教育部会 2010年8月
8月
28日
学校教育と補習学校運営方針について(常任委員会にて特別ゲストとしての話)
シアトル日本語補習学校 校長 辻 雅義
世界で学ぶ日本の子供達は、日本人学校、補習授業校、現地校とに、ほぼ三等分で通っています。従来、日本人学校が、子供の人数でも国の支援でも圧倒的だったのが、補習学校の設立数は日本人学校を大きく超し、学ぶ子供達の人数も、ほぼ拮抗してきています。しかしながら、国の補習授業校への支援重視や支援額は不十分だと考えます。
学校は、子供達を賢くするところです。日本では、学習指導要領という学力基準があります。子供達に「生きる力」「学力の基礎基本」をつけることが中心です。私は、日本の学力の基礎基本は、「読み、書き、算」であると考えます。来年度本格実施の新学習指導要領では、教える内容や時間がかなり増えていますが、基本姿勢は変わりません。
学校教育が、その力をつける大きな場所であり、それを支える家庭教育や地域社会があります。補習授業校に通う子供にとっては、学力保証において、家庭教育は日本と比較にならない大きな場所になります。本校では、子供達に学力をつけるために授業の充実と共に、先生方の力量アップや日本の学校行事の実施などさまざまな取り組みも進めています。 学校は授業が中心です。「学ぶ」という日本語は「真似る」から「マネぶ」、そして「学ぶ」となりました。学ぶことは、本来楽しいことです。学ぶ意欲を高めつつ、知的好奇心を満足させる授業を展開することを、日本でも先生方にお願いしてきました。
補習学校は、日本語を教え、日本文化を教えます。設立目的は、子供達が日本へ帰国した時、日本の学校や社会に「軟着陸」できるようすることです。シアトル日本語補習学校では、設立以来39年間、さまざまな学習形態や学級を作り、試行錯誤を重ねてきました。現在のシアトル日本語補習学校は、補習学校のひとつの理想像が実現している、と私は感じました。もちろんさまざまな問題や課題もあります。いや、それにもまして、素晴らしい先生方や事務所スタッフが子供達を見守っています。 これからも、春秋会や領事館等のご支援や保護者の皆様のご理解ご協力をお願いしたいと思います。
シアトル日本語補習学校在籍者数(8月3日現在)
男子 女子 合計
幼稚園部 27 29 56
小学部 200 204 404
中学部 39 49 88
高等部 11 16 27
合計 277 298 575