時間も字数も守れていないので、タグ付けはしませんが、
Twitterで流れてきた300字小説のお題で詩を書いてみました。
かなり抽象的な表現にはしていますが、
不衛生な描写や暗い表現が含まれますので、ご注意ください。
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開けない朝はない。止まない雨はない。
そんな言葉なんて届かない。
嗅覚は衰えた。
鈍くならないと生きてはいけなかった。
果てしないゴミ屋敷。土足で上がる居間。
あちこちに蜘蛛の巣が張った天井。
破れたカーテンに群がる子猫。
いとも簡単に消える命。
不意に淡々と伝えられる、誰かの訃報。
その先にある、暗くて深いトンネルと山積みの仕事。
時に命の消え方は残酷で、
心が追い付かぬまま、ただひたすらに仕事に向かう。
徐々に心が麻痺していった。
衝撃的な訃報を聞いても、前ほどは衝撃を受けなくなった。
否、そうでもしないと、生きてはいけなかった。
衝撃に慣れないと、生きてはいけなかった。
正直、よく、生きていたと思う。
ようやく、朝が来たような気はするのだけれど、
この朝焼けがどこに続いているのかはまだ、わからなくて。
ただ茫然と、空を仰ぐ――。
その言葉はまるで、暗号のようだった。
唯一の手がかりは不確かすぎて、
肝心なことが掴めない。
今の僕にできるのは、
ただひたすらに、待つことだけだ。
君が応答してくれる、その日を夢見て――。
君に繋がるワードを手にした。
その先にあるのは、夢の続きか、夢の終わりか。
初恋は叶わないから良いんだと、誰かが言った。
想い出は綺麗なままの方が良いんだと、誰かが言った。
焦げつく想いは、果たして綺麗と呼べるのだろうか。
空想は空想のままで、現実は現実のままで。
僕は今、岐路に立っている。
初恋はいつまでも甘く、いつまでもほろ苦い。
それはまるで、行き場をなくして染み渡るカラメルソース。
喉元を滑り落ちてもなお、あの味が消えず、
僕は悶え続ける。
もはや夢まぼろしのような存在の君に、
今日も想いを巡らせて、正しい呼吸を見失う。
うだるような暑さの中で、君に別れを告げる。
じりじりと焼けつくような痛みが胸を襲う。
焼け焦げた想いはまるで、
干からびて朽ちかけた蝉の抜け殻のようで。
揺らめくアスファルトの湯気を呆然と見つめながら、
君にさよならを告げた――。
無理して過去にしがみつく必要はない。
時代に逆行する必要もない。
ただ、そこにあるというだけで、
変わらず存在しているというだけで、心が和らぐこともある。
しがみついて、沈まなくてもいい。
必死に立とうとしなくてもいい。
泡のように消えていく存在に、枯木のように朽ちていく存在に、
新たな場所を求めて颯爽と泳ぎ去っていく存在に、
心をえぐられて、泣いていたんだ。
泣きながら、ずっと立ち尽くしていたんだ。
私はどうしたらいいの?って泣いていたんだ。
そっと力を抜いて、浮かんでみよう。
ぷっかりぷっかり浮かんでみよう。
そうして漂ってみよう。浮草のように。
人との出会い。物との出会い。作品との出会い。
出会ったものは、大事にしなきゃって思ってた。
大事に持っておかなくちゃって思ってた。
でも、抱えすぎて、すぐにいっぱいいっぱいになっちゃうから。
いらないものは、消えてなくなってほしいって思ってた。
捨てたものは、戻ってこないでほしいって思ってた。
だけど。
出会いは天下のまわりもの。
必要なときにやってくる。
必要じゃなくなったら、そっと手を離せばいい。
きっと、必要な人のところへ届くから。
そしてきっと、また必要になったら、戻ってくるから。
捨てようとするから、「捨てないで」って寄ってくる。
しがみついてるから、不完全燃焼しはじめる
失うことは怖くない。
だってみんな、まわっているから。
くるくるくるまわっているから。
手を伸ばすことは贅沢じゃない。
だって、それはいま、必要なんだから。
わたしはわたし。
誰かのための首振り人形じゃない
よくわからないときは「私も同じ」て言っておけば
悪いことは起こらないと思ってた
ひとに合わせておけば、問題ないって思ってた
きっと、そのこと自体が問題だった
私が私じゃなくなった
身代わりなんて五万といる存在になった
違う 違うのにって ずっと叫んでいた
ずっと叫びたかった
そのくせ、自分は誰かに頷いてほしかった
「そうだね」の一言がほしかった
そうじゃないと踏み出せなかった
だから、自分が欲しい言葉を人にあげた たくさんたくさんあげた
たくさんの「そうだね」を返した 「うん」を返した
「私もそう思う」を返した
返して返して、それがくせになった
叫ぶより先に頷いていた
疑問に思うより先に笑っていた
その場の空気と化していた
だけど
わたしはわたしだよ
他の誰でもない
他の誰にも身代わりなんてできやしない
わたしなんだよ
それがわたしなんだよ
わたしは誰?って思ってた
何者かになりたかった
何者かになりたくてもがいてた
もがけばもがくほど遠ざかった
私がわたしを殺していたから
私はわたしが感じることを禁じていたから
踏みつけたその足を そっと離してみよう
わたしが呼吸できるスペースを空けよう
ゆっくりでいい 感じてみよう
わたしの声を わたしという存在を
揺らめいて薄らいで掴めないもの
漂ってすりぬけて
不確かなもの
逃げ水のように
蜃気楼のように
堂々巡りを繰り返しても
手探りで追い求めてる
踏みしめたくて
「己」という影を
* * * * * * * * * * * * * * *
「影踏み」というと、
普通は鬼が相手の影を踏むものだけれど。
ふと、「自分の影を踏む」というイメージが浮かんだ。
「踏む」という表現が適切かはわからないけど。
地に足を着けて立っている自分。
その足元にぴったりと寄り添う
黒々とした影。
そんなイメージ。
「影」は存在の証。
光を浴びている証。
踏みしめて歩いていきたい。
「答え」なんかがあると思うから
苦しくなるのでしょう?
無いものを捻り出そうとしても
何かが生まれるわけないじゃない
無いものを「無い」と嘆いたって
「わからない」と悶えたって
「答え」を絞り出せるわけじゃない
誰かが納得の行く「答え」をくれるわけじゃない
ただ日々の暮らしの中で「糧」を積み上げれば良い
新たな世界を知れば良い
「答え」ではない「何か」を生み出すために
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