8/16/2016 大きなお屋敷にいる。 初めて来るのだが、どこか懐かしいような気もする。古い、日本家屋といった感じ。旅館なのか、誰かのお屋敷なのか? 広い、立派な廊下をまっすぐに行くと、そこは大きなお風呂場だった。格子戸を開けると、それほど広くはない脱衣場のような場所が手前にあり、その次の引き戸を開けると、真ん中に丸い大きな浴槽。石で作られたその浴槽は、どこからかお湯が流れてくるようで、湯気の下、ゆっくりと渦を巻いていた。 ふと、いつの間にか隣に来ていた彼が「お先に」と言って、湯船に入った。 ちょ、ちょっと、、、いいのか?わたしはここにいて、いいのか? ドギマギ。 「入らないの?気持ち良いよ」 そうだった。恋人なんだから、一緒にお風呂に入ってもいいんだった、と思い直す。しかしながら、やはり躊躇してしまう自分。 そんなことはお構いなしに、彼は気持ち良さげに顔をザブザブとお湯で洗い、小さなタオルを頭に乗せている。まるでどこかの温泉のポスターのような、お決まりの絵。 で、では、わたしも・・・ そう言って、脱衣場(らしきところ)へ戻ろうとすると、どやどやと子供たちが左側の引き戸から入ってきた。お風呂に入るわけではないらしい。というか、何やら手に持ち、どこかへ行くところみたい。 子供たちに続いて、おじさんが2−3人、首にかけたタオルで汗を拭き拭き、通って行った。 彼らはわたしの恋人に「ヤァヤァ」なんて気楽に挨拶している。 戸惑っているわたしを見て、彼は言った。 「あ、気にしないで。ここは、ほら、通り道になっているからね」 見ると、最初に来た時には気付かなかったのだが、丸い浴槽を挟んでお風呂場の左側と右側に、それぞれ引き戸があった。 ということは、、、、 そこを閉めておかなければ、また誰かが通っちゃう、ということ? それでは・・・と、両方の引き戸にとりあえず鍵をかけてしまおう、と、ガチャガチャやっていると、そこへまた新たな一団がやってきた。同じように、何人かの大人が子供たちを引き連れている。 わたしの様子を見た引率者らしき男性が、「あの、、ここを閉められちゃうと、ちょっと、、、」そう言って、同情を引くような顔でその後に続く子供たちを見せる。 あ、でも、、、そんなこと言われても、、、、 こんなところで裸になるわけにはいかないし、、。わたしは恋人を見るのだが、彼は全く意に介さない。 というか、この人はわたしの恋人なのか?もしかして違うのか? なんとなく、このお屋敷のご主人さまのような気がしてきた。そしてわたしはこの人に好意を寄せている。その人は、それを知っているのか知らないのか。どちらにせよ、その人がわたしのことを好いてくれているようには見えなかった。 あああああ、片思いということか。。。 あの手を握るだけでも出来たらいいなぁ、、、と密かに思う。 だが、お風呂の通り道で、そんな不謹慎な事は出来ない。子供たちもいるし。何より、彼はわたしのことを、何とも想ってはいないのだ。 そして、何だかよくわからないが、何かを思い出して、酷く悲しくなった。