09/02/2021 2週間前、友人からお父さんが亡くなったという知らせを受けた。 こういう時、わたしはいつも言葉を失う。 なんて声をかけたら良いのかわからなくなる。 メールだったので、悩んで悩んで、短い返信を書いた。 どんなにすばらしい言葉でも、慰めになんかならないだろうと思ったけれど。 普段ろくでもないことをべらべら喋るくせに、いや、だからこそ、こんなときには黙りこんでしまうのだ。 かつて看護師だった頃もそうだった。 患者さんが亡くなって、あらためてご家族にお会いするとき、わたしは何にも言えなくて、ただ頭を下げるだけだった。 お互いに涙を流しながら頭を下げ合った。 「ありがとうございました」と、過去形で言われるのが淋しかった。 同僚がよく、「もう痛みも苦しみもないですね」と言っていた。 あぁそうだ・・ホントにそうだ・・・とは思うのだけれど、なぜか口には出来なかった。 わたしが言うと、その薄っぺらな言葉はヒラヒラと風に舞って消えてしまう。そんな気がした。 だから、うんうん、と頷きながら、頭を下げていた。 自分、あの頃から何にも変わっていないわ。 年齢的には、もう充分過ぎるほどに言葉に深みがあっても良いものなのに。 ろくでもないお喋りも、全然、なおっていない。 わたしは詩を書かないと死んでしまうほどではございませんけども 息の次に大事なものがあります 「言葉」でございます まど・みちお