虹の作業員 1 (全10編)
9月
11日
雲の上にいる友人は虹をつくっていると
≡ 1 ≡
水蒸気をバケツで集め、休む暇もない
虹の作業員は近頃忙しい
雲の上ですってんころりん
笑って楽しい雨を降らせている
たまに威張って指示する班長に叱られながらも
あっち行って、そっち行って、水蒸気を追いかける
「班長様、あなたも水蒸気を集めを手伝ってください」
「バカを言うな、俺は班長だぞ!」
「そうでした。あなたは班長様、失礼しました。
でも、汗をかくって気持ちいいですよ」
「俺はもう疲れたんだよ。口しか動かないんだ!」
「苦労されたのですね……」
「わかればろよしい」と、直立不動の班長は言った
「えーと、班長様に訊きたいことがひとつあるのですが?」
作業員は恐る恐る班長の顔を覗き込んで言った
「お前は虹の作業員だろ。喋る暇があったら水蒸気を集めろ!」
「はい」
班長の大きな声に作業員はすってんころりん
雲の上に仰向けになると太陽がぽっかり浮かんでいた
作業員は班長から叱られるとドキドキしてしまうので
すぐに立ち上がり、また水蒸気を集めはじめた
「おい、太陽が出ているだろう。作業は終わりだ」
「はい」
続く。。。