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自転車とはぁむ

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4/17/2016







「来るぞ!」
「来たっ!!」

見ると、船の周りに大きな魚影が浮かび上がり、それらはゆっくりと回旋して交差して、遠ざかっていった。

「また来るかも」
と、誰かが言った。
「あれはくじら?」
と、わたしが訊くやいなや、その影は再び近づいてきて、うっすらとその姿を現した。背中が赤い。くじらなんかじゃない。

「はぁむ???」

あり得ないという思いとは裏腹に、はぁむが2匹(2頭?)、交差してから海面にその姿をちらりと浮かばせ、また潜って行った。

「あれは、、、、美味しいのか?」
「いや、あれだけ大きくなると、美味しくはないだろう」
「そうか、、、そうだよね」

小型のボート大、あるいはそれ以上の大きさの魚の身が美味いかどうかなんて、話しながら、ちぐはぐな感じがした。


場面は変わり、わたしはフェリー乗り場に向かっていた。
自転車を漕いで急いでいるのだが、どうにもこうにも混雑していて、なかなかフェリー乗り場まで辿り着けない。それにどうも自転車がいつもより重い。

ようやくフェリーへと乗り込んだ。
どうやら間に合った。というか、フェリーの出発時間が遅れているらしい。

自転車を甲板の柱に取り付けようとした時、タイヤがパンクしているのに気づいた。パンクなんてもんじゃない。大破。しかも前後輪、どちらも。タイヤの両側が中から破裂したようになっている。まるで全周にフリルをつけたようなタイヤになっている。これじゃ重いわけだよ。でもこのタイヤはこれまでに2度、交換しているのに、と、怒りを覚えた。いや、交換したのは後輪か。今回はどちらも同じようになっているのだから、タイヤが原因ではなさそうだ。こんなに破裂するほどの場所を通ってきたつもりはないのだけれど、、、とにかく、フェリーを降りてからの帰りをどうにかしなくては、と思いなおす。こんな自転車では走れない。

ふと、大勢の人々が甲板から外を眺めていることに気づいた。そろそろ出航か?
近づくと、そこには幼馴染のTがいた。声をかけて一緒に並んだ。と、海面が大きくうねり、何かがゆらりと揺れた。また、あの巨大はぁむか?
思い出してふふふ、と笑うと、周りの人々が怪訝な顔でわたしを見た。ん?何やら異様な感じがしたが、隣のTに、はぁむの話をし始めたところ、近くにいた男性が非難的に鋭くわたしを見た。船長さんなのか?彼は白い船舶服を着ていた。
Tが小さな声で「かなり危険みたいだよ」と言った。
何がどうなっているのかわからなかったが、どうやら良くないことが起こりつつあるらしい。

海面にまた大きな黒い魚影が現れた。はぁむよりもさらに大きい。ぐらりとゲリーが揺れ、わたしの体が宙に浮いた。慌てて近くにあったロープを握る。
おおおおおおおお落ちる、、、、!
と思ったが、すんでのところで甲板に戻れた。ヤバイヤバイ、マジヤバかった。
先の船長らしき男性が、「下がっていなさい」という顔でわたしを見た。

大きな魚影に続いて、3−4人、ウェットスーツを着た人たちが海面に現れた。彼らは素早く何かを取り出し、魚影に向かってそれを撃った。
が、魚影がもの凄いスピードで大きくうねり、大きな波が起こり、そして・・・
そして、ウェットスーツの彼らは波の中に消えた。

あああああああ、、、、、!

フェリーも大きく揺れ、わたしたちも皆、バランスを崩した。やっと落ち着いた頃、見ると、ぶわわわわ、、と、海面に赤が膨らんだ。

うわあああああ、、、、

気持ちが悪くなって口を押さえた。あの人たちはどうなったの?あの魚にやられたの?
Tが、「まだわからん。だけど、ワクチンが拡がっている筈、、、」とつぶやいた。


船長らしき男性が、重々しい表情で、「出航!」と言った。


潮風に吹かれながら、ああそうだ、Tに家まで送ってってもらおう、と思いついた。あの自転車では帰れない。
すると、隣にいた女性が、「みんなTに送ってってもらうから!」と言った。そっか、それなら良かった、と思いつつ、いや、Tの家まで行くくらいなら歩いて帰っても一緒か、と思い直す。
自転車は、後で取りに来ればいい。誰もあんな自転車を盗むことはないだろう。












#ユメモ

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