うじのカップ
5月
17日
懐かしい人達がやって来た。
何年ぶりだろうか。
でもちっとも変わっていないように見える。
ひとりはぺらぺらとちょっと嗄れたソプラノ声で喋る。もうひとりは相変わらずあまり喋らない。でも目元に笑みを浮かべている。そんな彼を見て、なぜかホッとした。
ーこんなになるまで放っておいたのか。
Sがかごんま弁で呆れたように言う。Cは黙って作業をしている。
いや、修繕しようと思っていたんだけど、なんか遅くなっちゃって、、、と、わたし。
二人は汗をかきながら壊れた板を剥がし、古い釘を抜く。
そうだ、何か飲み物でも・・・
なんで気付かなかったんだ、と、慌てて台所へ行った。
水を・・水を入れるカップを・・・・
あちこち探すのだが、小さ過ぎたり、形が揃っていなかったりで、こんなんじゃ失礼になる、と思う。
なんでないんだ、どこにあるんだ、、、
そうだ、うじのカップがあった筈。。。あれなら。。。
家族ぐるみで良くしてもらった窯元さんのカップを探していたら、姉3がやって来た。
ー何しとるの。
ーカップを、、、水を入れるためのカップ、、、
ーどのカップ?
ーうじの、カップ、ちょっとでか目の。
姉に説明していたら友人たちが終わったよーと、やって来た。
ー水、水を入れるから。ちょっと待って。
SもCも汗をタオルで拭きふき、姉にちょこんとお辞儀をしていた。
わたしは、もう、うじのカップじゃなくても良いかな、でも水を入れるのにあれがちょうどいいんだけどな、でも水よりもあれは焼酎用だよな、水でいいのかな、どうするかな、、、と、頭の中でぐるぐる考えながら、うじのカップを探す。
なんでいつもこんななんだろう。せっかく来てくれたのに。
カップ、カップ、、、、
・・・
懐かしい二人が夢にやって来てびっくり。しかも二人揃って。
もう随分とご無沙汰だ。
顔本を辞めたので、連絡のしようがない。
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