「感情なんて、地図のない宇宙だよ」
またもや教授が難解な言葉で何かを語ろうとする。
「まるで、このおでんのように?」
適当に相槌を打ってみれば、教授はそうそう、と嬉しそうに頷く。
(やっぱこの人は、単に話し相手がほしいだけなんだ……)
ひらめきが確信に変わり、やがて諦観へと変わっていく。
「時に教授、奥さんとは仲直りできたんですか?」
「それが、地図のない宇宙で彷徨う子どものように不可解でねぇ……。
ブラックホールに飲み込まれてしまって、明けない夜を三度迎えたんだ……」
「……出て行っちゃって、帰って来ないんですか。もう3日も」
翻訳作業もだいぶ板についてしまった。
こんなまどろっこしい会話が四六時中続いたら、
そりゃ嫌になるかもなと、私は密かに奥さんに同情の念を抱いた。
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