークの発生が大幅に減ることとなり、架線障害事故も減少することになりました。
国鉄時代、東海道新幹線は架線事故をよく起こしていましたが、その原因の一つとして、BTき電方式に起因するものでした。
ちなみに、東海道新幹線も国鉄時代にATき電方式へ改良が行われ、JR発足後に完了しています。
新幹線運行管理システム、COMTRACの導入
画像 wikiopediaから引用
東海道・山陽新幹線の運行管理を行うシステムとして、山陽新幹線開業を機に導入されたシステムで、それまでは運転指令と、CTCの指令板により運行管理していたものを、システム化したもので、列車遅延の場合などは復旧ダイヤをCOMTRACKが作成し、それに基づき指令が修正を行える、マンマシンインターフェースを採用していました。
これにより、司令員の負担が軽減される他、更なる新幹線の増発が可能となりました
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