教育部会 2010年11月
11月
28日
中高部スポーツ大会
教育運営委員会 理事 荒木 琢也 Nichirei USA LLC
10月2日にシアトル日本語補習学校/中学・高等部のスポーツ大会が開催されました。クラス対抗のバレーボール大会です。中学生・高校生は揃いのTシャツをユニフォームにして気合十分。 同じ色にペイントを施したり、ゴレンジャーシリーズのように全員違う色にしたT シャツを身に纏っているチームもありました。いつもは週5日目の通学に当たる補習学校。子供達の顔も朝は何となくどんよりとしているものですが、この日ばかりは違いました。朝から目がきらきらと輝いています。何より試合中の子供達の真剣なまなざし。本当に勝ちにこだわっていることがひしひしと伝わって来ました。
試合の合間も主審やラインズマン、他のチームの応援と皆楽しそうでしたよ。写真を撮ったり撮られたり。一般のご父兄には申し訳なかったですが、あの雰囲気の中に交わえるのも特権。子供達の笑顔に囲まれた幸せな一日でした。どこかで聞いたことのあるセリフですが、「いやぁスポーツって本当にいいものですね」。
私は教育運営委員会理事として来賓チームに参加し、子供達と共にいい汗を流させていただきました。運動会の時にも思いましたが開会式のラジオ体操をするだけで身体の衰えを感じます。キレがない。ただ、周りにいらっしゃる他の理事や学校関係者の方も息があっという間にあがっていましたのでまぁ良しとしましょう。
なぜか平均身長の高い来賓チームは苦戦を強いられながらも校長先生・教頭先生を擁する教員チーム・保護者チームとの対戦にすべて勝利し、大人気なく優勝させていただきました。保護者チームも教員チームも今年は高レベルだった為、すべての試合が大接戦でした。やたらと勝ちにこだわる大人達。それを見守る子供達。「いったい誰のためのスポーツ大会だ?」という声が聞こえてきそうですが、いいんです。私達は何事にも真剣に取り組む姿勢を子供達にオーラで伝えていたのです。
一番楽しかったのは午後の高2チームとのエグジビションマッチ。試合前の挨拶で並んでみると伸張差は歴然。しかも女の子が多い。こちらは全員男性。全員並んで「よろしくお願いします」と挨拶する訳ですが、この時かわいい元気な女の子に「お手やわらかにお願いします!」と言われました。しかも目が合ってしまう。瞬間的に心の中で「うん!」と叫び、深層心理をやられてしまった私はこの試合鬼になれませんでした。レシーブ時に足を踏み出そうとすると、耳の奥から(お手やわらかに・・・)、結果拾えず。 サーブを軽めに打とうとすると耳の奥から(お手やわらかに・・・)、結果軽過ぎてボールはネットを越えず。しかしこの試合、外野のうるさいことうるさいこと。来賓チームの応援。ズバリ「0」。「高校生頑張れ ̄」「高校生行け ̄」「高校生粘れ ̄」「来賓空気読めや ̄」。正に来賓とは名ばかりの状態。もちろん大騒ぎしていたのは保護者の皆様です。あしからず。
話を戻します(どこに?)。
日本にいれば中学校・高校生が当たり前のように部活動を行っていると思います。部活動は家族・学級とは違うもうひとつの社会です。スポーツでなくともチームワークや先輩後輩との上下関係などを自然に学んでいる訳です。ここに居る子供達はその経験ができないんだな、と改めてしみじみと考えてしまいました。
土曜だけという制約の中で日本の教育を補完している日本語補習学校。ただでさえ年間スケジュールはタイトです。正直1日も無駄にしたくないのが本音です。スポーツ大会を開催するに当たっては、先生方は授業進行スケジュールの調整など様々なご苦労があったと思います。それでも子供達にスポーツ大会という最高のプレゼントを与え続け、その目を輝かせたい。この記事を読んでくださった方がそう感じていただければ筆を取った意味があるというものです。