ドーナツ物語
2月
25日
わたしはドーナツに目がない。
制限がなければいくらでも食べられるくらい、大好き(もちろん、そんなことはしないが)。
この国にはドーナツ屋さんが多い。
町に必ず1軒はある。と、思う。
今のところへ引っ越す前の小さな町にもドーナツ屋さんがあった。そこは、早朝(多分6時とか)から開いていた。午前9時を過ぎると、町の老人たちがそのドーナツ屋に集まり、1時間〜1時間半、そこでお喋りする。買うドーナツは1個、それにおかわり自由の珈琲を飲みながら。珈琲は昔ながらのアメリカンコーヒーで、今でこそスターバックスとか他にも沢山のカフェが出来、珈琲1杯にもそこそこの値段がついているが、老人たちが好むのは1杯(何杯飲んでも)1ドルもしないコーヒーだった。そういう時代。
わたしは一度だけ、そこで老人たちに混じって珈琲とドーナツをいただいた。今は亡き、夫のグランマが連れてってくれたのだ。その頃わたしたちは日本で暮らしていて、まだ幼かった娘(4歳になったばかり)とこの国に遊びに来たとき。夫は仕事のため同伴できず、母娘だけでやって来た。今思えばえらい大胆なことをしたモンだと感心する。
彼女は9時半にわたしたちを迎えに来て、「mはドーナツは好き?」と訊き、大好きだと答えると、にっこり笑って、「じゃぁドーナツを食べに行きましょう」と言った。(余談だが、彼女の運転がおぼつかなくて、恐怖だった。笑)
そこは町の中央広場(up townと呼ばれていた)に面したドーナツ屋さんで、ショウウィンドウにそのお店のロゴが描かれているだけの、普通の、おしゃれでもなんでもないお店だった。
中に入ると、既に何人か年寄りたちが屯していて、「ヤァ、T!」「あら、F!」とか声をかけ合っていた。
わたしが好きなのは、ごくごく普通の、glazed donutで、それを頼むと、彼女は「他には?もっと綺麗な色の、あれとか、どう?」とニコニコしながら勧めて来たが、この国独特の、フードカラー満載の色とりどりは今も尚、慣れずにいる。確かあのとき、彼女は中にラズベリーソースがめっちゃ詰まっているドーナツを選んだ。ひとくち頬張ったときにソースが垂れるほどの。うぎゃー。娘はチョコレートリングのようなドーナツを選んだが、甘過ぎたようで食べきれなかった。彼女は今でもこの国のドーナツは好まない(でもミスタードーナツは大好き)。
そのお店は、わたしたちがその町を去った数年後に、オーナーが事故のために身体が不自由になり、店を売ったと聞いた。新しいオーナーはお店のネームも、ドーナツのレシピも譲り受けたらしい。その後、ドーナツの味はどう?変わってない?と、前に義母に訊いてみたが、義母はオーナーが変わってから行ったことはないと言っていた。
わたしたちが今、住んでいる街にもドーナツ屋さんがある。日本にも昔あったDUNKIN'に、Hurts Donut,そしてうちの近所にあったDaylight Donutsの3店。この、Daylight Donutsはうちから3ブロックほど離れたガス・ステーションの一角にあったが、そこから撤退、一時閉店し、うちからは少し離れた新たなロケーションにオープンした。そして、これまでのeat inできるスタイルからテイク・アウトオンリーのスタイルに変更された。ドライブ・スルーも作られ、折しもパンデミックの時期と重なり、利便性が良くなった。わたしはいつもねじりドーナツを買った。ねじりドーナツを食べると、それだけでしあわせな気持ちになれる。
でも、このお店は2月27日にクローズする。同僚から教えてもらった。「m、あそこのドーナツ好きだったでしょう?」
慌ててInstagramを見てみたら(フォローしているのだ)、長文のアナウンスが載っていた。がびーーーーーーーーん。
かなりショック。そのポストをスクリーンショットして夫に送った。夫もまた、そのニュースを知らなかった。I'm so sorry to hear that.夫からの返信を見て、あれ?あなたはそんなにショックじゃなかったの?と、ちょっと驚いた。
閉店した後、新たにDonutlandというお店に変わります。というお知らせもされていた。しかも、3月1日オープンとな。
気になって色々と見てみたら、なかなか美味しそうだし、レビューも高い。だんだん、楽しみになって来た。夫曰く、彼の同僚はこのお店のドーナツの大ファンなのだそう。チェリーとブルーベリードーナツが有名らしい。わたしはケーキタイプのドーナツより、イーストタイプが好きなのだけれど、一度は試してみようかと思う。
これまでDaylight Donuts信望者だったのに(DUNKIN'もHurts Donutも好きだけど)、もう既に心は新しいお店に期待しまくっているこの薄情さ。😂
ねじりドーナツもあると良いなぁ。。。
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