02/13/2022 某講習に申し込んだ。 講習前の課題提出は自由とされたが、ええいままよ!と、送った。 直後、えらいことをしちまった、、、、と、青ざめる。少なくとも2週間は放置していたものだ。それを送った。なぜに?自分でもよくわからない。 送っちまったモンは送っちまったモンだ、もう戻せない。わたしの手を離れ、あちら側へ渡った。とんでもないことをしてしまった、、と思う。勢いに任せたところはある。でも、同時に、よっしゃ、と思う。ちょっとした達成感もあった。「送る」と決断したこと、そしてそれを実行したこと。初めの一歩だ。ちょっとふわふわしている。けど、ちゃんと地に足はついている。踏みしめよう。それからだ。 滅多にお目にかかれる先生ではない。彼のお話を、どんな内容であれ直に聴けるのだ、そんな機会を逃すことはなかろう。 勢いにまかせて申し込んだ。その他大勢に紛れていれば良い。身分不相応だとか場違いだとか(同じ意味か?)咎められることはない筈だ。 違う。誰もわたしのことなど気にも留めない。相応しくない、と思っているのは自分自身。恥をかくかもしれない、と思っている。でも、どうよ。誰もわたしのことなど知らない。だから、気にすることはない。 そろそろ到着する時間だ。甲板に上がったら、陸地が見えるかもしれない。昔は、夕方出港、翌朝の明け方に到着というフェリーだったので、近づく陸地を目にしたことはない。でも、今なら見られるかもしれない、と思うと、胸が高鳴る。 甲板へのドアを探しながら通路を行くと、広いホールに出た。前面、天井まで全てが巨大な窓になっていて、その先には青く白い世界が広がっていた。遠く、小魚たちが群れをなして動いて行く。小魚たちの向かうところには柔らかな光の層が揺れている。 そうか、まだ海の中だったか、と思う。青い海、無数の泡。 「ご乗船の皆さま、まもなく、当フェリーは鹿児島港に到着いたします。下船されるお客さまは、ご準備をお願いいたします。この先フェリーは少しずつ上昇し、15分後には完全に海上運転に切り替わりますが、お客さまのご安全のために、甲板への扉は施錠されております。下船まで、船室にてそのままお待ち下さいますよう、お願い申し上げます。」 そうだった、甲板に出られるわけがなかった、と思い出す。 とりあえず、すぐ下船できるようにしておこう。今回は講習だけが目的なので、荷物は殆どない。weekender bagにノートパソコンも入れた。 バッグを抱えながら、前方に広がる海を見ていた。講習会場へ向かうまでのあれこれを頭の中で組み立てていたら、見る見るうちに泡がどんどん大きくなり、増えていって、とうとう、海上に出たようだった。しばらくして、モニターに切り替えられたのだろう、空の上から撮影されたフェリーが進む姿、そして薩摩半島、開聞岳が映し出された。 島からあっという間だった。何度も乗っているのに、あらためて驚く。すごい進化。時間も短い。船酔いもない。しかも飛行機より割安。 下船が近づいてくると、身がすくむ。いよいよだ。 会場は、思っていたよりも小さく、本当にここで良いのか、何か間違えちゃったのか、と思う。小さな町の公民館のような感じ。舞台があって、その前にはパイプ椅子が並べられていた。少々困惑、少々安堵。 中に入ったは良いが、シート番号も何もない。どうやらどこに座っても良いようだ。 聴講生はどれくらいなのだろう。少なくとも、会場したばかりで、選び放題だった。とりあえず、後方から数えたほうが早いくらいの席に座った。続々と人々が入ってきて、その様子を見ていたら、皆、最前列から座り出したので、自分もそうすれば良かったのかも、と、少し後悔した。でも、入ってくる人々の姿を後方から見ていると、なぜか安心して、この席で良かった、と思う。 前方に、とても懐かしい顔を見つけた。 幼馴染みの、k子だった。えええええ、かなり驚く。何十年ぶり???40年くらい??? k子はエレクトーン教室に通うお嬢さまだった。ほっそりと背が高く、気取りやなところがあって、わたしとは性格が全然ちがったが、仲が良かった。放課後や週末には一緒に遊ぶことが多かった。彼女の家には彼女専用の部屋があり(当時はそのことに驚いたものだ)、エレクトーンを弾いてくれた。両手の指が右、左、上、下の鍵盤へと動き、片足も動かしていた。楽譜を真剣に見ながら弾くk子は、時々、明後日のほうを見たり、目をつむったりして、それが最高にカッコよかった。 どうしよう、と思う。声をかけるのを躊躇う。わたしってバレるじゃん、と思う。でも何が困る?わたしの提出したものは彼女の目には触れない。わたしがここにいることも知り得ない。 と、後ろからいきなり声をかけられた。 m?mでしょう? 振り向くと・・・・・うーわーーーーー 同じく幼馴染みのt美。ええええええ、な、な、なんで??? t美はチェーリングの上手な子だった。手が大きい。わたしはいつも負かされた。いや、彼女に敵う子なんていなかった。無敵のt美。まさかこんなところで再会するとは。 mーーーーこの先生、良いよね。課題出した?わたし、出したけど、採用されなかった!! うーーーーーーわーーーーーーーーー なんて答えたら良いかわからない。いや、わたしのも採用されなかった。だから、何も心配することはない。いや、何を心配するのだ? そんなとき、舞台下に講習を授ける先生が現れた。 まだ時間前なのに。気さく過ぎる、、、、、。皆に愛想よく笑顔で手を振っている。良いのか?まだ時間前だぞ。 彼は舞台にヒョイッと上がり、パイプ椅子を引き上げて、中央に座った。 足を組み、両手を上げて、「ようこそ!」と大声で言った。 え?始まる?もう?まだ時間前じゃないか? サービス精神大き過ぎじゃないか?てか、やっぱりちょっと外れてる人なのか??? しかしこの人、やっぱりカッコつけだ。笑える。思った通りの人だった。カッコつけの、ロマンチスト。 申し込んでよかった。しっかり聴講しよう。k子がなんだ、t美がなんだ。要は自分なのだ。だんだん、ワウワクしてきた。 が。 いや、待て。 そんな筈はない。 講習は対面ではない筈だ。オンラインな筈。 だよ。これ、違うよ。 夢か?夢なのか? そうだ、夢に決まってる。 時間。 今、何時? 講習、何時からだ?まだ間に合う??? ・・・・ 苦しい、目覚め。 夢でした。😑 しかしながら、あの潜水フェリー。前にも乗ったことがあるのです。何度も、ある。 夢の中で、、、、。