山道や農村を通過する時は、藩士たちはそれぞれ気の合う者同士でグループを作り、気ままに歩いた。 「宿場町の入り口に夕刻までに集合すること」 藩の重役からこのようなお達しが出ると、集合時間までは自由行動だったのだ。 刻限になり藩士が揃うと、行列を整えて悠然と宿場町に入る。多くの人の目に触れる場所でだけ大勢の武士たちが、いかにも規則正しく振る舞っていたのである。