怒らない
12月
3日
あけがた、姉2からSkypeで電話が2回、video messageが1回入っていたのに気付いた。これは母に何事か起こったのかもしれない、と、慌てて飛び起き、PC部屋へ。
が、なんのことはない。母が淋しそうにしていたので、母の気を紛らわそうと、姉がわたしにSkype電話をかけたのだということだった。video messageでは、姉が母に「ほら、mに何か言ってあげて。メッセージ送るんだから」と説明しているのだが、カメラの向こうで母は「mの姿が見えないのに話なんか出来ない」と言っている。「じゃぁmに電話ちょうだい、って言っておこうね」
というわけで、朝からSkype電話をかける。
残念ながら(?)母はもう寝ていた。姉1が東京に戻り、淋しくなったのだろう。認知障害がある母だが、どこかでまだマショウ(まとも)な部分も残っているようだ。「aは東京の旦那さんのところへ帰ったんだね」と言うのだそう。まともまとも。「あんた一人で辛くないの」と、姉2に言ったりもするらしい。
姉2は、不思議な人だ。これは母の言葉でもあるらしい。介護は決して楽ではない。辛い筈だ。けれども、そういう感じを母に感じさせないようにしている。それが出来ている。凄いことだと思う。
ありきたりの、「認知症患者への対応法」というものと違ったアプローチでもあると思う。思うに、姉の中で、母に認知障害があるから、ということが前面に出ていないのが大きいのではないかと思う。母を母として、介護している。わたしにとって、それは見習わなくてはならない部分だと思う。
「辛くはない」「幸せだと思う」「怒ることはないから安心してね」「怒らないけど、時々、泣くことはある。ごめんね。」
そんなことを姉は母に言うのだそうだ。それは本心だ。そして母はその本心をしっかりと受け止めることが出来る。だから安心する。
「ありがとうね」
母はそう言うのだそうだ。幸せそうな、満足した顔をするのだそうだ。
「ま、そう言う時ばかりじゃないけどね。悪魔にもなるけどね!」
姉は笑いながら言う。
わたしは姉のようになりたい、と思う。
来年の夏、母のところへ帰る時、姉をしっかりと休ませて、姉のやりたいことを充分にさせてあげて、そしてわたしは姉を見習って、母の介護をしたいと思う。